2023年12月8日金曜日

『記念版画集』⑤玉川勝之

◆有元利夫オマージュ『記念版画集』

【収蔵作家】
猪爪彦一、岡谷敦魚、佐藤妙子、高橋洋子、玉川勝之、ワタナベメイ
協賛:中林忠良
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作品と作家略歴、中村玄さんからの問いへの答えをご紹介いたします。

玄さんからの問い 「画家・有元利夫とは?」
有元をどのように捉え制作したか、背景などについてコメントをいただきました。



玉川勝之 / TAMAGAWA Katsuyuki


《 有元のオトシモノ 》

銅製彫金原板からの銅板押し出し
銅 / 128㎜×88㎜



【作家略歴】

1959 加茂市生まれ
1977 鎚起銅器 株式会社 玉川堂  入門
1997 新潟の工芸作家100人展(1st)  出品
1999 新潟県美術展覧会 県展賞(県 買い上げ)
2002 ふれて楽しむ美術展 企画グループ
      新潟の工芸作家100人展(2nd)  出品
2005 舞台「真夏の夜の夢」 舞台美術 西新潟市民会館
2006 初個展「cheap chip trick」 gallery EMUーst
2015 個展「日本三大薬湯の地で毒を愉しむ」 gallery 湯山
2017 個展「負の振れ幅を大切にして」 池田記念美術館
2021 個展「無頼な者の詩」 NSG美術館

現在 無所属


【画家・有元利夫とは?】

10年程前、新潟市美術館で初めて有元さんの作品に会った。
コロナ禍のせいで記憶が断裂したこともあってか、ずっと不理解者のままの我が居る。
沢山のじかん悩んでやっと、背伸びしない方がいいことが判った。
有要な時間だった。
20年程前、新潟県立自然科学館3階の「ふしぎのへや」にキリシタンが隠し持った
もちろん複製であろう魔鏡が展示してあった。その仕掛けと表面の様相に思考が飛んだ。
結果、文様の再現性やユニークな手法を得た事は、 たとえ奇をてらったと評されたとしても少し嬉しい発見であった。

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有元利夫オマージュ『記念版画集』の中で、玉川勝之さんの作品は異色の逸品。
「版画」ではなく、押し出しの技法で羽根のモチーフの線描を施した銅板作品です。


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【玉川さんによる作品解説】

▶着想
作り方は異なるが、同じ様相と機能を持たせることも可能な【魔鏡】に、何故か発想した。
ただ、【魔鏡】は発覚を恐れて凹み量を抑え、光の反射でそれを拡大増幅させて像を結ぶの だろうが、拙作は直接鑑賞の目的で深めの凹み量を持たせ、加えて光を反射し易い鏡面研磨  や錫めっきは選択しなかった。
それから版画のように、一定程度の量産性や、原版の摩耗や摩滅なども待ち合わせ、似ていて面白い。


▶工程
①粗切り ②焼鈍 ③縁折り 四辺
④「原版工程=羽毛描線▶線彫り」
⑤押し出し(定盤上、下から原版 銅板と重ね、木槌打ち)
⑥透明保護膜 樹脂塗料塗布
完成

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まるで銅版画の原板のようにも見えるその作品は、
1点、1点制作されるがゆえの仕上がりの違いに加えて、
元来の遊び心ある作家によって絵柄の配置も変えて作られています。

喫茶室には上に掲載した作品を額装展示していますが、
他の作品もご覧になりたい方は、お気軽にお声がけください。

お求めのお客様には、セット販売、バラ販売いずれでも、先着順でお選びいただけます。