2023年10月31日火曜日

オマージュ展/猪爪彦一

Tabinosoraya Presents

有元利夫 オマージュ展

2023/11/7(tue.)~19(sum.)
Open     11:00-17:00
Closed     11/10(fri.),15(wed.)
Last day  11:00-16:00

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▶出展者:在廊日

・猪爪彦一(油彩) 
11/7(午後)
・大橋麻耶(銅版画)11/19(午後)
・広沢仁(シルクスクリーン・木彫)11/7・19
・佛淵静子(日本画)11/18・19(夕方)

各作家紹介のページもご参照ください。 

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《少年》F8/油彩

INOTSUME Hikoichi



猪爪彦一/油彩(新潟市)


在廊日:11/7(午後)他未定



有元利夫氏のこと

私が絵を描きはじめた頃、有元利夫はすでに画壇の有望新人として活躍していた。
画集も出版されており、その中で「風化」という事を書いていた。
その内容がいたく心に響いて後の制作の指針にもなった。
日本橋三越のグループ展で本人を近くで見かけたことがある。
有元利夫の作品との出会いが今の私の画風に少なからず影響をあたえているようだ。


猪爪彦一


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▶プロフィール

1951年 新潟市生まれ

1974年 第29回行動美術展  初入選【以後毎年出品】
1978
年 第33回新潟県展  版画県展賞

1981年 第36回行動美術展  行動美術賞
1982年 第25回安井賞展【以後8回出品~’92
     第37回行動美術展  安田火災美術財団奨励賞
1984年 第1回青年絵画展(日本橋三越)【以後5回出品】

     第3回安田火災美術財団奨励賞展  新作優秀賞

1990年 第1回西洋の眼現代絵画展(日本橋三越)【以後5回出品】
1995  シリーズ新潟の美術 ’95(新潟県民会館ギャラリー)
             画集「かぐわしき風の中で」(新潟日報事業社刊行)
1997年 安井賞展入選作家4人展(新潟・雪梁舎美術館)
1999年 7の視点展(東京・井上画廊)【以後9回出品】

2004年 新潟の作家100人展(新潟県立万代島美術館)【同’06出品】
2005
年 にいがたの美の系譜(新潟県民会館ギャラリー)
2007
年 漂泊の位置展(東京・ギャラリー風)【以後毎回出品】
2009
年 ドローイングフィフティーン(東京・あらかわ画廊)
      個展「猪爪彦一の世界展 ー原風景を求めて」(弥彦の丘美術館)

2010年 銅版画作品集「夜の風景」(羊画廊刊行)
      「物語の絵画」(新潟県立万代島美術館)
2011年 個展「猪爪彦一の世界 幻想の銅版画展」(弥彦の丘美術館)
     「新潟の画家たち」(新潟県立万代島美術館)
2012 「みんなでつくるコレクション展」(新潟市美術館)

           「びじゅつのあそびば」(新潟県立近代美術館)
  「GUN 新潟に前衛があった頃」(新潟県立近代美術館)
2013年 「風ノナマエ:20展」(東京・ギャラリー風)
 「こころのかたち」(新潟市美術館)
2014  「第17回 木の会」(東京・鈴木美術画廊)【第1回より出品】
    個展・油彩(豊栄地区公民館区民ギャラリー)
             個展・版画(柏崎・遊文舎)
  Pegasusの会展」(新潟市美術館市民ギャラリー)【同’15・’17・’18・’19開催】
           「コレクション展 さがしてみつけて」(新潟県立近代美術館)
2017   個展(池田記念美術館)

2021年 「LOVELIFE コレクションより愛をこめて」(新潟市美術館)
  「Pegasusの会展」(maison de たびのそら屋)【同’22・’23開催】

2023年 「美術と考古でみる、ここらへんの生活。」(新潟市新津美術館)


行動美術協会会員・新潟県美術家連盟副理事長・県展運営委員・新潟市美術協会会長


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5月には《第8回Pegasus》の会展でご出展いただいた猪爪彦一さん。
有元利夫と同時代を生き影響を受けながら、独自の世界を確立して来られた画家でいらっしゃいます。

油彩のみならず銅版画作品にもファンの多い猪爪先生。時に古物を用いたオブジェも制作されることもおありで、いろいろを制作したい「性分」がまた、有元とも通ずるところかと感じます。

今回の作品の到着は、いつも以上に待ち遠しいです。


12月に開催する《中村玄コレクション/有元利夫 版画展》では、ギャラリーでは有元利夫の版画作品を、喫茶室では中村玄さん刊行の、有元利夫オマージュ『記念版画集』の収蔵作品を展示いたします。

猪爪彦一さんは、その『記念版画集』のために制作してくださった県内作家6名の中のお一人でもあります。
そちらの作品もどうぞおたのしみに。


『記念版画集』は、セット販売の他、バラでの販売もございます。
12月の展覧会のインフォメーションは、また後日アップいたします。

まずは11月の展覧会を、どうぞおたのしみください。

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▶会場

新潟県長岡市呉服町2丁目1ー5
maison de たびのそら屋
0258(77)2981

・専用駐車場がございます。縦列駐車にご協力ください。
・お支払いは現金もしくは会期中のお振込みのみです。
・会期中は喫茶室を営業しています。ゆっくりとお過ごしください。



オマージュ展/広沢 仁

Tabinosoraya Presents
有元利夫 オマージュ展

2023/11/7(tue.)~19(sum.)
Open     11:00-17:00
Closed     11/10(fri.),15(wed.)
Last day  11:00-16:00

▶4名の出展者を順次ご紹介しています。




《 K 》 

 
楠、アルキド樹脂絵の具/26x24x75cm


HIROSAWA Jin



広沢 仁 / シルクスクリーン・木彫東京都)

web  https://www.ne.jp/asahi/hirosawa/jin/index.html Instagram @jin_hirosawa

在廊日:11/7・19





《メッセージ》

ずっとシルクスクリーン版画を作ってきましたが、コロナ禍で木彫を始めました。

主に版画でつくったイメージをもとにして遊んでいます。

 




《 スティルライフ 》 

 シルクスクリーン、紙/34x26cm




▶プロフィール

1976 山口県生まれ
1999 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業 
2001 武蔵野美術大学造形研究科美術専攻版画コース修了 



▶おもな個展 

2012 余波(アフターマス)/養清堂画廊・東京、ギャラリーDOOR・山口、画廊翠巒・群馬、Gallery M.A.P・福岡 

2013
ティンブクトゥ/ギャラリー砂翁・東京、ギャラリーナカノ・山口、ART SPACE 563・台湾、ギャラリーゆう・岐阜
 
2014
新しい滝と古い小径/柳沢画廊・埼玉、アートスペース神楽岡・京都、ギャラリーDOOR・山口、画廊翠巒・群馬 

2015 Women
/天満屋広島八丁堀アートギャラリー・広島

2016 テンペスト/養清堂画廊・東京、画廊翠巒・群馬

2017 テンペスト/天満屋広島八丁堀美術画廊・広島、NEW新九郎・神奈川

2018 リヴァイアサン/養清堂画廊・東京、画廊翠巒・群馬、ART SPACE 563・台湾

2019 Decade/村越画廊・東京  

リヴァイアサン/天満屋広島八丁堀アートギャラリー・広島

2020 帆船/荒地/柳沢画廊・埼玉、画廊翠巒・群馬、養清堂画廊・東京 

2021 ドローイング展/Gallery M.A.P・福岡

 荒地/帆船/GallerySATORU・東京

2022 垂直的人間/柳沢画廊・埼玉、画廊翠巒・群馬

2023 垂直的人間/GallerySATORU・東京

 空気くらげ/養清堂画廊・東京

 



《 サバト a 》 

 シルクスクリーン、紙/
72.5x53cm




▶おもなグループ展 

2003 オープンスタジオ/未来工房他・東京(‘05‘07‘09‘11‘13

2007 ALL IN LINE/柳沢画廊・埼玉

2008 VISIONS 増殖するイメージ/日本橋高島屋美術画廊X・東京、新宿高島屋美術画廊・東京

2009 転位/画廊翠巒・群馬  
 小さい版画展/柳沢画廊・埼玉
 光と影/コートギャラリー国立・東京

2010 畳べり 木村真由美、広沢仁、木村友香三人展/プラスワンオフサイドギャラリー・東京

2011 9回アートプログラム青梅『山川の間で』/青梅市美術館・東京
         今、絵画は2011—交差するいのち/まいづる智恵蔵・京都

2012 框 木村真由美、広沢仁、木村友香三人展/アートスペース88・東京 

2013 25×2525×25 Contemporary Japanese & Australian Printmaking / Japan Foundation Gallery Sydney  
          
Australia 

2014 柳沢雑貨店/柳沢画廊・埼玉(‘15‘16‘17‘18 
        Artist Book 美術家がつくる本の形旅をよむー/アキバタマビ21•東京
        版画系/文房堂ギャラリー東京

2015 ガラスバリ 木村真由美、広沢仁、木村友香三人展/コートギャラリー国立・東京 

2016 The Human Figure 2 /柳沢画廊・埼玉  
        韓国・中国・日本作家慶州を描く/ラウギャラリー・韓国慶州市
        Air mailFenderesky GalleryBelfast, Ireland
        當廊由縁内外作家競演展/柳沢画廊・埼玉

2017 版画のコアcore1/文房堂ギャラリー東京 
        〒/柳沢画廊・埼玉

2018 Art Viewing OME/青梅市美術館・東京
        広沢仁・木村真由美二人展/天満屋広島八丁堀美術画廊・広島

2019 青い屋根 木村真由美、広沢仁、木村友香三人展/画廊翠巒・群馬 
        ジュータン 木村真由美、広沢仁、木村友香三人展/柳沢画廊・埼玉

2019 版画のコアcore2/文房堂ギャラリー東京

2020 もうひとつの前橋の美術Vol.2/画廊翠巒・群馬 ’23) 
         YANTaylor Galleriesdublin,Ireland,So Fine Arts Editiondublin,Ireland  

2021 DUB/柳沢画廊・埼玉 
        アートビューイング西多摩/青梅市美術館・東京  
        八色の森美術展/池田記念美術館・新潟(’22‘23)       

2022 天窓 木村真由美、木村友香、広沢仁3人展/ギャラリー砂翁&トモス・東京

2023 KWAIDAN/小泉八雲記念館・島根
        次元往来記(SI)黒須信雄、平埜佐絵子、広沢仁、山﨑豊三/Gallery SIACCA・東京






広沢仁さんには、佛淵静子さんと同様、この度、初めてご出展いただきます。
(お目にかかるのも初めて☆)

作品との出会いは昨年の『八色の森の美術展 2022-たおやかなまなざし』
(池田記念美術館/南魚沼市)にて。


2階の展示室中央、4面をガラスで覆われた箱のような世界の中で、
それぞれに物語を背負っていることを感じさせる姿が佇み、あるいは座り込み、
またあるいはワニに囚われたりしている様子に、釘付けになりました。


ふふふと、口元をほころばせかけた瞬間に、
はっと、息をのむような、こころもち。

何処から来て、何処へ向かうのか、あるいは向かわないのか、、、








「八色の森の美術展2022」出展作品 一部
(2022.10.9)



その作家が元来は版画家であることを知ったのは、最後にミュージアムショップに立ち寄ってからのこと。

彫刻は2020年に工具を譲り受けたことをきっかけに、
電動工具は使わないというルールを自ら設け、ノコギリ、ノミ、彫刻刀だけで制作。

今回は、シルスクリーンの版画と木彫、両方をご出展くださいます。

有元利夫は油画、版画に加えて、ブロンズ、乾漆、木彫といった立体作品も手掛けた作家で、『有元利夫 絵を描く楽しさ』(とんぼの本・新潮社/2006)には、有元利夫が版画と立体作品について書いた文章が収録されています。


複数の技法を行き来する作家、それぞれの心情に思いを馳せます。


今回、広沢仁さんにご出展いただけることが、本当にうれしいです。


広沢さんは今年の「第7回 八色の森の美術展」(9/2~10/22)にもご出展されました。


昨年同様、ガラスを隔てた向こう側のひとびとに目を凝らしながら、
たびのそら屋で直に拝見できる日を思い、胸が高鳴りました。


広沢さんは、自ら搬入・展示にお越しくださり、開幕初日と最終日に在廊してくださいます。

どうぞおたのしみに。






「八色の森の美術展2023」出展作品 一部
(2023.9.24)



喫茶室奥の書棚には「八色の森の展覧会」図録(2019~2022)もございます。

主に抽象画と立体作品による現代アートの大規模展覧。
来年の第8回を区切りに開催を終えられることが大変惜しまれます。






【喫茶室取り扱い品】

◆広沢仁さん 作品集
◆猪爪彦一さん 画集・版画集

『井田英夫作品集』
『野田英世 スケッチ集』(残1冊)
『コイズミアヤ 組み立て/空間と量について』(残2冊)


◆2024年カレンダー
:有元利夫カレンダー(有元利夫ノベルティグッズも少々)
:山口達己カレンダー


◆お支払いは現金もしくは会期中のお振り込みのみです。
  展示作品のお渡しは会期後です。




2023年10月30日月曜日

オマージュ展/佛淵静子

Tabinosoraya Presents
有元利夫 オマージュ展

2023/11/7(tue.)~19(sum.)
Open     11:00-17:00
Closed     11/10(fri.),15(wed.)
Last day  11:00-16:00





《 花のまち 》

麻紙、墨、胡粉、岩絵具、プラチナ泥/P6号/2021年



 HOTOKEBUCHI Shizuko



◆佛淵静子/日本画(十日町市)

web  https://siz.kissako.com/
Instagram @siz_co

在廊日:11/18・19(夕方)




《 瀞 》

麻紙、墨、胡粉、水干、岩絵具、プラチナ/M15号/2023年




<有元利夫作品のイメージ>

有元利夫の作品は、天井が抜けているというイメージがあります。
天から降り注ぐものを遮断せずに全部受けて、自分が発するものも全部天上につつぬけになっている、
天に曝露している、というイメージです。


<自分の作品について>

絵を作る始まりはいつも、モデルさんに来てもらってデッサンをさせてもらいます。
できる限り昼間の時間帯で、窓のある部屋で行います。
自然光が入る場所で描く方が顔や体にできる陰影が複雑になって柔らかさを出しやすくなるし、
外の光や音が入る方がモデルさんの表情が穏やかになるのではないかなと思うからです。
この度の展覧会では、私が思う有元作品の、天に抜けているイメージを借りて、
室内での自然光を感じる作品や、絵の枠の外側の世界がある作品を選びました。



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▶プロフィール

1974 東京都生まれ
1998 多摩美術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2000 多摩美術大学大学院修士課程美術研究科日本画修了
個展、グループ展にて活動


▶個展
2004 <ガレリアラセン>('01、’02)
2013 <ギャラリー名芳洞blanc>
2016 <潺画廊>('13、’14)
    <ギャラリー創>
2017 <柴田悦子画廊>('08、'09、'10、'11、'12、’14)
2021 『shell』 <Gallery Suchi>
2022 『mirror』<GALERIE SOL>(’12、’15)
2023 『プリズム』<楓画廊>


▶主な展覧会
2009 第44回昭和会展招待 <日動画廊>
2021 第10回菅楯彦大賞展 <倉吉美術館>
2022 『人のかたち・刹那のかたち -阿部勝則・佛淵静子二人展-』<星と森の詩美術館>
   『NかMかV』-阿部勝則・佛淵静子二人展-<ギャラリー名芳洞
     第24回雪梁舎フィレンツェ賞展 佳作
2023  『瀞子2』 -阿部清子・佛淵静子二人展-<Gallery Suchi>(`17)



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当ギャラリーでは、念願叶って初めてご出展いただきます。

多忙なスケジュールを縫ってのご出展で、過去作も含めていただいておりますが、
上記メッセージに書いてくださったような、佛淵さんと有元の世界が、
天を軸につながる様子を、感じさせていただけるのではないかと思います。

個展とはまた異なる、今展ならではのハーモニーを、どうぞおたのしみください。



2023年10月28日土曜日

オマージュ展/大橋麻耶

Tabinosoraya Presents
有元利夫 オマージュ展

2023/11/7(tue.)~19(sum.)
Open    11:00-17:00
Closed    11/10(fri.),15(wed.)
Last day  11:00-16:00

▶4名の出展者を順次ご紹介いたします。





《RUN》

OHASHI Maya




大橋麻耶/銅版画(長岡市)


2012年 長岡造形大学 美術工芸学科卒

【在廊日】11/19(午後)








《メッセージ》

作品テーマは『遠くて近いところ』。
旅のどこかで出会った記憶や、心の奥に触れた日々のことを重ねて制作しています。








たびのそら屋に隣接する「工房このすく」の運営メンバーでもある大橋麻耶さん。

2020年11月の「平野照子展-Present-」の折の喫茶室特別展示と ⇒
2021年9月の「工房このすく展」に、ご出展いただきました ⇒


今回、「このすく展」に出展された作品《RUN》も、出展作としてセレクトされています。


仕事と子育てをしながら過ごしてきた日々は、
作家として新作を次々と制作する状況にはなかったかもしれず、

まさに暮らしを走ってきた日々だったかもしれませんが、


それもまた確かな手応えを積み重ねてきた日々であったに違いなく、
これからの作品との出会いも、とてもたのしみに思っています。


麻耶さんの世界に描かれる、かろやかさ、と平常心。



さあ、行こう、


作家の中では、いつもなにかが、はじまりの時を迎えているでしょうか。。。





2023年10月24日火曜日

【次回】有元利夫 オマージュ展

2023/11/7(tue.)~19(sum.)
Tabinosoraya Presents

有元利夫 オマージュ展



OPEN 11:00~17:00
休廊日   11/10(fri.),15(wed.)
最終日は16時まで

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【出展者】

🍁猪爪彦一(新潟市)油彩

🍁大橋麻耶(長岡市)銅版画

🍁広沢 仁(東京都)シルクスクリーン・木彫

web https://www.ne.jp/asahi/hirosawa/jin/index.html Instagram@ jin_hirosawa


🍁佛淵静子(十日町市)日本画

web https://siz.kissako.com/
Instagram@ siz_co





12月に開催予定の「中村玄コレクション 有元利夫 版画展」のプレ企画です。

享年38歳の若さで病のため逝去した有元利夫(1946ー1985)は、イタリアのフレスコ画や日本の古画・仏画などに影響を受け、独自の表現世界を残した日本の洋画家です。


版画や彫刻にも才能をみせ、ヨーロッパの古楽にも憧憬が深いそのひとの世界を、末端のいちファンにすぎない私がひと口にお伝えすることは到底できず、その立場で「オマージュ」というのもなかなか大それたことだと思っておりますが、

中村玄さんにコレクション展を開催していただくに際して、この場所の前身である「ギャラリーmu-an」からつながる幾多のご縁への感謝とともに、歴史に刻まれた作家の世界を改めて愉しみながら、いまを生きるひとたちにつなぎ、共に親しみを深めることを「オマージュ」という言葉に託して企画いたしました。


《オマージュ展》の4名の出展作家は、僭越ながら私がその作品世界に対峙した時に感じる心地よい静けさや無重力感、あるいは遠くに聴こえる音色が有元の世界に通ずるように、感じた方々です。


猪爪彦一さん(1951年生まれ)は、まさに有元と同時代を生き、少し年上のその人の存在を意識しながら独自の世界を描いてこられた作家ですが、他の皆様は、有元に対して特別な念をお持ちだったわけではなく、ご依頼は意外だったかもしれません。


作家の皆様には、有元の作品世界に寄せていただかなくとも、日頃の制作スタンスでかまいませんとお伝えしています。


むしろ各作家の「日頃」の作品の中に、有元の世界に通ずるものを感じられたなら、
それが新鮮な出会いになるのではないかと思っています。


お客様の中には、有元利夫だけでなく、現役でご活躍中の出展作家たちについても、
今回が初めての出逢いとなる若い方々もいらっしゃることと思います。


従来からの各作家のファンの皆様にはもちろん、
いつでも「はじめて」の出会いをたのしむ気持ちでお越しくださるお客様と、

懐古の念とはまた違う、目の前の作品から自由に感じること、
新たな世界が自分の中に広がるうれしさを、共有させていただけますことを願っています。


ぜひ11月と12月、併せてご高覧ください。

作家略歴・メッセージ等は後日アップいたします。




2023年10月20日金曜日

Progressスピンオフ/Fibonacci

盛りだくさんだった8名の展覧会《Progress》。
綴りきれなかったことと、これからのことをもう少し。




閉幕後、学生たちは即座に、問いの続きへと向かっています。

修士1年の佐川さんと長井さんは、閉幕3日後に大学院の「中間発表」に臨まれましたし、

10/21・22・28・29に長岡市中心部で開催される「
長岡芸術工事中」には、ほぼ全員が出展されます。
こちらもどうぞおたのしみに。


※詳細は長岡造形大学HPの紹介ページ末尾に掲載されている各SNSをご参照ください⇒ 




なにしろ、ひと月、ふた月前に会った時と今回とで、もう変化している、と感じた彼らです。

《Progress》は進歩・前進する通過点。

悩みながらも、更に充ち満ちた日々が、積み重ねられていきますように。





印象的な毎日でしたが、
9月の展覧会《COREs》の出展メンバーがご来訪くださったことも
つながりを感じられて、とてもうれしかったことです。

9月の会期中は残暑が厳しくてご用意できなかったテラス席。

今回は土砂降りもある不安定な天候でしたが、会期末の晴れ間は最高に気持ち良く、
たのしそうな談笑が聞こえてくるのがうれしいことでした。


出展者8名それぞれとの語らいがありましたが、
その8人につながる出会いも、たくさんいただいて、、、

それもまさに ”フィボナッチ的” ではないかと、無限の螺旋に思いを巡らせる会期アフター。






先に触れたように、修士1年の佐川和暉さんと長井良太さんが中間発表前のタイミングでもあったことから、理論の部分も聞かせていただけたのがとても貴重なことでした。


「素材」との向き合い方、Artが生まれる瞬間(の連続)の一部を、垣間見せていただいたように思います。





長井良太《Turn the corner》



佐川和暉 《Fibonacci》作品部分



とりわけ佐川和暉さんの作品《Fibonacci》は、エキサイティングでした。

伝統工芸の「木目金」(もくめがね)といえば、人間国宝でいらっしゃる玉川宣夫さんの作品を思い浮かべますが、佐川さんの4つの作品によって私の中の印象は大きく変化しました。


以前、玉川宣夫さんの制作の様子を映したビデオを拝見し、鍛金技法の迫力や気の遠くなるような熾烈な政策工程が印象に残ったのですが、

佐川さんからは、私たちが完成された造形のうつくしさに出会う前の段階、「地金」をつくる際の考察についても伺うことができ、


(そのときすでに作家の中では完成形が思い描かれていること、
(金属個々の個性との対峙、偶然性が導く模様の魅力、微妙な温度管理の緊張感なども含め、、、


作家にとっての造形のはじまり、根幹に触れさせていただいように思います。






最新作の《Fibonacci》は、 いろんな意味で ”飛躍” の作品だと思います。

佐川さんにとってだけでなく、もしかすると「木目金」の伝統の中においても。


技巧の完成度や美術的観点からの論評は、ご専門の先生方に伺うとして、
私には、この作品は実に様々な要素を表しているように感じられ、目が離せませんでした。


目の前の風景や出来事、経験からくる感情を題材にしたArt作品や、
用途をベースにした工芸作品がある中で、佐川さんの《Fibonacci》はどちらでもなく、

素材の原理と、自然の法則という、変えようのないものと向き合い、
伝統技法を通して素材とのやり取りを交わしながら、導き、導かれ、生みだされた造形。


それは佐川さん個人の「問い」の追求の軌跡ですが、
「作品」となったそれは、作者を離れて普遍的なものを表していると思われて、

作品紹介のトピックスでは、「今回の展覧会で感じたかったことの様々についても、表しているように感じます」と書きました。







自然界の法則を表し、永遠の螺旋を描く「フィボナッチ数列」。

木目金の模様のひとつひとつが、尽きぬ可能性に向かって弧を描きながら続いていく、、、


それは作者だけでなく今展の出展者たちをも象徴しているような、
あるいは、出会いがつながって続いていく様子を表しているようにも思われて、

私が見たかったこと、この場で繰り広がることは、この作品に表わされている、と感じるのでした。


それはつまり、私たちのなりわいもまた、自然界の法則の中に(ありがたくも)存在していることを示していると言えます。

なんとあたたかく、こころ強いことでしょうか。。。

私たちは、安心して身を委ねればよい。



そうした螺旋のはじまりと行方をたどるような思考にいざなわれることも、
Art のちからであると伝えたく、、、

言葉にするのに苦心しましたが、したためておきたいと思いました。


長くなりましたが、
読んでくださりありがとうございます。






さて、夏に上越の知人からいただいたニチニチソウは、まだまだ咲いてくれています。

このつぼみの形状は「螺旋」ではないですが、うつくしく巻いた花びらがほぐれていくことには、何かしら理由があるのでしょう。


葉っぱの方は、よく見ると効率よく日のひかりに当たれるように、上手に重なりをずらしながら生えています。 ということは、、、

The フィボナッチ数列!🌿💕🐤 またテンションあがっちゃう。






先に開きたるは、しおれるを待たずに ぽとり

明日を蕾に譲らん







来春卒業の大嶋さん以外、学部3年と修士1年の7名は2025年に、一斉に卒業を迎える予定です。

たのしみです、たのしみだけど…  想像しただけで早くもうるる。。 そんな出会いになりました💐
道はその先も続いていくこと。わくわくしていきましょう!🌈



2023年10月18日水曜日

御礼/Progress

2023/10/6~15に開催いたしました
October Exhibition 《Progress》は、お陰様で大変にぎわいながら閉幕いたしました。







長岡造形大学の美術・工芸学科3年生5名と、
大学院 美術・工芸領域の1年生2名、2年生1名、総勢8名による展覧会。

集大成としての「答え」ではなく、現段階の「問い」に出会いたいと願って開催しました。





未完成であることや不完全さを恐れずに、模索した中でのベストを提示すること、
それを外部の評価にさらすことは、大変緊張することであったと思いますが、


絵画、日本画、彫刻、写真、鍛金、彫金、ガラス、、、
それぞれに技法や素材を学ぶ中で、自身の表現を追求する過程の作品は、

粗削り、といったことばで片付けたくないような、

更なる変容を含みながら、現段階での完成度を持って凛と立つ、
力強いひかりを放つものでした。


それは作品だけでなく出展者ひとりひとりに対しても感じたことであり、
在廊時にお越しくださった皆様には、きっと同じように、
眩しく感じていただいたのではないかと思います。







出展者は学生の「有志一同」ではなく、私がこの1~2年の間に個別に出会うことのできた方々です。

「学生」という集合体ではない、ひとりひとりの世界を垣間見せていただきました。





その出会いはひとえに、彼らが卒研や「長岡芸術工事中」など、一般市民に公開される場で作品を発表してきたことや、たびのそら屋に足を運んでくださり、自身の制作や発表への能動的な気持ちを聞かせてくれた、行動の蓄積の賜物です。

コロナ禍では学生にも様々な制約が課され、修士2年の大嶋さんの学年では卒研が非公開になるなど、関わりの断絶が至るところに生じた日々だったと思います。

そんな中でもタフに、柔軟に、世界を見つめ、制作の手を止めなかった彼らの話を聞けたのも、とてもうれしいことでした。







日頃から大学への接点をもたらしてくださる関係者の皆様にも、大変支えられています。

ギャラリー併設の「工房このすく」の運営メンバーでもいらっしゃる、小松佳代子先生、岡谷敦魚先生、そしてさかいともみさんからは、折々に、研究者として、教員として、作家としての制作や学術についての話題をもたらしていただき、学ばせていただくとともにギャラリーの立場でできることについても、様々なヒントを頂戴しています。 


小松佳代子先生の研究テーマのひとつである「作家の制作過程の思考」については、これまでも折々に話題にしてきましたが、それを開示することは、鑑賞者側が理解を深めるというだけでなく、作家にとっても、もたらされるものがある(場合もある)ということを垣間見る機会を幾度もいただいてきました。


そのことが、今展の下地となり、企画の意義についての確信を与えてくれたと感じています。





出展した学生たちが在籍する研究室の先生方には、授業や制作課題に加えての学外展示の取り組みを、あたたかく見守っていただいたことと存じます。


ご多用の中、足をお運びいただき、じっくりとご覧くださいました馬場学長はじめ、先生方、教務補助職員の方々、関係者のみなさまのお力添えに、心より厚く御礼申し上げます。


卒業生や、学友、後輩の皆様がご覧くださったことも、出展者たちには大変励まされることであったと思います。


手仕事や美術作家の方々にも多数お越しいただいたことも、とてもうれしいことでした。


私と同じく、一鑑賞者として関心を寄せてくださいました皆様におかれましては、若者たちのこの先の展開をたのしみに思う気持ちを共有させていただけることが、なによりうれしいことです。

SNS含め、広報にご協力くださいました皆様、事業所ならびに各紙様にも、
心より感謝御礼申し上げます。

どうもありがとうございました。







Special thanks for 8 progresses.


💐大嶋周二朗 💐佐川和暉 💐長井良太 
💐井上結衣  💐江濵陽莉 💐小林優月 💐坂井優斗 💐堀内路加






綴り切れなかったことを、もう少し
スピンオフとして書きたいと思います。


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《 次回展覧会 》




2023.11.7(tue.)- 19(sun.)

有元利夫 オマージュ展



🍁猪爪彦一(新潟市)油彩
🍁大橋麻耶(長岡市)銅版画
🍁広沢 仁(東京都)シルクスクリーン・木彫
🍁佛淵静子(十日町市)日本画

OPEN 11:00~17:00 ※最終日は16時まで
休廊日  11/10(fri.)、15(wed.)


詳細は近日アップいたします。
勢いある若者たちの展覧会から、今まさに活躍の作家たち、
そして歴史に刻まれた憧憬の作家の世界へと、企画展は続きます。
11、12月もどうぞお楽しみに。