2021年10月21日木曜日

ワタナベメイ展③平面と立体と痕跡

メイさんの新たな展開は、自身が作成した3Dのデータをどう物体化するかということを、探ったものであるように思われます。







《 fig2 》作品部分

アクリル絵具・色鉛筆・水彩絵具・パテ・パネル 
H33.3×W24.2㎝/2021




「物体化」のひとつは、3DCGをモチーフにした平面作品として「描く」ということ。






《 overlap 》作品部分

アクリル絵具・PLA樹脂
H9.0×D7.5×12.7㎝/2021


それから3Dプリンターの出力物を元に、立体作品にすること。




左《 pot_s 》 W3.5×D3.5×H8.0㎝
右《 pot_m 》W4.5×D4.5×H10.0㎝

いずれもアクリル絵具・PLA樹脂/2021



そしてもうひとつ、興味深い現し方がこちら。






《 unico_9.png 》

エンボス
H30×W30㎝/2021





《 unico_9.png 》作品部分


こちらの作品は3DCGではなく3Dプリンターからの展開ですが、
3Dプリンターの出力物自体ではなく、その ”痕跡” でかたちを見せるということ。



在る ようでいて、

そこには 無い、


(かもしれない)


という作品。



極まったシンプルさですが、版画制作からの展開でもあり、
unico のアニメーションがベースになった、メイさんワールドが凝縮された作品です。

どうぞお見逃しなく。



ワタナベメイ展 - Object -

2021/10/11(mon)~24(sun)
OPEN  11~17 / CLOSED  10/14・20 


2021年10月20日水曜日

ワタナベメイ展②3D

ワタナベメイ展 - Object -

2021/10/11(mon)~24(sun)
OPEN  11~17 / CLOSED  10/14・20 

会期は終盤を迎えています。





《 fig1 》

アクリル絵具・PLA樹脂
W9.0×D8.0×H12.7㎝/2021


「版画」をヒントに、”削り出すようにして” 描く技法を確立した、メイさんの色彩もゆたかな人物画。


多くのファンを魅了しているその作品ですが、存在感の表現に新たな展開を求めていきます。

それをふまえての作品が、先にご紹介した「版画」と3DCGをベースにした平面と立体です。





《 fig1 》作品部分



単色の「版画」と、単色の「立体」。

ある意味、それらは元データから ”複製” 可能な存在とも言え、そこにメイさんが追求したことが含まれているようです。

とはいえ、版画を同じように刷ることが難しいのと同様に、立体もまた、3Dプリンターから出力された樹脂を整え、今作については3Dプリンターならではの年輪のようなスジ目を残しつつ、ひとつひとつアクリル絵具を均質に塗って仕上げるという、、、 

そこにはやはり美術作家の手技を感じます。






左《 pot_s 》 W3.5×D3.5×H8.0㎝
右《 pot_m 》W4.5×D4.5×H10.0㎝

いずれもアクリル絵具・PLA樹脂/2021




※こちらの「鉢」の側面に見える縦スジ↑は3Dプリンターの積層痕ではなく、3DCGの段階でデザインされた意匠です。



「3DCG」「object」「layer」・・・

私にとってはそうした言語を理解するところからはじまった展覧会で、
ネットでそれらを検索するとかわいいキャラクターが教えてくれたりもするのですが、
むむむむつかしい・・・


お客さまとはその感覚を共有しながら、
パソコンに詳しいお客様には教えてもらいながら、
少しずつ理解できていくことのうれしさもまた、今展のたのしみのひとつです。






《 overlap 》

アクリル絵具・PLA樹脂
H9.0×D7.5×12.7㎝/2021



「座標軸をずらしてみた」 byメイさん、とかね(!)

僅かに、うっっすらと理解できるようになってきました。








この2体はちっちゃくてとてもかわいいのですが、非売品です。


トライを重ね、更なる展開を見据えてすくっと立つ存在にも見えますが。。。


実はそういう感情を差し引くトライであったりもする様子。



2021年10月15日金曜日

ワタナベメイ展①削って描く

ワタナベメイ展 - Object -

2021/10/11(mon)~24(sun)
OPEN  11~17 / CLOSED  10/14・20 



3DCGをベースに展開する
平面の《 Object 》と立体の《 fig1 》



《 Object 》アクリル絵具・色鉛筆・水彩絵具・パテ・パネル sold out)
  H91×W72.7㎝/2021

《 fig1 》アクリル絵具・PLA樹脂
  W9.0×D8.0×H12.7㎝/2021

___________


長岡では初開催となるメイさんの今展は、

初めての方にも、従来のファンの方々にも、
新鮮な驚きと、胸の奥のざわめき、、、高揚、、、

感性がショートしてバチバチと、やわらかにまばゆい火花が見えるような、

遭遇の空間となっています。







《 うねうね 》

アクリル絵具・色鉛筆・水彩絵具・パテ・パネル
H33.3×W24.2㎝ / 2019





《 ボタニカル 》

アクリル絵具・色鉛筆・水彩絵具・パテ・パネル
H30×W30㎝ / 2019

sold out




メイさんといえば、大きな瞳のクールでお洒落な女の子の絵画が印象的ですが、
注目すべきはこの作品が「筆で描かれていない」ということです。


全く筆を使わないということではなく、彩色時には使うとのことですが、
描くことにおいてのメインの画材は筆ではなく、着彩した下地を削ることで描画されています。


パテを盛り、アクリル絵具で彩色した画面から、削り出すようにして描くという独自の技法は、削るという感触を基調にしたものです。

見た目だけでも十二分にインパクトがあり、独特な魅力を感じる作品たちですが、

多様な作品が並ぶ今展では、メイさんの技法のはじまりを知っていただくと、
より堪能していただけるのではないかと思います。







《 ヤマノ 》

ドライポイント 
H10×W10㎝ / 2021





《 爽 》

ドライポイント 
H10×W8.5㎝ / 2021


今展の前に開催した「このすく展」で、ひと足先にメイさんの塩ビ版ドライポイントの作品をご覧くださった方もおられると思いますが、今展でも塩ビ版の版画と銅版画が展示されています。

(「このすく展」でのご紹介⇒



もともと彫刻に関心があったというメイさんは、
日々のドローイングから人物画に興味を抱き、筆以外での平面作品の制作方法を模索。


そこで「版画なるものは削って描くらしい」と考え、独自の技法を編み出していかれます。


「版画」については専用の設備を要するため、気になりながらも本格的に学んだことはなかったとのこと。

このたび制作設備を備えた「工房このすく」ができたことを契機に、版画作品のシリーズが誕生しました。


塩ビ版は細い線が描きにくい画材だそうですが、メイさんは日頃の技法が ”削り出すようにして描く” ものであったため、初制作にして脅威的に繊細な版が生まれ、銅版画の作家たちを驚かせています。






この「版画」が、今展のメインとなる3DCGによる「オブジェクト」と、
メイさんの中では同じ位置づけにあるということが、私にはひとつの衝撃でした。

まずはそのことを反芻し、咀嚼しながら、開幕からの数日を過ごしました。





立体と平面の《 unico 》


立体《 unico_layer 》アクリル板(2021)

平面《 unico_f.obj 》 アクリル絵具・色鉛筆・水彩絵具・パテ・パネル(2021) sold out

________________


こちらメイさんお気に入りのオリジナルキャラクター、ユニコーンの uni ちゃんですが、アクリル板で作られた《 unico_layer 》は、3DCGから派生した「オブジェクト」に対して、2D(平面のイラスト)から生まれた立体作品。


見た目でもう、かわいくて、それだけで完結したくなる作品ですが、
こちらもまた彼女の中に展開する思考の、核心を現した作品である様子。

気になります。


週末は、メイさん、都合のつく範囲で在廊されます。
会えたらラッキー☆

私は ユニ ちゃんについて更に迫りたいと思います。


どうぞお出かけください。


*******

ワタナベメイ

2021年10月10日日曜日

ワタナベメイ展/ご来場に際してのお願い

ワタナベメイ展 - Object -

2021/10/11(mon)~24(sun)
OPEN  11~17 / CLOSED  10/14・20 




開幕を待つ展示室。
窓を1/3塞ぎ、照明を抑えた空間ですが、そこに立つ感覚のざわめき、胸の内の高鳴り、、、

新たな作家の世界が刻まれたのを感じます。




お伝えしたいことはたくさんありますが、
まずは多彩な作品をじっくりとご高覧いただきたいと思います。





《作家メッセージ》


美術作家のワタナベメイです。
主に着彩した下地を削る方法で平面作品を制作しています。

今回の展示では、昨年から取り組んでいる3DCGで制作したオブジェクトをモチーフに制作した作品と、
今年から制作を始めた版画の作品を主に展示します。

いままでの作品と新しい制作への流れを、オブジェクトを起点に感じられる展示にしたいと
思っております。



◆メイさんの公式サイトはこちら ⇒  
◆Instagram:@tanabei












喫茶室には、販売されるのは初めてとなるドローイングをセレクトした「ZINE」や、木のオブジェ、2012年からの変遷を感じていただけるポートフォリオもございます。






《月光》

2020 / H14×W18㎝
アクリル絵具、色鉛筆、水彩絵具、パテ、パネル

sold out





《Birthday party》

2019 / H30×W15㎝
アクリル絵具・油性ペン・塩ビ板・ガラス

sold out




◆ご来場に際してのお願い◆


【ご鑑賞について】

・不安定な立体作品もございます。作品および展示台に触れないようご注意ください。

・小さい方をご同伴の方は、お手をつないで、十分な注意をお願いいたします。


・館内での撮影は、展示風景全体を撮る範囲にとどめてくださいますようお願いいたします。

・個別作品について撮影する、三脚を立てる、フラッシュをたく、接写するなどの行為は、作家の意向によりお断りいたします。


※多くの方に実作品をご覧いただけますよう、展覧会開催についてSNSなどで発信していただけますことは大変ありがたいです(いつもありがとうございます。)今展も、どうぞよろしくお願いいたします。

#watanabemei #ワタナベメイ #maisondeたびのそら屋 #たびのそら屋



・作品は一部を除き販売していますが、お支払いは現金もしくは会期中のお振込みのみです。ご協力をお願いいたします。


【新型コロナ感染拡大防止について】

たびのそら屋では、これまで通りの基本的な対応を心掛けて営業いたします。
ご来場の際は、以下のご協力をお願いいたします。


 ・咳、発熱、体調不良の際はご来場をご遠慮ください。

・マスクの着用をお願いします。

・入口での手指消毒をお願いします。

(手荒れがお辛い方は館内のお手洗いをお使いください)

・ご芳名帳にはお名前と緊急時連絡先をご記入ください。




◆喫茶室の今回の「旅コーヒー」は、南魚沼市にある「little.M」さんのお豆です。
併せてどうぞお楽しみください。


2021年10月6日水曜日

次回展覧会のご案内「ワタナベメイ展-Object-」

ワタナベメイ展 - Object -

2021/10/11(mon)~24(sun)
OPEN  11~17 / CLOSED  14・20 

 



DM掲載作品《Object》

2021 / H91.0×W72.7㎝
アクリル絵具、色鉛筆、水彩絵具、パテ、パネル



◆メイさんの公式サイトはこちら ⇒  

◆Instagram:@tanabei


2012年の初個展から間もなく10年。
羊画廊さん(新潟市)での個展・グループ展を軸に、県内外で多数出展しつつ、海外では韓国のアートフェアに出展するなど、広く注目を集める作家です。


コロナ禍で様々な活動に制約が生じた中、この状況だからこそできることをと、探求を続けるメイさん。そのひとつが県内の活動の場を広げることでもあったご様子。


これまでは新潟市を中心に活動してこられましたが、このたび中越方面でも、とのご希望あって長岡初開催の個展が実現します。


私にとって、ワタナベメイさんも猪爪彦一先生と同様に、ギャラリーを始める前から気になって拝見していた作家のおひとりです。HP掲載のプロフィールを見ると、私は2012年か13年の小羊画廊さん(新潟市)での個展から拝見しており、こうして展覧会をさせていただける巡り合わせが、とてもありがたく、うれしいです。


が、今回、目にすることになるメイさんの進化には、全くついて行けておりません。

HPでは今展について「3Dオブジェクトをモチーフにした新作など20数点を展示予定です。」と書かれています。ですがメイさんの中にはもっと何か、求めるイメージが繰り広がっているようなのです。

出展作の中心は、「3Dオブジェクト」からなる「立体」ではなく、
「3Dオブジェクト」の物体をモチーフにした「平面」の作品です(おそらく)。


従来より独特な技法の”絵画”作品を制作されるメイさんですが、
更なる技法や表現を探求しておられます。

初めてご覧くださる皆さまと共に、作家の進化の先端に出会えることを、
たのしみに待ちたいと思います。


◆作家在廊予定 : ご予定が流動的で、週末など可能な範囲で在廊くださる予定です。


 

「このすく展」スピンオフ/月曜版画部


【月曜版画部】 ※以下「このすく展」の掲示資料より一部引用。

昨年11月末より工房このすくにて、毎週月曜日18~21時に活動しています。
講習会というかたちではなく、部活動として利用者同士で教え合いながら
自由に制作するスタイルです。
初めての方は一通りの作業が出来るまで指導します。

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/




「このすく展」閉幕の翌日 10/4(月)
複数のご用命をいただいた長島裕子さんの、作品の刷り増しを見学させていただきました。

長島裕子さんの作品は、作家紹介と併せてこちらをご参照ください⇒



これまで、けしごむはんこの作品で知られ、独特な絵柄にファンの多い裕子さん。
月曜版画部ができて銅版画を始められました。


今回、銅版画ならではの技法で不思議な魅力の増した作品をご出展くださったところ、本人予期せぬ複数オーダーをいただき、刷り増しで作品の”再現”ができるかどうか、前日からどきどき緊張しておられました。





版画専用の紙を切って





水を張ったバットの中で「しめして」おきます。





原版を拝見できるのも貴重な機会





1回目のインクの調合






見本=展示していた作品(エディション№ 1/5)の再現を目指して。

試し刷りをして、インクの色を調整し、
インクを詰めた版のふき取り加減の違いを見定めて、改めて本番に臨みます。





調整したインク。結構な目見当で、感心。

プレス機にスタンバイした版に、版画用紙を乗せるのも緊張





刷りあがった用紙を、めくる瞬間も緊張!


そして、見事!!

しっかりと再現でき、ご注文の2枚を刷ることができました☆☆☆





こちらの作品は展示作と追加2枚の、計3枚が旅立ちます。
作家がエディション枚数を「5」と決めているので、あと2枚のご注文をお受けすることができます。
またその時が来たら、裕子さんは眠れないくらいにドキドキするのでしょう。


今回お求めくださったのは、彼女の作品やお人柄のファンであり親しいお客様方。

もちろん作品を評価し、気に入ってくださってのことですが、
彼女が制作発表をしばらく休んでからの再開の新作(しかも初の銅版画!)を喜び、祝してのお気持も含まれているのではないかと、、、


1枚目と色が違ってもよいよと、おおらかなお言葉を添えてくださってのお求めでしたが、
裕子さん、とってもがんばりました☆


こうして作家は貴重な機会をいただき、経験を重ねていくのですね。


再現が難しいと判断してエディションを1枚(展示品のみ)にしてある作品もありましたが、それではこういった緊張に満ちた貴重な体験はできないわけで、、、
挑まれたのだなあと、感じました。


こうした場面に立ち会わせていただき、私も、育てていただいていると思っています。
ありがとうございます。


インクが乾くまで1週間。
板に水張りした状態で、待ちます。





刷ったあとの版


長島裕子

「レター(726)」

エッチング・ドライポイント・アクアチント/2021




*****


作品のお渡しを終えるまで展覧会は続きます。

先の「田中あかり展」の作品も、額装の仕上がり待ちをしている作品がまだあって、
私の中にはまだポピーの花の残像が残っています。

そうこうしているうちに「ワタナベメイ展-Object-」!
10/11(月)開幕です。



2021年10月5日火曜日

【御礼】このすく展

 9/24~10/3に開催いたしました「1周年記念・このすく展」は、
大変にぎわいながら無事に閉幕いたしました。






今展は「工房このすく」の運営メンバーと、工房を利用してくださった作家・クリエイターの方々、11名とひと組、総勢13名の出展による「工房このすくでできること」を伝える展覧会でした。





ギャラリーでは版画作品の多様さに驚き、たのしんでいただけたことと思いますし、
会期前半に開催された紙版画とシルクスクリーンを体験するワークショップでは、工房はベテラン・初心者問わず、自分でつくってみる、の場でもあることを知っていただけたのではないかと思います。





メンバーの小松佳代子さんが作成し、配布していたリーフレット↓や、研究に関する書籍をお読みくださった方には、このすくの「文化拠点の場」としての活動についても、具体的なイメージを持っていただけたのではないでしょうか。


リーフレットはこの後も、たびのそら屋でお渡しできますので、今回いらっしゃれなかった方や手にしそびれた方は、いつでもお声掛けください。




会期中も出展者たちはそれぞれの制作や思考を止めることなく、「月曜版画部」も休むことなく閉幕翌日の月曜には早速、新たな方をお迎えして開催されていました。


そういうことを近くで感じられることは、一般的には稀なことだと思います。


私は [maison] と冠したこの「建物」が、作品を観るだけでなく創り出す場としても活用され、いろんなものが育まれる場になっていることが、とてもうれしく、ひとりでできることではないという意味で、大変ありがたいことだと思っています。

その感謝を込めての開設1周年祝いの展覧会でした。


(展示の実働は全て工房メンバーと出展者によるもので、おかげで大変素晴らしい展示になりました☆)



場を持ち、継続させるということは、とても大変なことです。

なりわいの場であればともかく、第3の場として共同で構えるというのは、それぞれの暮らしやスタンスがあり、また違った大変さがあることと思います。


工房立ち上げのご尽力とこの1年の活動の蓄積に、改めて敬意を表します。
これからもじんわりと、いい場が育まれていきますように。




足をお運びくださり、ゆっくりとたのしんでくださいました皆様、どうもありがとうございました。
工房このすく(と、たびのそら屋)のこれからの活動に、引き続き親しんでいただけますように。



ご紹介くださいました新聞各社様、ならびにDMの設置にご協力くださいました事業所の皆様、SNS等で発信にご協力くださいました皆様、いつも新たな出会いをいただいています。
どうもありがとうございます。


出展者の皆様、搬入出にご協力くださいました皆様に、改めて感謝御礼申し上げます。
素晴らしい展覧会をどうもありがとうございました。






さあ、次の展覧会はすぐです!!





2021/10/11~24

「ワタナベメイ展 -Object-」







「このすく展」では初制作の塩ビ版の版画をご出展くださったワタナベメイさんの、
絵画をメインとする個展です。





メイさんのHPはこちら → 

どうぞおたのしみに。



2021年10月2日土曜日

追記・仲森さんと写真製版

東京におられる仲森仁さんに、作家紹介の記事を書かせていただいた旨をお伝えしたところ、往復書簡のようなうれしいご返信をいただきました。

メールの一部を、ご了解を得て追記として記載させていただきます。

(画像は仲森さんのオープンアトリエの際に撮らせていただいたものです。)





「写真製版」と「写真」の違いについて、

「物質」性の違いがあるものの、ストレート写真との大差がないような仕上がりのポリマー(樹脂板)による写真製版でしたが、

振り返ってみて、写真で言うフィルム(ネガ)をもう一度、版に置き換えて、作り起こす行程のなかで、時間軸のようなもの、リアリティが失われるような感覚があり、それが、なぜなのか、今はそのことについて考えています。

上手く言葉で、まとめられませんが、やっぱり普通の写真とは違う存在感になる表現に、魅了されているのだと思います。







そうそう、仲森さんは、日頃は「銅板」に写真製版をしておられて、「このすく」の制作環境に合わせて変更してくださった「樹脂板」より、銅板の作品の方が凹凸が感じられて「版画」として見えやすいとのことでした。


でも、いずれにしても、
リアリティを発揮したい「写真」があるとしたら、
リアリティを失うような過程を含むのが写真製版で

仲森さんは、その言葉にしがたい過程を含む技法に「魅了されている」と、、、


私は、そここそが興味深いです。

制作にかかる「時間」に意味や嗜好があることについて、他の作家の方々からお聞きした話を思い起こします。





私の初歩的な問いかけに、仲森さんも改めて自問自答してくださったとのこと。

長岡滞在からひと月が経ち、あの1ヵ月は「とても充実した濃密な時間だった」と思い返していますと書き添えてくださったことも、とてもうれしいことでした。


こうして時間が経ったのちにも続くこと、
じんわりとわかることがあることの、うれしさ。


レジデンスの後に「このすく展」で、よかったです。


***********


会期はいよいよ土日を残すのみとなりました。
出展者の皆様が交互に在廊してくださいます。
どうぞお出かけください。


1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/





2021年10月1日金曜日

作家紹介⑧アーティスト・イン・レジデンスの仲森さん

 
【 仲森 仁 / NAKAMORI Hitoshi 】
 

2002 年 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科 版画コース卒業
2004 年 武蔵野美術大学 大学院造形研究科 美術専攻版画コース修了
2010 年 武蔵野美術大学 版画研究室 助手 契約期間満了
2019 年 武蔵野美術大学 版画研究室 特別講師





「Komorebi」


2001年「全国大学版画展」 町田市立国際版画美術館 東京(買上賞受賞)

2004年「崇高なる現在-世界の版表現と教育の現場よりー」武蔵野美術大学 東京
2005   Gallery覚 東京(個展)
2007年「Centrifugal: Ideas from different cultures in print」 FAB Gallery (エドモントン、カナダ)
2008  Edmonton Print International 2008」 Capital Arts Building(エドモントン、カナダ)
2009  表参道画廊  東京(個展)
2011  「第11回浜松市美術館版画大賞展」浜松市美術館 静岡(奨励賞) 
2013  養清堂画廊  東京(個展、同 ’15171922予定)
2015年 「第60CWAJ現代版画展」
2016年 アートスタジオ五日市レジデンス
2020年 「Kanreki 2020(イスラエル ハイファ ティコティン美術館)
2021年 工房このすくレジデンス

 
パブリックコレクション:
町田市立国際版画美術館(東京)アルバータ大学(カナダ) ティコティン美術館(イスラエル)






「Fragment of nagaoka’s memory #2」


今夏、「工房子このすく レジデンス」に招聘して頂き、8月の約一ヶ月間に制作した作品の一部を展示させて頂いております。普段は銅版を使ったフォットエッチングと呼ばれる写真製版を主に制作しておりますが、工房の設備や環境を配慮した制作を検討し、樹脂板を使ったフォトポリマーと呼ばれる写真製版での作品制作を試みました。モチーフとなるものは、長岡に滞在したなかで、散策、取材したものになります。何気ない風景、執着されることのない曖昧なもの、隙間にあるような存在を版表現によって再構築されたイメージで、日常で見落としているものを再発見する感覚を受け取って頂ければ幸いです。


https://www.facebook.com/inakamori.1104/





「Fragment of nagaoka’s memory #3」


先にご紹介したこのすくメンバーの小松佳代子先生の研究の一環でもある「アーティスト・イン・レジデンス」については、以前、ご紹介させていただきました⇒


大変暑い夏の滞在になり、仲森さんにとっては制作以外のご苦労もあったことと思いますが、その中でも長岡の町を散策し、暮らしている私たちが知らない景色を見つけ、写真製版の版画作品を制作してくださいました。







「Fragment of nagaoka’s memory #1」



今回展示されているのは、額装されていない、工房で刷ったままの作品です。

見た感じ「写真」のようでもあります。


「写真製版」と「写真」がどう違うのかということについては、工房を訪ねてくださったお客様たちとの間でよく話題になっていました。私は明確に掴みきれていなかったのですが、版画ならではの「物質感」というのがキーワードのようでした。


今回、様々な技法の版画作品と共に拝見しながら、思い返します。
長岡滞在の後半に「小国和紙生産組合」を訪れた仲森さんが、もっと早く訪ねることができていたら小国和紙を用いて刷ってみたかった、と残念そうにおっしゃっていたこと。


今回の出展作の中には小国和紙や雁皮紙(透けるほどの薄さの和紙)に刷られた作品もあり、版の違い、技法の違い、インクのちがい、紙の違い等々によって、版画というのは本当に様々な表現ができることを感じさせていただいているのですが、仲森さんがおっしゃっていたのは、こういうことに通ずることだったのでしょうか。


私は仲森さんが撮る「写真」自体がとても素敵だと思っていますが、写真製版は「写真」とは違う表現の奥行(選択の幅)を持ち、「写真」とはまた異なる制作(過程)の ”たのしみ” があるではないかと思い至っています。


写真製版と写真の違いは、仕上がるまでの ”たのしみ方” (苦心も含めて)が違う。

仲森さん、この解はいかがでしょうか。。。


レジデンスでのご来訪および、今展のご出展、ありがとうございます。





「Fragment of nagaoka’s memory #4」



ひと月という限られた滞在期間の中で、地域を把握し、作品モチーフを探し、画材を見つけて制作するというのは、とても大変なことだと思います。ただ、工房このすくで小松先生が目指す「レジデンス」は、完成度の高い作品を成果物として残してもらうことではなく、日々の過程や、制作途中の作家の思考が、研究の対象に据えられています。


今年度はあと二人の作家をお迎えする予定で、10月中旬からまた1カ月間、二人目のアーティスト・イン・レジデンスが始まる予定です。このすくからの発信がありましたら、たびのそら屋でもご紹介させていただきたいと思います。

地域と作家とが影響を及ぼし合うことも、レジデンスに望むことです。
レジデンス期間中のオープンアトリエの際には、ぜひ気軽に足をお運びいただき、制作の現場をご覧ください。


1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/