開催中の展覧会《 染め 織り 縫う 編む 》では
「編む」担当イメージでご出展いただいた勝見俊介さんなのですが(!)
今回は機械編みをもとにした作品のほか、
デザインの手法は共通すれど、編んではいない作品も。
かぎ針編みの作家として出会った勝見俊介さんの進化・変化が著しくて、
1年ぶりの作品に、昨春とはまた違った衝撃と感嘆が尽きません。
お客様方も、なんとなく糸的な素材感は感じつつも、
これは一体、、、? と、戸惑いが隠せない様子がうれしい会場
以下、作品のコメント(色文字部分)は勝見さんのインスタグラムから引用させていただきました。
会場で実作品をおたのしみください。
《 綱引き 》
ナイロン糸、アクリル絵具、テグス、釘、木製パネル、アクリルパネル
41.8×46.4cm/2026
透明な糸で編んだ編み地に着色した作品。
編み目に目詰まりさせるようにして色を付けた。
星名康弘さんの植物染めの作品を見てわかるように、
染め物といえば「糸」を染めますが、
勝見さんの作品《綱引き》は、ベースとなっているのがナイロン糸であるゆえに染まらず、
編み目の「目」の中にアクリル絵の具を置くように、「目」の部分を埋めるようにして、
ハーフトーン化した写真を再現しているとのこと。
プリントだったら一瞬で仕上がるようなことを、
作家は、ひと目、ひと目に、、、、 編むかのように、、、
この作品を魅せるための額装や、もとになった写真の由来など、
見どころ、語りたいことの尽きない作品です。
《 Uncle 》
プラスチックボール、アクリル絵具、テグス、木製パネル、アクリルパネル
49.3×36.4×9cm/2024-26
印刷やシルクスクリーンなどで昔から使われる網点を、
実際のボールにしたらどうなるかなと思い作った作品。
元にした絵柄あり
ボールは、サヨリ釣りの仕掛けのウキと同じ付け方でやった。
《Uncle》はいわゆる”編んだ”作品ではない装いですが、
網点化した写真をベースに用いていることで、《綱引き》と連作のような、派生する作品。
そこには毛糸用のかぎ針も、機械の編み機もなく
空間にドットをうつくしく編み上げる
作家の指先があるのみ
モチーフとなっている元絵について、会場では答えをお伝えしておりますが、
(聞けば、嗚呼!と合点) 聞かずともわかった方はおられるでしょうか…?
アクリル板への固定の仕方も、影もうつくし
《 Warming Up 》
ウール、木製パネル
34.2×50.1cm/2026
家庭用編み機を使用したインターシャという編み方の作品。
車は70年代のミニカスキッパー。
色の切り替え時に生じる糸の端々
本来は裏面になるところ
(うちわなどで)風を受けると疾走感満点
勝見さんは、編み上げたのちに、絵柄を見せるための張り具合を考慮しながら、
作品に合わせて自ら額装をされます。
見せる形状に仕上げてこその完成。
そのための工程もまた、1作、1作、異なる工夫が凝らされた、気の遠くなるような仕様です。
《 Warming Up 》も仕上げが大きなひと仕事。
画像では木製パネルに貼ってあるように見えるかもしれませんが、実はそうではなく、、、
貼っただけでは端からめくれてくるであろうということで、
どうしていると思いますでしょうか、、、
ニットだから手のかかることがあり、
ニットだから対応できることがある、、
作家の意匠は細部に至るまで甘んじることなく、
《 カーペットビートル 》
ウール、コットン、のり、わた、木製パネル
71.5×53×11cm/2026
ウールを食べ、セーターに穴を開ける虫を実際の姿を参考にして、
ウールをメインに使い、家庭用編み機で編んだ作品。
本当の姿は、肉眼では小さ過ぎて分からないけど、
拡大した画像を見ると、本当に繊維が飛び出しているようになっていて、
ニットで作れそうだったので作った。
和名があまり好きになれないので、
欧米の通称名のカーペットビートルをタイトルにした。

ギャラリーに入ってまず目を引く作品。
スゴイの来ちゃった、、
「てんとう虫みたい」と言っていただけたなら、
そういうことにしておいてもいいかな、、、と思いながらもちゃんとご説明しております。
スピーディーに編めるのがメリットとおぼしき機械編みのはずなのに
修行のように手間のかかることを成す、、
しかもモチーフは今回の出展作家の皆さまの天敵ともいうべき「カツオブシムシ」。
(確かに「カーペットビートル」と言う方が、キミも頑張って生きているね、と許せる感じがします。。
現物にかなり忠実に作られているということで、
細部の再現においては《綱引き》や《Uncle》と通ずる作品であるといえそうですが、
そもそも勝見さんの作品世界、モチーフとの対峙の仕方がそういう目線なのだと、
これまでの作品に思いを巡らせます。
喫茶室では2023年と2024年の個展をまとめた作品集を販売しています。
とくに2024年の作品集は、これ自体が一点物の作品ともいえるスペシャルな仕様。
ニットの技法や編み目、そこからの派生をどう見せていくかの展開。
ポートフォリオのファイルと併せてご覧ください。
ムイムイはあまり得意ではないのですが、、
徐々に愛おし
ニットだもの
▶勝見さんは、16(土)17(日)終日在廊です🐞