2023年10月3日火曜日

Progress⑤江濱陽莉さん

2023 October Exhibition 《Progress》10/6 fri.-15 sun

Tabinosoraya Presents / Feat.長岡造形大学学生・大学院生8名の展覧会

出展者を順次ご紹介しています。

▷氏名(敬称略)
 出展作品/所属 ( )は主に学んでいること
 在廊日(記載なしは未定)/略歴/メッセージ




江濵陽莉 

絵画/視覚デザイン学科(絵画)3年
Instagram @hyo_5002


【略歴】

2002年  長崎県生まれ。
2021年  長崎県立波佐見高等学校 美術・工芸科 卒業
            長岡造形大学 視覚デザイン学科 入学

20238月 地元長崎県の古民家喫茶で初個展「日記」を開催





【メッセージ】

生活の中で度々訪れる、ふっと力が抜ける瞬間。
そんな、柔らかくて温かい一瞬を切り取った絵画作品を集めました。
人の心を弾ませる何かは、意外とその人のすぐそばにあるものなのかもしれません。





初めてお会いしたのは昨年、同期のお友達と3人で展覧会を観に来てくれて、
2度目の来訪時だったか、展示するにはどうしたらよいですか、と尋ねてくれました。


作家活動をしいる方から、そうしたお話をいただくことは時折ありますが、
学生の方から希望を寄せていただくのは久しぶりのことで、まずはうれしく、

2年次から大学外部で展示するイメージを抱いていることにも感心して、
どんな作品をつくっているのか、どんな展示をしたいのか、
後日、プレゼンをしてくださるようにお願いしました。


結果、自分たちがやりたいことが見えていなかったということで、その話は流れたのですが、
その時にひよりさんが見せてくださったハガキサイズの作品が個人的にとても好きな感じで、
その3人とも、何を創る、どんなひとになっていくだろうかと、たのしみに思う気持ちが残りました。

《Progress》の企画が立ち上がった折、ひよりさんの今の作品を拝見したいと思いました。

久しぶりに連絡を取った彼女は、夏休みにふるさとで個展を開くようなひとになっていました。






坂井優斗さんの紹介トピックスで話題にした「作家の最新作」という課題は視覚デザイン学科の授業の一環だそうで、同じく視覚デザイン学科の江濵陽莉さんは「ローマン・シグナーの最新作」という題で制作したとのこと。送ってくださった展示風景を、ご承諾を得てご紹介いたします。






「ローマンの作品は、自然エネルギーをテーマにしているものが多いと感じたので、風で揺れる木が描いた絵を元に、5つの絵画作品を制作しました。展示では、その5つをポスターに印刷して展示しました」




右側が、風で揺れる木が描いたもの。

左側は、その線からイメージしたポーズが描かれています。

なんて素敵なイメージ力☆


 


この課題の展示が始まる頃に、用あって大学を訪れていた私。
展示途中の作品が館内に散見される中に「もしかして、ひよりさん??」と思う作品が目に留まったのですが、まだキャプションが付いておらず作者名を確認できなかったという出来事がありました。

半ば答え合わせのように、展示したかどうかをお尋ねしたところ、、、
階段の壁面に展示した写真が送られてきて、やはり、ひよりさんの作品だったことがわかったのがうれしかったこと。

小さいパネルの方は、私が見た時にはまだ付いてなかったのですが、このような成り立ちになっていたことを知り、改めて唸りました。

___________


《Progress》では、ひよりさんが日々のライフワークにしてきた「暦」シリーズを含め、
こころ癒されるものや情景を描いた作品をご出展くださいました。
部屋の壁の一角をイメージした展示になっています。
暮らしの中で気軽に飾ってほしいという願いも込められています。


___________

◆個人的参考:「ローマン・シグナー」についての手掛かりの覚え書き

Roman Signer(ローマン・シグネール)スイス
地球の歩き方web⇒
画像検索すると、衝撃のアクションやインスタレーションがたくさん出てきますが、、、

その心髄は、、、 
ユーモア?

ひよりさんが制作した「最新作」は、爆発や放水は起きないけれど、
いい具合にそれを含んでいるように感じました。





Progress④坂井優斗さん

2023 October Exhibition 《Progress》10/6 fri.-15 sun

Tabinosoraya Presents / Feat.長岡造形大学学生・大学院生8名の展覧会


出展者を順次ご紹介しています。

▷氏名(敬称略)
 出展作品/所属 ( )は主に学んでいること
 在廊日(記載なしは未定)/略歴/メッセージ

▷以下の画像は、今回の出展作の基となった坂井優斗さんの写真作品です。



SAKAI Yuto


坂井優斗

写真/視覚デザイン学科(写真)3年

Instagram @yuto__sakai
WEB : https://yutosakai.com/


【在廊日】10/8・15 





【略歴】

2002年新潟県生まれ。同年代の作家たちと共にゲリラ展「flash exhibition」を開催するなど、既存の形式にとらわれない自由な着想で作品を発表している。

自費出版による作品集の流通を積極的に行い、刻一刻と移り変わる雪景色から想起される多層的な記憶のレイヤーを定着させた『Yabun/Kōryō』(自費出版、2022年)、撮影という行為に伴う刹那的な運命との対峙に苦しみながらも写真家宣言として完成させたデビュー作の『Hello, Goodbye』(自費出版、2021年)など10冊の出版物がある。






▶主な出版物
2021  Hello, Goodbye (私家版)
2022  Yabun/Kōryō (私家版)
2023  Fleeting Light (私家版)

▶主なグループ展
2021  第14回4大学合同写真展まる展 (オンライン)
2022  長岡芸術工事中 / 近藤ビル (新潟)
2023  小諸アーティスト・イン・レジデンス成果展『KoMoro-Mori-More』/ サロン・ド・ヴェール, 奈良邸 (小諸)

▶主な受賞歴
2023  IMA next "NIGHT" ショートリスト (野村佐紀子 選)





【メッセージ】

私は視覚デザイン学科松本ゼミで「写真を用いたアート表現」を研究しております。

今回は、写真が現代美術の領域で地位を確立する上で欠かせない存在であるベッヒャー夫妻から着想を得て制作を行いました。

私たちが体験した劇的な時代を描きながら、写真や彫刻といった境界に対して静かに揺さぶりをかけるような作品になっています。

是非お気軽にご感想をいただけると嬉しいです。








これらの画像は、坂井さんが今年度前期の授業における「作家の最新作」という課題で制作した写真作品で、5枚目は学内に展示した時の様子とのこと。


《Progress》には、この提出作品への講評を受け、全て撮り直し、ブラッシュアップしたものを、他のシリーズと共にご出展。


日々の経験を咀嚼し、即座に進化していく様は、
坂井さんだけでなく、どの出展者との語らいからも感じられ、
このところの季節の移ろいの速さと重ねて、目を見張る思いの開幕前。

______


坂井さんは、先の《COREs》の出展者・Asako Ogawaさんと偶然にも同郷とのこと。
あさこさんと同様に写真はフィルムで撮り、自身で手焼きされます。

ふたりとも大切にしているのは、その技法や材質的なこだわりに加えての、
写真を撮ることの意味。


私は「写真」についてはより一層、理解し語るための十分な言葉を持っておらず、
坂井さんの話にも、わからないことがたくさんあるのですが、

これまで、わからないなりに写真をたのしめてきたことと、
わからないから距離を感じていたこととの間が、
語らいを通して、パズルの空白が1ピースずつ埋まっていくような、
見えるものが少しずつ増えていくような、うれしい感覚を過ごしています。








坂井さんとの出会いは今年の5月。

このブログでもご報告した新潟日報さんのフリーペーパー「n-assh」にご掲載いただいた折、表紙はたびのそら屋の一角の風景だったのですが、その写真を撮ってくださったのが坂井優斗さんでした。

ブログ記事⇒


最新号の「n-assh」(9/28号 vol.291)の表紙も坂井さんが担当されたとのこと。
期間限定でこちらからご覧いただけます⇒


鯨波のお気に入りの場所から撮ったという水平線の写真。



高校時代、地元・見附駅から電車に乗って、海に一番近い駅・青海川駅まで、
ちいさな旅をした日のことを思い出しました。

どこまでも続く広い海を感じたかった気持ち。


幼いころに理屈なくすきだったものは
年を重ねてもほとんど変わりません。


____________________________

◆個人的参考:ベッヒャー夫妻についての手掛かりとしての覚え書き

Art Photo Site⇒
Art&Article⇒
nostos books⇒
artoday-chiaki (note) ⇒


言葉を得ることで、
私は子どものころからタイポロジー(類型学・形式論)なる目線がすきだった!と、

明確に自覚できたりして。
 

知るはたのし。



2023年10月1日日曜日

Progress③長井良太さん

2023 October Exhibition 《Progress》10/6 fri.-15 sun

Tabinosoraya Presents / Feat.長岡造形大学学生・大学院生8名の展覧会


出展者を順次ご紹介しています。

▷氏名(敬称略)
 出展作品/所属 ( )は主に学んでいること
 在廊日(記載なしは未定)/略歴/メッセージ







NAGAI Ryota



長井良太

彫刻/大学院 美術・工芸領域(彫刻)修士1年


【メッセージ】

何を懐かしいと感じるのか
私的な体験をもとに
どこにでもある景色に落とし込んだ








《 いつか忘れる 》

2022年度卒業修了研究展
優秀賞




今年2月の卒業修了研究展(卒研)で、とても印象的だったのが長井良太さんのこちらの作品です。


1室を丸ごと用いた鉄線の造形物によるインスタレーション展示は、
4日間の会期中、日ごとに作者の手によって「変容」していくというものでした。


その様子は、長岡造形大学のアーカイブでご覧いただくことができます⇒ 

長井さんの作品も、先にご紹介した佐川和暉さんとともに優秀賞を受賞しました⇒ 



とても興味深くて、私は二日間、拝見したのですが、
(卒研全体が大変ボリュームがあり、素晴らしくて、一回では見きれなかったのです)

展示室で僅かに解説をしてくれた長井さんと、今、改めて語らうことができ、
新たな作品を拝見できることがとてもうれしいです。


彫刻を学ぶ長井さんが、素材として「金属」に興味があるのかと思いきや、
そういうわけでもないそうで、
今回は素材を大きく変えて(つまり技法も新たに)試みの作品に挑んでくださっています。


どうぞおたのしみに。





長井さんが日頃制作している場所は、この春に博士課程を修了された竹本悠大郎さん(2022年6月にたびのそら屋で乾漆彫刻展を開催)が使用していた大学内のアトリエ。


脈々と、若者たちの日々が刻まれて、旅立っていく場所。



2023.7



2023年9月30日土曜日

Progress②佐川和暉さん

2023 October Exhibition 《Progress》10/6 fri.-15 sun
Tabinosoraya Presents / Feat.長岡造形大学学生・大学院生8名の展覧会


出展者を順次ご紹介しています。

▷氏名(敬称略)
 出展作品/所属 ( )は主に学んでいること
 在廊日(記載なしは未定)/略歴/メッセージ





SAGAWA Kazuki



佐川和暉

鍛金(器物・造形作品)/大学院 美術・工芸領域(鍛金)修士1年 
Instagram @lignum___vitae

【在廊日】10/8・15

【略歴】

2022年 第50回 伝統工芸 日本金工展 21+部門 入選
2023年 第51回 伝統工芸 日本金工展 入選 ⇒ 受賞・入選作品画像一覧 








【 木目金屋久杉拭漆蓋物「杢合」】

素材、銅、黄銅、屋久杉
サイズ、Φ118×H91mm

第50回記念 伝統工芸 日本金工展 21+部門 入選


「以前から興味を持っていた木目金という技法に初めて挑戦した作品」





【 木目金花器「春雷」】

素材、銅、黄銅、四分一、銀、赤銅、金箔
サイズ、Φ235×h245㎜

第51回 伝統工芸 日本金工展 入選


「大学の卒業研究で制作。
四季の器をテーマとし
「春」のイメージから木目金で花器を制作」




【メッセージ】

木目金と呼ばれる、複数種類の金属を重ね合わせ、上面から層を削り出し、
叩き延ばすことで独特の紋様を生み出す技法で制作を行っています。

木目金という技法、素材から導かれる造形や表現について大学院で研究しています。


_____________________

佐川さんは、2022年7月の展覧会《ヤマノヨブコエ》開催の折、大学の先輩にあたる蓑輪朋和さん
(現在は鎚起銅器職人として活躍中)がご出展とあって、ご来訪くださいました。


その後、長岡クラフトフェアのブースで拝見した鎚起銅器の器やユニークな植栽用の鉢も興味深かったですが、なんといっても今年2月の卒研で拝見した、画像3枚目の【 木目金花器「春雷」】の、みごと。


技術はこれからも追求する道の尽きないことと思いますが、
今、溢れる感性、エネルギー、関東生まれの若者が雪国で思う春のイメージ、、、

そうした発せられるものの瑞々しさを、
重々しいものとして受け止めがちな銅の伝統工芸作品に感じることへの驚きや
新鮮な感動がありました。


「春雷」は卒研で優秀賞を受賞⇒
長岡造形大学のサイトから卒研時のレジュメも
ご覧いただけます⇒  
制作過程の記述と併せて、佐川さんが魅了された「木目金」についての解説がとても興味深いです。



佐川さんのInstagramには、作品の中側や底面の画像もアップされています。
インスタアカウントのある方は、実作品との対面を待ちながら、そちらもご参照ください。

@lignum___vitae


______________________


2023 October Exhibition 《Progress》
10/6 fri.-15 sun

▶Open   11:00-17:00
▶Last day 11:00-16:00
▶Closed    10/11wed.



Progress/出展者紹介①大嶋周二朗さん

2023 October Exhibition 《Progress》
Tabinosoraya Presents / Feat.長岡造形大学学生・大学院生8名の展覧会

10/6 fri.-15 sun

▶Open   11:00-17:00
▶Last day 11:00-16:00
▶Closed    10/11wed.

▷作品画像は出展作品ではない参考画像も含まれます。

▷氏名(敬称略)
 出展作品/所属 ( )は主に学んでいること
 在廊日(記載なしは未定)/略歴/メッセージ






OSHIMA Syujirou



大嶋 周二朗 

絵画/大学院 美術・工芸領域(絵画)修士2年


【略歴】

1999年 栃木県日光市生まれ
​2021年 長岡造形大学造形学部美術・工芸学科卒業
2022年 長岡造形大学大学院修士課程 在籍中




 



 【メッセージ】

 目の前の壁に1枚の絵が掛かっている。
ただそれだけのことが、たまに途方もないことのように思えてくることがあります。
しかし途方もなく感じると同時に、ひどくさっぱりとした心もちもある。
どうしたものかと、いつも頭をかかえてしまいます。






2021年に卒業を迎えた大嶋さんたちの卒業修了研究展(卒研)は、大学のコロナ対策のため一般非公開になり、代わりに館内展示の様子を撮影したオンライン動画が配信されました。


美術工芸作品の鑑賞としては、実にもどかしさのつのる状態で、カメラ越しの学生の説明もよく聞き取れないものもある中、異才を放っていたのが大嶋さんでした。


大学関係者の方から「とにかくいつも描いているひと」だとお聞きしたことがありました。


動画の中で、ギターをかき鳴らしながら解説する大嶋さんの存在は、作品以上にインパクトを与えるものでした。


2022年には、長岡中心市街地で恒例開催の「芸術工事中」の会場で、大学院生になった大嶋さんの作品と遭遇しました。


このときも、作品以前に展示のトータルが、何を意図しているのか、いないのか、、、
適当なのか、大切なのか、よくわからなくて、、、気になって、、、

大嶋さんへの様々な謎が、私の中に残りました。


今回、出展を依頼するにあたり、ご本人に会い、
それらの展示のことや、今、思うことなどを伺いました。

大嶋さんは、すでに過去を客観視して、変容していて、
これからも、どんどん変わっていくことを見据えていました。

私はその道の途中を、折々に垣間見させていただけて、とてもうれしいです。

大嶋さんが造形大の大学院に進学したからこそ、私は「つづき」を観たり、当人と語らうことができています。

今回の展覧会にイメージしたのは、まさにそういうことです。


修士1年に進学した佐川和暉さん、長井良太さんについても、卒研で拝見した感動的な展示作品の「つづき」に出会わせていただけること。


学部3年生が5名出展してくださいますが、彼らの来たる卒業時の集大成をたのしみにできるうれしさ。

皆様にも、出会っていただけますように。







DM掲載画像の中で、大変注目を集めているこちらの大嶋さん作品は、
残念ながら出展されない予定です。


事前にいただいた画像の過去作品の世界、私はいずれも好きなのですが、
大嶋さんの描きたいものは、すでに変化している様子です。


最新作と、今回はどんなふうに展示してくださるのかを、
たのしみに待ちたいと思います。



2023年9月29日金曜日

【次回のご案内】《Progress》

2023/10/6 fri.-15 sun
October Exhibition 《Progress》

Tabinosoraya Presents / Feat.長岡造形大学学生・大学院生8名の展覧会

▶Open   11:00-17:00
▶Last day 11:00-16:00
▶Closed    10/11wed.






お客様や美術関係の方々からは「長岡には造形大学があるからいいですね」とよく言われます。

展示館での展覧会があったり、市民講座があったり、稀に一般公開の講演会があったりと、確かにありがたい環境ではあります。

ただ、素晴らしき学生たちの作品や制作した本人の話を聞く機会は、実はとても限られていて、
多くの場合は、卒業修了研究展で初めて作品を拝見して、感動するものの、
大半の学生が新潟県外に就職のため旅立って行くのでサヨウナラ、、、
になってしまうことを常々残念に思ってきました。

今展では、学びの途中、試行錯誤の過渡期にある段階の、作品や、関心を持っていることに出会わせていただき、卒業・修了時の作品をたのしみにしたい、という気持ちで企画しました。

出展者は「学生の有志一同」ではなく、たびのそら屋がこの1~2年の間に作品を拝見する機会があり印象に残った方や、個々にギャラリーにお越しくださり、語らうことのできた方、制作の続きを拝見したいと感じた方々です。


DMには「答え」ではなく「問い」に出会いたいと願って開催いたします、と書きました。

それぞれ何と向き合っているのか

素材、技法、価値観、過去、現在、未来、、、



彼らと接しながら、我が道を振り返る気持ちにもなりますが、
私が通らなかった、知らなかった「道」を拓こうとしている彼らに、わくわくしています。


既にそれぞれの「答え」を持つ人生の諸先輩方に、ぜひ多くご高覧いただき、
ご感想などを寄せていただけますことを願っています。


出展作品は絵画、彫刻、写真、金工、ガラスなど。


DMには出展作ではない作品も写っています。
作品搬入ののち、実作品を掲載していきます。


【Progress/前進、進展、進捗、、、

変容していく過程にある「今」を注いだ作品や思考との出会いをどうぞおたのしみください。





【出展者名・出展作品・所属】※( )は主に学んでいること


💐大嶋周二朗 絵画/大学院 美術・工芸領域(絵画)修士2年


💐佐川和暉 鍛金/大学院 美術・工芸領域(鍛金)修士1年
Instagram @lignum___vitae

💐長井良太 彫刻/大学院 美術・工芸領域(彫刻)修士1年


💐井上結衣 金工/美術・工芸学科(彫金)3年
Instagram @kuzira_jewerly


💐江濵陽莉 絵画/視覚デザイン学科(絵画)3年
Instagram @hyo_5002


💐小林優月 ガラス/美術・工芸学科(ガラス)3年


💐坂井優斗 写真/視覚デザイン学科(写真)3年
Instagram @yuto__sakai
HP : https://yutosakai.com/


💐堀内路加 日本画・ミクストメディア/美術・工芸学科(絵画)3年
Instagram @roka_hr41
Twitter @roro_41ka
suzuri   roro41ka


___________________

後日、作家略歴・メッセージ・在廊予定をアップいたします。




2023年9月28日木曜日

COREs/野本昌宏さん

野本昌宏さんとの出会いから始まった、9月の展覧会《COREs》dpisode 1 。
閉幕したのち、会期中にアップしきれなかったご紹介を少しずつ書いてきました。







designed by. NOMOTO Masahiro






フライヤーは、全員を知る野本さんに作成していただきました。

私にとっては初対面の4名を含む7人分のお伝えしたいことは、あり過ぎて、
私も咀嚼が追い付きませんでしたが、受け止めてくださる方にとっても、

情報過多で流れ去ってしまうのではないかと、もどかしい気持ちで会期を過ごしました。


改めて、野本さんが書いてくださった出会いやつながりについてのメッセージと共に、
今回の出展作品のことを振り返りながら、このあとの出展予定と併せて、
それぞれの今後をたのしみに思う気持ちを味わいました。

たかだみつみさん、近藤綾さん、AsakoOgawaについては、
このあとすぐにご出展予定の展覧会やイベントの予定を
ご紹介しました。
ブログを遡ってご覧ください。


彼女たちの作家としての活動も、大学院1年の安藤光晴さんの研究も、
ものつくりの会社に勤めたSOUKAの松永晋弥さん、宮田能吾さんがこれから手掛けることも、
野本さんが自社を牽引しながら、独自の表現世界を更に発揮していかれることも、

全ては続いていくこと。

皆様にも今回の出会いを機に、引き続き活躍をご注目いただけますことを願います。







何より、多彩な顔をもつ野本昌宏さんの全容を、お伝えしたかった展覧会でもありました。

旧知の皆様におかれましても、いかがだったでしょうか。


急性骨髄性白血病のサバイバーとしての活動を通して出会った方に、
野本さんの本業(パッケージデザイン・設計を手掛ける包装士)の一端や、
グッズ化されたキャクターデザインだけでなく、内面表現としてのアート作品にも、
出会っていただけたことが、とてもうれしいことでした。







新潟日報さんが、広報のご許可をくださった過去記事



 



同じ病気で闘病する方へのサポート活動やイベント出展については、
引き続き野本さんのブランド「g.m.design&art works」のHPやInstagramをご覧ください。

今回のグッズ売上も、一部、寄付にあてさせていただいています。
どうもありがとうございました。


Instagram⇒
HP⇒ 

病気をタブーにせず、どんな状況に直面するのか、どんなことに困っていて、どんなサポートが必要なのか、、、
患者の方への励ましとともに、社会の中で理解が広がることを願う活動でもあります。






野本さん手製本の闘病記は完売したので、追加で作っていただきました。
喫茶室の書棚にございます。どうぞご覧ください。




Life goes on.


Speciaⅼ thanks for COREs.



2023年9月27日水曜日

COREs/SOUKA

9月の展覧会《COREs》dpisode 1 
ご紹介しきれなかったいろいろを綴っています。


SOUKAのおふたりと野本昌宏さんは、「デザイン」を商品として「カタチ」にする仕事に携わっていることから、共通する苦心や、学びや、達成感への共感がおありのようでした。


野本さんは紹介文(下記掲載)の中で、彼らを「同志」だと思っていると書いておられます。


若者たちにとって、それはどんなにうれしい励ましであるかと思うと同時に、
野本さんの気持ちに応えるべく、今回の展示に臨んでくださったことを感じます。







~会場に掲示されていた野本さんからのご紹介文より~

SOUKA (松永さん、宮田さん)
ブランド立ち上げの際に、バックアップをしてもらったセレクトショップid の酒井君を通じて知り合う。
卒業に向けた展示・販売のために、商品を入れるショッパー(紙袋)の相談を受けて、二人のデザイン案を実際に商品化させてもらう素晴らしい体験をさせてもらって以来、年齢を超えた
同志だと勝手に思わせてもらっています。







2022年春に長岡造形大学を卒業した二人が在学中に立ち上げたアパレルブランド「SOUKA」。
(就職に伴い現在は活動休止中)

当時、
ふたりで綿密に打ち合わせて共同制作したアイテムと、ものつくりの会社に就職して1年半を経た「今」を込めた、単独制作のアイテムをご出展くださいました。







初めて拝見し、ふたりは、実は随分異なる志向を持っていること、
在学中は別々の先生の研究室に所属していたことなども知るにつけ、

そういう二人が、どこか通ずる(気の合う?)ところがあって、
ひとつのブランドを立ち上げていたということに、驚くとともに感動しました。


それぞれの違いと、共通して大切にしていること、卒業時の進路の選択、現場で得た経験… 
作品から様々なことを感じ、これからのこともたのしみになるような、とても印象的な展示でした。






◆松永晋弥さんのプリントTシャツ


プリントとしてデザインされた(sm)は、無形商材に使われる商標の一種「サービスマーク」を表しています。

ライダースジャケットとハートのモチーフに重ね、男性らしさや女性らしさといった目に見えない既成概念を無形商材として表現し、形のない物を商品にしようと試みた作品です。

Tシャツ本体は、プロダクトとして量産されているボディの中から、シルクスクリーンとの相性や着用時の透け感の有無などにこだわってセレクトし、自らデザインした版を、シルクスクリーンで手刷りしています。

プロダクト品の揃ったうつくしさと、ひとの手による細やかな差異のある表現、
両方を大切にしたいという、松永さんの意匠が現れた作品でした。






傍らには松永さんのシルクスクリーンTシャツの「版」も展示されていました。

同じ版を用いて、どのように異なるカスレや滲み具合に仕上げるかなど、
影響を受けたアーティストへのオマージュも込められていました。












crack hat
clown smock



◆宮田能吾さんは、本当は生地からつくりたい、とおっしゃるくらい、極力手仕事にこだわり、染めや縫製を手掛けた帽子と、道化師(clown) のスモックをイメージしたシャツコートをご出展。


このスモックは、最初のハリのある状態は、着ていくとやわらかくなる素材とのこと。
何人もの方が気に入ってくださいましたが、なにしろ身長180㎝くらい(?)の宮田さん自身の体格に合わせた上にオーバーサイズのデザインということで、なかなか体形に合う方がおらず、、、

シンデレラガール&ボーイがいらっしゃるのを待ちましたが、、、残念でした。



 


比翼仕様の前立て部分やボタンホールに施された、蛍光ピンクが混ざったような赤い糸のハンドステッチがとても素敵でした。
アンティークスモックにみられるイニシャルネームの赤糸刺繍のイメージを重ねているとのこと。






帆布に特殊な顔料をプリントし、更に塗り重ねた帽子は、漆喰が剥がれた壁をイメージしたもの。
使っていくうちに顔料が剥がれていくという、その名も「crack(亀裂・ひび) hat」。

こちらもかなり衝撃的な作品でした。


ブリム(ツバの部分)の湾曲のラインがとても素敵だったのですが、それは
「顔料をランダムにぬることで、不規則に記事へ浸透し湾曲」していき、
なんと「芯地を使わず、立体にしてからプリントすることで、意図せず変形する」とのことでした。
(掲示された解説文より)


意図しないことが起こることを、意図して行う、、、

宮田さんの志向の一端に出会えた作品でした。





壁面にさりげなく貼られていたのは、宮田さんの世界観を伝える写真をプリントしたもの。

洗いを経る毎に、馴染み、ほぐれ、色褪せたり、剥離したり、、、(crack hatは洗濯は不可)
愛用するひとの過ごし方(扱い方)によって、しずかに変容していくアイテムの息遣いと、
その壁の景色は、確かに重なって感じられました。







fold collar shirts 

ふたりそれぞれの体格に合わせたパターンで作られた
サイズ違いの同じシャツは、テーラーへの敬意が込められた意匠
安藤光晴さんの真鍮の釦とバックルが用いられています



長くなりましたが、最後にふたりの現在について少し。
(コレが書きたかったのです! 今のこと、これからのこと!


◆学生時代にファッションデザインを学んだ松永晋弥さんは、現在は多くの方がご存知のブランドで(社名は非公表)、この春から企画部門に配属されたとのこと。

松永さんの企画が商品化された暁には、そっと教えてほしい!と願っています。


◆テキスタイルを学んだ宮田能吾さんは、「綿の栽培から染め、織り、編み、縫製、販売まで、自分たちの手で取り組み、ほぼすべてがイッテンモノ」というこだわりのあるものつくりの会社(こちらは公表可とのこと)「tamaki niime」さん (兵庫県)に勤務しておられます。


暮らしや生き方、いのちのトータルに目を向け実践している、こちらもただならぬ会社である様子。
ぜひHPをご覧ください⇒ 





それぞれの環境の中で、どんなことに出会い、どんなふうに変容していくのか、
これからのご活躍と、再会の日を、心からたのしみにしています。



2023年9月24日日曜日

COREs/安藤光晴さん

9月の展覧会《COREs》dpisode 1 
展覧会は終わりましたが、いましばし、語らいの続きを。







真鍮の釦(ボタン)をご出展くださった安藤光晴さんは、
長岡造形大学大学院、修士課程1年に在籍中。

学部生時代は金工を学び、現在はひとの感じ方の部分、
「味/趣き」について研究しておられます。







~会場に掲示されていた野本さんからのご紹介文より~

安藤光晴さん

SOUKA の服に取り付けられていた、真鍮のボタンの製作者。
カーディガンに取り付けるボタンを作ってもらうため、SOUKA のお二人に紹介してもらい、
私のデザインを彼の感性でブラッシュアップして仕上げてくれました。






コットンの黒いカーディガンは、
安藤さんの真鍮の釦と、近藤綾さんのガラスのボタンが用いられた
野本さんのブランドのオリジナルアイテム

入院時の患者としてのニーズや様々な思いが込められています




自ら設計し、旋盤や工具を駆使して、ひとつひとつ仕上げた真鍮の釦




SOUKAの二人がテーラーへの敬意を込めてデザインしたシャツに用いられた
安藤さんの真鍮の釦とバックル


 

開幕初日の在廊の折、SOUKAの二人も交えて、
安藤さんの研究テーマについて語らえたことは、とても印象的なことでした。


何に対して、どの部分に、「味」や「味わい」を感ずるのかという問いは、
とても難しいテーマです。


言葉にしきれない時や、厳定・断定を求めない時に用いる言葉でもあるかもしれません。


私は「味わう」という言葉をよく用います。

「味わい」という、対象物への考察より、
自身の行動、「味わう」ことへの意識が、強いのかもしれないと気づかされます。



瞬時に通り過ぎたくないものに対して意識的に立ち止まり、
経験した事象、出会った対象物と、もう少し過ごすこと、、、


私は、立ち止まって、茫洋と反芻したいのです。



たびのそら屋が月にひとつしか展覧会をしないことの意味の一端も、そこにあります。





とりとめなくなりましたが、こうした思いを綴るのは、
また次回、お会いできたお客様と、このことについて語らいたいからでもあります。

お越しくださった皆様と、様々な出来事を共有しながら、自問したり、気付かされたり、
時間を重ねられること、、、

それはなんと贅沢で、しあわせなことかと思います。 


件の安藤さんとの語らいの場にいた方、のちにその話題を向けてみた方、
それぞれに、思う所がおありでした。

安藤さんが、様々な方からのリサーチを通してどのようなところへ到達されるのか、
修了時のご発表を、たのしみにさせていただきたいと思います。







to be continued


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こうした”たのしみごと”との出会いが、
次回10月の展覧会でも繰り広がる予定です。

長岡造形大学の学生・大学院生8名の展覧会。
どうぞおたのしみに。

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2023 October Exhibition 《 Progress 》 

2023/10/6 fri. ~ 15 sun.
Open 11:00~17:00
Last day 11:00~16:00
Closed 10/11 wed.


【出展者】

◆大嶋周二朗 絵画/大学院 美術・工芸領域(絵画)修士2年
◆佐川和暉    鍛金/大学院 美術・工芸領域(鍛金)修士1年 
◆長井良太  彫刻/大学院 美術・工芸領域(彫刻)修士1年
◆井上結衣  金工/美術・工芸学科(彫金)3年
◆江濵陽莉  絵画/視覚デザイン学科(絵画)3年
◆小林優月  ガラス/美術・工芸学科(ガラス)3年
◆坂井優斗  写真/視覚デザイン学科(写真)3年
◆堀内路加  日本画・ミクストメディア/美術・工芸学科(絵画)3年


(氏名の後の記載は出展作、学年の前の( )内の記載は、主に学んでいる分野です)




詳細は近日アップいたします。