2023年10月20日金曜日

Progressスピンオフ/Fibonacci

盛りだくさんだった8名の展覧会《Progress》。
綴りきれなかったことと、これからのことをもう少し。




閉幕後、学生たちは即座に、問いの続きへと向かっています。

修士1年の佐川さんと長井さんは、閉幕3日後に大学院の「中間発表」に臨まれましたし、

10/21・22・28・29に長岡市中心部で開催される「
長岡芸術工事中」には、ほぼ全員が出展されます。
こちらもどうぞおたのしみに。


※詳細は長岡造形大学HPの紹介ページ末尾に掲載されている各SNSをご参照ください⇒ 




なにしろ、ひと月、ふた月前に会った時と今回とで、もう変化している、と感じた彼らです。

《Progress》は進歩・前進する通過点。

悩みながらも、更に充ち満ちた日々が、積み重ねられていきますように。





印象的な毎日でしたが、
9月の展覧会《COREs》の出展メンバーがご来訪くださったことも
つながりを感じられて、とてもうれしかったことです。

9月の会期中は残暑が厳しくてご用意できなかったテラス席。

今回は土砂降りもある不安定な天候でしたが、会期末の晴れ間は最高に気持ち良く、
たのしそうな談笑が聞こえてくるのがうれしいことでした。


出展者8名それぞれとの語らいがありましたが、
その8人につながる出会いも、たくさんいただいて、、、

それもまさに ”フィボナッチ的” ではないかと、無限の螺旋に思いを巡らせる会期アフター。






先に触れたように、修士1年の佐川和暉さんと長井良太さんが中間発表前のタイミングでもあったことから、理論の部分も聞かせていただけたのがとても貴重なことでした。


「素材」との向き合い方、Artが生まれる瞬間(の連続)の一部を、垣間見せていただいたように思います。





長井良太《Turn the corner》



佐川和暉 《Fibonacci》作品部分



とりわけ佐川和暉さんの作品《Fibonacci》は、エキサイティングでした。

伝統工芸の「木目金」(もくめがね)といえば、人間国宝でいらっしゃる玉川宣夫さんの作品を思い浮かべますが、佐川さんの4つの作品によって私の中の印象は大きく変化しました。


以前、玉川宣夫さんの制作の様子を映したビデオを拝見し、鍛金技法の迫力や気の遠くなるような熾烈な政策工程が印象に残ったのですが、

佐川さんからは、私たちが完成された造形のうつくしさに出会う前の段階、「地金」をつくる際の考察についても伺うことができ、


(そのときすでに作家の中では完成形が思い描かれていること、
(金属個々の個性との対峙、偶然性が導く模様の魅力、微妙な温度管理の緊張感なども含め、、、


作家にとっての造形のはじまり、根幹に触れさせていただいように思います。






最新作の《Fibonacci》は、 いろんな意味で ”飛躍” の作品だと思います。

佐川さんにとってだけでなく、もしかすると「木目金」の伝統の中においても。


技巧の完成度や美術的観点からの論評は、ご専門の先生方に伺うとして、
私には、この作品は実に様々な要素を表しているように感じられ、目が離せませんでした。


目の前の風景や出来事、経験からくる感情を題材にしたArt作品や、
用途をベースにした工芸作品がある中で、佐川さんの《Fibonacci》はどちらでもなく、

素材の原理と、自然の法則という、変えようのないものと向き合い、
伝統技法を通して素材とのやり取りを交わしながら、導き、導かれ、生みだされた造形。


それは佐川さん個人の「問い」の追求の軌跡ですが、
「作品」となったそれは、作者を離れて普遍的なものを表していると思われて、

作品紹介のトピックスでは、「今回の展覧会で感じたかったことの様々についても、表しているように感じます」と書きました。







自然界の法則を表し、永遠の螺旋を描く「フィボナッチ数列」。

木目金の模様のひとつひとつが、尽きぬ可能性に向かって弧を描きながら続いていく、、、


それは作者だけでなく今展の出展者たちをも象徴しているような、
あるいは、出会いがつながって続いていく様子を表しているようにも思われて、

私が見たかったこと、この場で繰り広がることは、この作品に表わされている、と感じるのでした。


それはつまり、私たちのなりわいもまた、自然界の法則の中に(ありがたくも)存在していることを示していると言えます。

なんとあたたかく、こころ強いことでしょうか。。。

私たちは、安心して身を委ねればよい。



そうした螺旋のはじまりと行方をたどるような思考にいざなわれることも、
Art のちからであると伝えたく、、、

言葉にするのに苦心しましたが、したためておきたいと思いました。


長くなりましたが、
読んでくださりありがとうございます。






さて、夏に上越の知人からいただいたニチニチソウは、まだまだ咲いてくれています。

このつぼみの形状は「螺旋」ではないですが、うつくしく巻いた花びらがほぐれていくことには、何かしら理由があるのでしょう。


葉っぱの方は、よく見ると効率よく日のひかりに当たれるように、上手に重なりをずらしながら生えています。 ということは、、、

The フィボナッチ数列!🌿💕🐤 またテンションあがっちゃう。






先に開きたるは、しおれるを待たずに ぽとり

明日を蕾に譲らん







来春卒業の大嶋さん以外、学部3年と修士1年の7名は2025年に、一斉に卒業を迎える予定です。

たのしみです、たのしみだけど…  想像しただけで早くもうるる。。 そんな出会いになりました💐
道はその先も続いていくこと。わくわくしていきましょう!🌈