◆12/17(日) 音楽会「古楽の愉しみ」笠原恒則(スピネット/小型チェンバロ)
◆奏者の笠原恒則さんからプログラムが届きましたので、
文末に加筆してご紹介しています。(今回は笠原さんのオリジナル曲も!☆)
バロック音楽を好み、自ら作曲や演奏もしたという有元利夫。
その版画作品に囲まれた空間で、笠原さんのプログラムによる古楽の音色を
どうぞおたのしみください。
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開演16:40~17:40
要予約(定員20名)1,800円 ⇒ 残り4席です
当日の展示観覧終了16:30
(15時頃より楽器の搬入、16時頃より客席の設営を始めます。
(ご観覧の皆様にはご協力をお願いいたします。
▶たびのそら屋にてご予約受付中
0258(77)2981
md.tabinosoraya@gmail.com
【演者プロフィール】
笠原恒則/KASAHARA Tsunenori
新潟市出身。チェンバロを岡田龍之介氏に師事。
多くの良き音楽仲間に恵まれて「三度のソロよりアンサンブルが好き」を公言して憚らず、楽器を車載して県内外を旅して回る。
近年はチェンバロの古楽限定を解除して、様々なジャンルの音楽をチェンバロで弾き、楽器の新たな可能性を探っている。「越友楽道」「トリオ・ペンナ」ほかメンバー。
日本チェンバロ協会正会員。新潟市西区在住。
◆HP「参ります」⇒ http://nemnem.sakura.ne.jp/tk/
◆Facebook⇒★
(以下加筆)
下記は、笠原さんのプログラムに記された文書です。
音楽会にお越しになれない皆様とも共有したく、ご紹介させていただきます。
『7つの音楽』より《 Gavottoe 》
■ 楽器について
チェンバロはピアノの発明される前、16~ 18世紀に宮廷を中心に用いられた鍵盤楽器である。構造としてはギターやハープ、リュートなどと同じく「弦を撥( はじ) く」仲間で、これらは音楽史上も極めて近しい関係にあった。
もっともチェンバロは鍵盤という機構を間に挟むから、ニュアンスの豊かさでは手で直接弦に触れるリュートなどに到底かなわない。仄暗い燭台の似合う繊細なリュートに対し、チェンバロの煌びやかな( そしてがさつな) 音色はシャンデリアである。
本日のチェンバロは「スピネット」というタイプで、小型化を目指した設計を特徴とする。今も昔も人口密度の高いロンドンなどで人気が高かった。フルサイズのチェンバロほどの馬力や華やかさはないが、こうした小さな空間ではかえって有利なことも多い。
『7つの音楽』より《 Sarabande 》
■ プログラムについて
本日のプログラムは、展示の有元利夫作品に寄り添う曲を選んで構成した。
早世した作家が生前に古楽を愛好したためもあってバロック時代の曲が多いが、有元本人の作曲した「ロンド」や、版画集「7つの音楽」の1枚1枚に同世代の作曲家 田鎖大志郎が曲をつけたものも含まれている。
ところで、先週12月7日と8日に私は、抱えている公演が残りわずかとなって少し時間ができたので、久しぶりに曲づくりをしようと楽器に向かい、一対の小品を書き上げた。取り立ててどの演奏会で弾くという宛もなかったのだが、翌々日12月10日になって、一週間後( 本日) のために事前にイメージを膨らませておこうと展覧会に足を運んでみると、作ったばかりの2曲が展示作品と同じ空気を持っていたことに気づいて驚いた。
同じ時代の空気を吸っているとはこういうことか。たしかに作曲をしている間も、今日の公演のことや有元作品のことが、無意識下に漂っていたのは間違いない。
有元は1946年生まれ。38歳の若さで亡くなっており、30 歳年下に当たる私とは面識はない。30年経てば世の中も随分変わっている。それでもなお、こうしたことが起こりうるのだ。30年とはこんなに近かったのか。
ヘンデルが故国ドイツを離れ、イタリアで修業をした後、ロンドンに乗りこんだのは1710年。イギリス音楽史の中で最高の音楽家といわれるパーセルが36歳で没してから、すでに15年が経過している。当時のロンドンの音楽シーンは、伝統的な劇付随音楽やコンソートから、イタリアオペラ中心へと大きく変化していた。
パーセルとヘンデルはそれぞれ前者と後者の旗手であり、作風は全く違う。生前お互いに対面することもなかったが、もしかしたらヘンデルも、ロンドンのどこかで「パーセルと同じ空気を吸う」瞬間があったかもしれないと今は思う。
今日は有元作品に囲まれて、版画と音楽と空間と時間、作家と音楽家と聽き手が共有するひとときとしたい。( 笠原)
このページでご紹介した銅版画集『7つの音楽』については、
「古楽の愉しみ」②の中でご紹介しています。ご参照ください ⇒ ★
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2023.12.6(水)~18(月)
中村玄コレクション《 有元利夫 版画展 》
同時開催 / 有元利夫オマージュ『記念版画集』刊行作品展
Open 11:00~17:00 ※最終日は16時まで
Closed 12/8(金)、14(木) 【入場無料】