2023年10月4日水曜日

出展者および作品紹介⑥井上結衣さん

2023 October Exhibition 《Progress》10/6 fri.-15 sun
Tabinosoraya Presents / Feat.長岡造形大学学生・大学院生8名の展覧会

8名の出展者を順次ご紹介しています。

▷氏名(敬称略)
 出展作品/所属 ( )は主に学んでいること
 在廊日(記載なしは未定)/略歴/メッセージ




(布目象嵌 / 参考作品)

INOUE Yui


井上結衣

金工/美術・工芸学科(彫金)3年
Instagram @kuzira_jewerly


【在廊日】
10/6(15~17時)、7(13~17時)、14(13~17時)、15(13~16時)


【プロフィール】

長岡造形大学美術工芸学科(彫金)3
2003年 山形県鶴岡市に生まれる
5人兄弟の長女として育つ 

2021年   鶴岡南高校 卒業
2021年   長岡造形大学美術工芸学科 入学
20223月頃~ 彫金を始める
20236月長岡クラフトフェア出店



【メッセージ】

初めてこのような展示の機会を頂き、大変嬉しく思います。

18歳の時に妹が生まれたことをきっかけに「私はあなただったかもしれないし、あなたは私だったかもしれない」という、「時の偶然」に興味を持ちました。

金属の特性を利用しながら、幼少期の私、現在の妹、現在の私、未来の妹を行き来して制作を進めております。

普段はジュエリーを作ることが多いですが、作品のテーマを考えたときに、身に着けるという概念から一度離れて、観賞するということに着目したい、と考えました。
鑑賞する立体物と彫金をかけ合わせて考え、今回は打ち出しに挑戦しました。

ぜひご覧ください。よろしくお願いいたします。






(制作途中)



結衣さんは、折々に訪ねてくださる学生さんです。

最初の頃はお友だちとふたりで、そのうちひとりでも来てくださるようになり、
多くは語らないけれど、作家が在廊していれば何かしら尋ね、
耳を傾けながら吸収し、熱いものを醸していることを端々に感じていました。


それが形になって表れる日をたのしみに思っていたところ、次にご紹介する小林優月さんとご来訪の折、来春、展示をしたいという希望を聞かせてくれました。


来年のスケジュールがほぼ確定していることと、この企画が立ち上がったことで、
急きょ、今年のうちにご出展いただくことになりました。

当人たちの心づもりでは、タイミングとしては早かったかもしれないのですが、
突然やってきた機会に向かって、模索し、期日を意識しながら自らを追い込む経験に、挑戦してくださったことがとてもうれしいです。


1枚目の画像は、彫金技術のひとつ「布目象嵌」を用いた過去作品ですが、
今回は別の技法「打ち出し」の立体作品をご出展。





《 Sisters 》

打ち出し、煮色仕上げ
銅・真鍮(2023)

(非売品)



自分と18歳差の妹、その関係を思いながら制作したという、一対の女の子。

当初、背中合わせにして花瓶のような形状にすることをイメージしていたものが、
模索の末、分離状態になったとのこと。


込められたものについてはメッセージから感じていただきたいと思いますが、
この作品が、一体一体、完結した形状をもち、土台に固定されなかったことが、
とても大切なポイントであるように感じます。


実用ではない、アート作品が発することのできるもの、
それを見たひとが、思い思いに感じることのできる自由なものに、
出逢わせていただいた感があります。







真鍮の土台の裏面

一部を加工した突起に、掛けられています






本体側の掛けるための穴は花びらのカタチにくり抜かれていて、
オモテ面に刻まれた模様と同じく、それぞれが生まれた季節を表しています。


金属の美しさや細かな細工が画像ではなかなかお伝えできないので、
ぜひ実作品をご覧いただきたいのですが、展示状態では裏面を見ていただくことができません。

工芸作品としての工夫についてもお伝えしたく、
結衣さんと共にこの状態を撮影しました。


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様々な技法を学びながら、表現したいものを追求しながら、
来年度の卒業時にはどういったところにたどり着くのか、
皆様にも、彼女の《Progress》に出会っていただけますように。