今回、なんといっても癒されるのが、矢川実侑さんの作品です。
とりわけ窓辺の展示台に配置された、石塑粘土と、おさえた色彩で表現された《淵源》は、
さりげないミニチュアのようでありながら、造形と余白のなせるわざ。
観る者を、たちどころにゆたかな川べりへといざなう作品です。

《淵源》
ときどき土手を散歩します。
風にそよぐ草木や水面を泳ぐ鴨など、散歩道の景色を見ていると
今まで自分がいた場所とは違う世界に来たような気分になります。
大きな川のようにゆるやかな時の流れのなかで、
草木や鳥たちが各々の時間を過ごす空間が心地よく、
その桃源郷のような景色を刺繍糸や淡い彩色で表現しました。
大きな川のようにゆるやかな時の流れのなかで、
草木や鳥たちが各々の時間を過ごす空間が心地よく、
その桃源郷のような景色を刺繍糸や淡い彩色で表現しました。

中学生の頃から、仏像に対して「かっこいい!」と魅了されてきたという矢川さん。
大学で木彫を学び、卒業後は仏具の修復などを手掛ける工房に勤め、
現在は主に金箔を貼る工程を担当しておられます。
大学で木彫を学び、卒業後は仏具の修復などを手掛ける工房に勤め、
現在は主に金箔を貼る工程を担当しておられます。
作業時には特別なケハイの中で、厳かなこころもちで過ごすものだろうかとお尋ねしたところ、
最初こそ、工房にずらりと並ぶ仏像に圧倒されたものの、
今では納期を意識しながら、あくせくと必死に手を動かす日々とのこと。
今では納期を意識しながら、あくせくと必死に手を動かす日々とのこと。
そんな中、時折足を運ぶ工房近くの刈谷田川の景色こそが、
「桃源郷」のような、別世界に感じられるのだとか。
「桃源郷」のような、別世界に感じられるのだとか。
ギャラリーにひしめく(矢川さん含む)各作家の、
細密で、計り知れない根気と探求力を感じる作品と対峙し、解説し、
短い会期を惜しみながら、目の前に繰広がることに集中し続けた一日のおわり、
ひとり窓辺の作品の傍らに佇むとき、
細密で、計り知れない根気と探求力を感じる作品と対峙し、解説し、
短い会期を惜しみながら、目の前に繰広がることに集中し続けた一日のおわり、
ひとり窓辺の作品の傍らに佇むとき、
夕暮れの日差しと緑のきらめきを感じながら
静かに平穏なる世界に浸る至福と安堵、、、
静かに平穏なる世界に浸る至福と安堵、、、
この感覚を、
どう言い表したらよいかと思いを巡らせて過ごした幾日か。
どう言い表したらよいかと思いを巡らせて過ごした幾日か。
彼女が感じているのは、、 伝えたいのは、、、
この感覚なのではないかと、思うのです。
川の流れを見せる鳥たちの配置と併せて、土手を模した造形物が、
外側を形作らず、川側の内側斜面のみが造成されていることも印象的です。
”娑婆”ともいうべき土手の外側から視線を切り離し、
”彼岸”としてのあちら側、川べりへと向けさせるようにも思われ、
空間をつくる彫刻のちからと、この作品の秀逸さを改めて感じます。
かつて大作によって作品の迫力や、素材の放つケハイを表現した矢川さんですが、
大学の工房から自宅へと制作環境が狭くならざるを得なかった変化の中で、
表現しようと思うものは、必ずしも大きさに因るものではないかもしれないと、
大小様々な仏像に触れる中で、感じることもあったでしょうか、、

作品タイトルの「淵源」とは、「物事が成り立っている根幹、あるいは事の起こりとなる「みなもと」のことで、単なる始まりだけでなく深い背景や根本的な原因・ルーツを意味するのだとか。
矢川さんが勤める工房の裏手を流れる刈谷田川は、奇しくも私の町を流れる川でもあります。
幾たびの氾濫を繰り返してきた暴れ川の歴史をもち、
2004年にも人命を奪う大洪水を生じた大変な川ですが、
私が川好きであること、川のある町、川べりの環境を好んで暮らしてきたことのルーツでもあると、、、
そんなことも思いながら、鴨たちの浮かぶ白き川べりに佇む夕暮れ。
《寂しくないように》
夏に瓢湖を訪れたときに、怪我をした白鳥が北へ帰らずに過ごしているのを見ました。
冬には枯れ木と雪の白だけだった湖に、梅雨には紫陽花、夏には蓮など
白鳥のそばに生い茂る植物も次々と咲いていました。
ゆっくりと羽を休め、次の冬が終わる頃には北へ飛んでいけるようにと願って制作しました。

《素敵な夢を》
愛犬と茶の間に行くと、嬉しそうに座布団の上でお腹を出してごろごろします。
その姿はまるで踊っているようで、とても幸せそうです。
犬の日々が踊るように楽しい毎日であればと思い、その姿を作品にしました。
《再逢一処》
毛糸、羊毛、布、檜/2023-2024
矢川さんには、彫刻に毛糸を配置する作家としての志向に着目しての出展依頼でしたが、
大学で学ばれたことと、個人として表現したいこと、
そして仏具・仏像の修復に携わる職人としての生業が、
たしかな一本の道の中にあることに出会わせていただけたことが、とてもうれしいことでした。
この先、いずこに比重が置かれようとも、
その道行きが、たのしみです。
大学で学ばれたことと、個人として表現したいこと、
そして仏具・仏像の修復に携わる職人としての生業が、
たしかな一本の道の中にあることに出会わせていただけたことが、とてもうれしいことでした。
この先、いずこに比重が置かれようとも、
その道行きが、たのしみです。
▶作家在廊予定
5/16(土)勝見(終日)、高木(午後~)
5/17(日)勝見、星名、山川(終日)、高木、矢川(午後~)
最終日は16時にて閉幕です。
最終日は16時にて閉幕です。














































