デッサンとは「物体を平面に白黒で描く」こと(=素描)
「猫と金魚 Ⅰ」
アクリル・岩絵具・テンペラ / 変形SM
専門学校でデッサン講師をつとめる近藤充さんに、マンガやアニメを志す若者に教えるのはどんな感じですか?とお尋ねしたところ、
専門学校の学生たち(に限らないけれど)みんな、デッサンは「写真のように描くこと」だと思っていて(私もです(;'∀')
写真のように描けることが「上手い」ことだと思い込んでいて(ハイ!(;'∀')
それはこれまでの美術教育の中でそう思わされてきたということなのだけれど、
デッサンの目的はそれでない、ということを伝えることから始めなくてはならない、とおっしゃいます。
今やマンガもアニメもイラストもデジタルで描けるので、「デッサン不要」論すらあるとのことですが、
果たしてそうなのか、、、否、
ということで「日本マンガ・アニメ専門学校」(通称JAM)にはデッサンの授業があり、
近藤充さんという、ワールドワイドな美術家をお迎えしているという、、、
なんて素敵な専門学校☆
学生たちが近藤先生の存在や ”ものの見方” に触れる経験は、技術の習得に影響するだけでなく、人生の稀なる出会いになるのではないかと想像します。
「猫と金魚 Ⅱ」
変形SM
猪爪彦一さんも、写真のような絵はつまらない、とおっしゃいます。
ある程度訓練すれば写真のように描けるひとは山ほどいるが、実物を超える「絵画」として極めることのできるひとはごく僅か。多くのそういう絵ではないものを志すひとにとって、大事なことは「上手に描く」ことではなく「描きたいように描けること」。
デッサンはそのためのもので、その先こそが大事なのだ、と
両者、明解に一致しておられました。
「自分は絵が描けない」と思わなくてよいです、と断言される猪爪さんは、
御年90歳のお客様との会話で、
音楽の道を究めるためには、とにかく早く始めなくてはならないと言われるけれど、
絵の道はいくつからでも始められます(キッパリ)
とおっしゃっていました。
齢90になっても健康で、やりたいことがあり、若き友がいて、新たな出会いも引き寄せ、
行きたいところへ行き、美味しい食事や、たのしい会話ができる、、、
お越しくださるたびに、その方の人生を眩しく、出会えたことを尊く、思っているのですが、
きっと ”デッサンの向こう側” におられるのだと、、、
「描きたいように描く」は、
「生きたいように生きる」に、通ずるのではないかと思うのでした。
「星の涙」
油彩・F10(作品部分)
◆最終日は近藤充さんと金内沙樹さんが在廊で、16時にて閉幕です。