2023年2月18日土曜日

竹本悠大郎さん修了展に寄せて

今週末を残すのみとなりました。 《 長岡造形大学 大学院博士(後期)課程修了作品展 》
2023年2月9日(木)-2月19日(日)午前9時~午後5時
新潟県立近代美術館2Fギャラリー(長岡市千秋3丁目278-14)
入場無料/休館日:2月13日(月)





下の画像は2022年6月の《竹本悠大郎 彫刻展》のDMです。 修了展と重ねて振り返りたく、当時のブログを下に抜き出しました。
よかったらご参照ください。



 

〔 たびのそら屋オフィシャルブログより 〕 (6/2) 展覧会のご案内
(6/3) 6/25ワークショップ開催のお知らせ
(6/17)作家メッセージ (6/24)手掛かり
 雑文ですが、個人的にこれまでに経験したことのない感覚について思いを巡らせて  過ごしたことを、したためておいてよかったと、読み返しながら思います。  迷い猫事件もこの会期中のことでした。 (6/28)hieroglyph
(7/1) 御礼






個展を通して、竹本さんの乾漆彫刻と、その制作を巡る探究を垣間見させていただけたことは、大変貴重なことでした。
「脱乾漆」という技法に親しむこと自体が初めてでした。 人体の彫刻を味わうということも、実はそれまではあまり積極的ではありませんでした。
目の前の作家がどんな思いでそれと向き合っているのかについての関心は、いつでも十ニ分にあります。 竹本さんには、語らいを通して、私が私の体感として彫刻を味わえるところまで、導いていただいたように思います。







そこには、美術や工芸にまつわることを学び、味わうというだけではない ”なにか” があったと思います。 私も、お客様方も、個展をサポートしてくださった学友の皆様も、そしてきっと竹本さん自身も、それぞれに異なる、そのひとだけの ”なにか” を、個展会期の様々な語らいの中から得たのではないかと感じます。


竹本さんは彫刻制作において、実材(素材)に「自分のイメージを問い直す」ための”時間” をこそ求めたということを、研究発表の中でおっしゃっていました。
そのままのことが、
ふるさと兵庫から、信州(大学)、上越(修士)を経て、長岡(博士)に至った、
その道のりの日々の中で、繰り広げられてきたのではないかと、 このたびの修了展を拝見しながら思いました。


彼が出逢ってきたひとたちはみな、直接的にやりとりを交わした実材ならぬ ”実在” であり、 竹本さんはそれぞれの場所に(乾漆の制作と同様に)時間と手間のかかる、終わりどころのない、大切なものを、築いてきたのではないかと、


この長岡の地にも、確かに。







それが修了展の、この素敵な招待状であり、
先ごろの学内での最終発表であり、近代美術館の展覧会会場なのでないかと、、、







そうしたこと蓄積が、作品から発せられるものと大きく関わるのではないかという
確信を深めた、この度の作品との対面でした。


いにしえの名も知らぬ仏師の像が、現代の私たちに語りかけるものがあるのと同様に、
彼のバックボーンを知らないひとにも、作品から届くちからがあることは、
私が言うまでもないことですが、


彫刻作品と論文以外にも、竹本悠大郎さんが長岡の日々に修めたものがあることを
書き記しておきたい気持ちです。







これからもよい旅を。







修了展では、作品に直接触れることもできるとのこと。
乾漆彫刻に触れる機会は、極めて稀なのではないでしょうか。

竹丸草子さんの研究からも、一見、古典的に見える竹本さんの彫刻からも、
様々な価値の転換への意識が発せられています。


この土日、ぜひお出かけください。










2023年2月11日土曜日

【開催中】長岡造形大学大学院博士(後期)課程修了作品展

《 長岡造形大学 大学院博士(後期)課程修了作品展 》
2023年2月9日(木)-2月19日(日)午前9時~午後5時
新潟県立近代美術館2Fギャラリー(長岡市千秋3丁目278-14)
入場無料/休館日:2月13日(月)




<出展者>大学院造形研究科 博士(後期)課程 造形理論 2名

________________

<展示作品>
・竹丸草子 博士論文及び、博士論文に関する展示
・竹本悠大郎 博士論文及び、博士論文に関する展示、彫刻作品

<展示作家の美術館在廊予定>
・竹丸草子:12日(日)〜15日(水)、19日(日)
・竹本悠大郎:9日(木)〜19日(日)
*いずれも9時〜17時/13日(月)は休館日



出展者は、昨年6月に、たびのそら屋で彫刻展を開催された竹本悠大郎さんと、その会期中に開催されたワークショップでファシリテーター(進行)をつとめられた竹丸草子さん。 お二人とも、小松佳代子教授の研究室で博士(後期)課程を学んでこられました。

小松先生が地域との関りを意識してくださるお陰もあって出会わせていただき、在学の日々の中で作品や研究過程のお話を伺う機会をいただけたことは、とても貴重な、こころ踊ることでした。


竹本さんの展示は、会場内が目に入った途端、歓声をあげ…かけたと同時に、 息を吞み、ロックオン… 自身の世界が固まったのでなく、無限になったような… 
素晴らしい衝撃でした。

皆様にもぜひ、その瞬間を味わっていただきたく、ここでは作品画像は載せませんが、 会場の様子は上記お二人のFacebookでご覧いただけます。






竹本さんの乾漆彫刻もさることながら、 それぞれの研究の着眼点や到達点にもご注目ください。
お二人それぞれが追究する道において、従来、注目されてこなかったところに着目し、 初めて実践者であり研究者として言語化してみせた成果です。


竹丸さんの研究は、「場」づくりに関わるひとにはハッとさせられることが多々あると思います。論より本人、と言いたくなるようなお人柄の竹丸さんに会っていただけたら最高です。
二度目に会った時にはもう”旧友再会”のような気持ちになる不思議。
竹本さんの研究については、工芸作家が技法以外のこと(制作における心の在りよう)を主題に論ずること自体が非常に珍しいことだそうで、長岡造形大学の美術工芸領域での博士号取得は、竹本さんがお一人目となるとのことです。

竹丸さんは元より関東在勤で学んでこられました。 竹本さんはこの春、長岡を離れられます。


在廊日の出会い、語らいは、どなたにとっても かけがえのない時間となるのではないかと思います。


後日、個人的な所感を綴りたいと思います。







以上は、県立近代美術館2階のギャラリーにて。

国道を挟んで隣接する長岡造形大学のキャンバス内では、
学部生と修士(前期)課程修了研究展が開催中です。


◆長岡造形大学 卒業・修了研究展 2/10~13 

会期は3日間のみですが、3年ぶりの一般公開による開催です。
学生の皆様、おめでとうございます。

本館だけでなく隣接する工房棟や「展示館」にも展示されており、かなりの見応え。
時間にゆとりをもって行かれることをお勧めします。

詳細は大学HPをどうぞ⇒