2021年5月18日火曜日

近藤 充さん①古絵

いずれもアクリルと天然の岩絵具を用いたテンペラ画。
四角いパネルの支持体を、不規則にガタガタと造形したのちに描かれます。


”造形”も好き、という近藤充さん。
モノとしての存在感を持たせつつ、あくまでも「絵」として、というさじ加減の妙。





古絵「三賢者」


 
 


中世ヨーロッパの中でもロマネスクの時代の雰囲気が好きで、その空気感を込めた「古絵」のシリーズ。
まるで崩れかかった教会の壁画を剝がしてきたかのような佇まいです。


触れたら更に欠けてしまいそうな儚げな様子に、お求めになるお客様も飾り方を思案されるところ、近藤さんは、テンペラ画は年月を経るにつれてどの画材よりも丈夫になっていきます、とおっしゃいます。


パネルの周囲も楽しんでいただきたい作品なので、箱額での額装を希望されるお客様もおられるとのことですが、作家本人は、額装せずに直に撫でたり触ったりしたらいいのですよ、と。


もしも手の脂で染みができたり、もしも落として欠けたとしても、それがその作品の歴史になるのです、とおっしゃる言葉に、近藤さんが目指している絵画を感じます。






「勇者」





「預言者」





「使徒」




学生の頃より「テンペラ画」を描いてきたという近藤充さん。
随分と、手間も時間もかかる技法のようです。

中世ヨーロッパに始まる、このいにしえの技法は、油彩の登場とともに古臭く非効率的なものとして廃れてしまったとか。


けれどその手間と時間を注いだ作品は、時を経るごとに堅牢になり、色褪せることなく、時代を超えて生きてゆくものであるとのこと。



作家メッセージを改めて読むと、近藤さんが大切にしておられることと、表現したいものと、「テンペラ画」というもの、そして略歴に垣間見るこれまで歩んでこられた道が、みんなひとつのものとしてつながっていることを感じます。


まだまだワクワクと、何処へ向かわれるのでしょうか。

その道の途中でお会いできたことが、本当にうれしい今展です。



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◆近藤 充 /  KONDO  Mitsuru


世界の時間が短くなり、未来への号令が声高になる中、古典に惹かれます。
未知なる未来の可能性にワクワクしながらも、時を経たものがいとおしい。
時間が降り積もったような気配、モノとしての存在感と儚さの相反する要素を作品にと。


【略歴】

1964年 新潟市生まれ
1987年 アリゾナ州立大学留学・中南米遊学
1990年 新潟芸術美術展  連盟大賞
1992年 伊丹大賞展  大賞(兵庫県伊丹市・伊丹市立美術ギャラリー)
           伊藤廉記念賞展(名古屋・日動画廊)
1995年 千石大賞展  大賞(新潟・千石ギャラリー)
1997年 銀座大賞展 2席(東京・正光画廊)
1999年 個展(新潟・ギャラリー小さな森)
2000年 フィレンツェ賞展  特別賞(新潟・雪梁舎美術館)
2001年 個展(新潟・羊画廊)【同 ’03・’05・’07・’09・’11 個展】
2002年 花の美術大賞展  受賞(兵庫県加西市)
2003年 新潟の洋画家6人展(弥彦コミュニティセンター)
2004年 新潟の作家100人展(新潟県立万代島美術館)【同’06出品】
          風の会選抜展(イタリア・レカナーティ)
2005年  「萬代橋十景展」(新潟日報社主催)
2009年  「記憶のかたち展」(新潟県立万代島美術館)
2010年   個展(新潟・ギャラリー万代島)【同’13個展】
2014年  「Pegasusの会展」(新潟市美術館市民ギャラリー)【同’15・’17・’18・’19開催】
2015年  「箱展」(加茂・あとりえきっか)
2016年   個展(新潟・ギャラリーあらき)【同’18・20個展】
2018年   風の会展(イタリア・フィレンツェ)
2019年  「あたらしいかたち展」(新潟市新津美術館)

新潟大学大学院修了
無所属・新潟県美術家連盟理事