2021年10月1日金曜日

作家紹介⑧アーティスト・イン・レジデンスの仲森さん

 
【 仲森 仁 / NAKAMORI Hitoshi 】
 

2002 年 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科 版画コース卒業
2004 年 武蔵野美術大学 大学院造形研究科 美術専攻版画コース修了
2010 年 武蔵野美術大学 版画研究室 助手 契約期間満了
2019 年 武蔵野美術大学 版画研究室 特別講師





「Komorebi」


2001年「全国大学版画展」 町田市立国際版画美術館 東京(買上賞受賞)

2004年「崇高なる現在-世界の版表現と教育の現場よりー」武蔵野美術大学 東京
2005   Gallery覚 東京(個展)
2007年「Centrifugal: Ideas from different cultures in print」 FAB Gallery (エドモントン、カナダ)
2008  Edmonton Print International 2008」 Capital Arts Building(エドモントン、カナダ)
2009  表参道画廊  東京(個展)
2011  「第11回浜松市美術館版画大賞展」浜松市美術館 静岡(奨励賞) 
2013  養清堂画廊  東京(個展、同 ’15171922予定)
2015年 「第60CWAJ現代版画展」
2016年 アートスタジオ五日市レジデンス
2020年 「Kanreki 2020(イスラエル ハイファ ティコティン美術館)
2021年 工房このすくレジデンス

 
パブリックコレクション:
町田市立国際版画美術館(東京)アルバータ大学(カナダ) ティコティン美術館(イスラエル)






「Fragment of nagaoka’s memory #2」


今夏、「工房子このすく レジデンス」に招聘して頂き、8月の約一ヶ月間に制作した作品の一部を展示させて頂いております。普段は銅版を使ったフォットエッチングと呼ばれる写真製版を主に制作しておりますが、工房の設備や環境を配慮した制作を検討し、樹脂板を使ったフォトポリマーと呼ばれる写真製版での作品制作を試みました。モチーフとなるものは、長岡に滞在したなかで、散策、取材したものになります。何気ない風景、執着されることのない曖昧なもの、隙間にあるような存在を版表現によって再構築されたイメージで、日常で見落としているものを再発見する感覚を受け取って頂ければ幸いです。


https://www.facebook.com/inakamori.1104/





「Fragment of nagaoka’s memory #3」


先にご紹介したこのすくメンバーの小松佳代子先生の研究の一環でもある「アーティスト・イン・レジデンス」については、以前、ご紹介させていただきました⇒


大変暑い夏の滞在になり、仲森さんにとっては制作以外のご苦労もあったことと思いますが、その中でも長岡の町を散策し、暮らしている私たちが知らない景色を見つけ、写真製版の版画作品を制作してくださいました。







「Fragment of nagaoka’s memory #1」



今回展示されているのは、額装されていない、工房で刷ったままの作品です。

見た感じ「写真」のようでもあります。


「写真製版」と「写真」がどう違うのかということについては、工房を訪ねてくださったお客様たちとの間でよく話題になっていました。私は明確に掴みきれていなかったのですが、版画ならではの「物質感」というのがキーワードのようでした。


今回、様々な技法の版画作品と共に拝見しながら、思い返します。
長岡滞在の後半に「小国和紙生産組合」を訪れた仲森さんが、もっと早く訪ねることができていたら小国和紙を用いて刷ってみたかった、と残念そうにおっしゃっていたこと。


今回の出展作の中には小国和紙や雁皮紙(透けるほどの薄さの和紙)に刷られた作品もあり、版の違い、技法の違い、インクのちがい、紙の違い等々によって、版画というのは本当に様々な表現ができることを感じさせていただいているのですが、仲森さんがおっしゃっていたのは、こういうことに通ずることだったのでしょうか。


私は仲森さんが撮る「写真」自体がとても素敵だと思っていますが、写真製版は「写真」とは違う表現の奥行(選択の幅)を持ち、「写真」とはまた異なる制作(過程)の ”たのしみ” があるではないかと思い至っています。


写真製版と写真の違いは、仕上がるまでの ”たのしみ方” (苦心も含めて)が違う。

仲森さん、この解はいかがでしょうか。。。


レジデンスでのご来訪および、今展のご出展、ありがとうございます。





「Fragment of nagaoka’s memory #4」



ひと月という限られた滞在期間の中で、地域を把握し、作品モチーフを探し、画材を見つけて制作するというのは、とても大変なことだと思います。ただ、工房このすくで小松先生が目指す「レジデンス」は、完成度の高い作品を成果物として残してもらうことではなく、日々の過程や、制作途中の作家の思考が、研究の対象に据えられています。


今年度はあと二人の作家をお迎えする予定で、10月中旬からまた1カ月間、二人目のアーティスト・イン・レジデンスが始まる予定です。このすくからの発信がありましたら、たびのそら屋でもご紹介させていただきたいと思います。

地域と作家とが影響を及ぼし合うことも、レジデンスに望むことです。
レジデンス期間中のオープンアトリエの際には、ぜひ気軽に足をお運びいただき、制作の現場をご覧ください。


1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
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