2024年4月12日金曜日

小山紀子①Things for the lost

小山紀子さんの、ミラー紙を貼り合わせた写真群を天井から吊るしたインスタレーション
「Things for the lost-失ったものたちへの献花-」





傍らに展示している同じタイトルの写真集と共に、
今年2月の長岡造形大学卒業研究発表に出展された作品です。






写真裏面のミラー紙には、周囲の景色が、ゆらいだ輪郭で写り込みます。





外の景色も、中の展示も












細いテグスで吊るされたオブジェクトは、屋内のゆるやかな気流を受け、
絶えず、どこかが静かに回転していて、

間近で眺めていると、写真なのか、外の景色の映り込みなのか、
わからなくなる時があります。

写真がゆるやかに向きを変えるのと同時に、ミラー面が周囲の景色を映し込みながら現れます。

映り込みに見惚れていると、不意に自分が映し出され、”わたしがいた” と我に返るも束の間、
姿は流れ去り、また何処かを写した風景が立ち現れます。


その移ろう様はスクリーン映像のようでもありますが、映像もまた過去の瞬間の連続であるとすれば、
この作品がみせるのは、まごうことなき今現在の瞬間の連続といえるでしょうか。。

不思議な作用をもつ仕掛けの理由について、紀子さんからコメントをいただきました。








インスタレーションのオブジェクト裏面のミラーについてですが、あの場にある写真群が全てそこに写るものではなくその時間にあった記憶や愛情を内包しているからこそ

ミラーに写った写真たちが本来の輪郭からすこしぼやけることで、鑑賞者の持つ"似た記憶"に接続出来することへの期待

・インスタレーションの空間の中で、ミラーが展示や鑑賞者、その周りの景色などを切り取りまた新たな一枚の"写真"となること

・私が撮影行為・写真表現の中で、光を読むということを念頭に置いているからこそ、インスタレーションの空間にも反射による光を取り込むこと、の
3点です。




輪郭を持たない写った景色が記憶に入り込むことを期待して
ミラーにて製作しました

KOYAMA Motoko





会場を変えて再びの展示で、また新たな景色を見せたこのインスタレーションは、
「新たな一枚の”写真” 」を生む仕掛けでもありました。





大学での展示の際にも、幾人もの学生とひとつの教室を共有しての展示でしたが、
そうしたことが、この作品には不可欠なのかもしれないと思いました。

独立した空間で、”うつくしい写真群” を見せることがこのインスタレーションの目的ではないのだと、思い至ります。


うつくしさといったら、それはそれは、うつくしいのですよ。

集合体ではなく、ひとつ、ひとつの景色と、その瞬間が。。。

私は、紀子さんの写真とこの場所の風景が交互に立ち現れ、一体化するのを、
飽きることなく魅入っています。




一個人が撮った、極めて個人的な写真を他者に提示することがもたらすもの、

写真という表現を介して、ひととひとが関わるということ、

絵画ではなく写真であることの意味、

写真だからことできること、

フィルムに収めた瞬間の記憶を、どのような形状で、再び見つめるか、、、

見るひとに、何を残すか、、、


様々な問いかけとおぼろげな答えが、吊るされたオブジェクトとともに、
くるりくるりと、ゆるやかに巡ります。






写真集はページを開いて展示していますが、
実は、表紙と裏表紙にはクリアな「鏡」が用いられています。

移ろうインスタレーションとはまた異なる、対面の出会いがあるのではないかと思います。


どうぞゆっくりとおたのしみください。





2024 SPRING EXHIBITION - Restart- 
会期:4/1 mon-14 sun
11:00-17:00(最終日は16:00まで)
※休廊日 4/4 、10