2021年5月31日月曜日

「Pegasusの会展」スピンオフ

番外編をひとつ。

今回の「Pegasusの会展」では、作家それぞれのずいぶん前の作品を拝見させていただくという、
予定外のうれしいことがありました。





猪爪先生の在廊日、お客様が、所蔵する猪爪彦一・近藤充、両氏の作品を計3枚、ご持参くださいました。


猪爪先生の人物画2枚は、作家本人にも制作年が定かでなかったのですが、
とりわけ肩から上を描いた肖像画の「少女」は、表情といい空気感といい、目が離せなくなるような、とても印象的な作品でした。


お客様によると、ご家族との共有スペースに飾る絵と、自室で一日の終わりにほっと(うっとりと)魅入る絵があるそうで、この作品は後者とのこと。

なんて豊かな一日の終わりでしょうか。



近藤先生の作品は、お話には聞いていた「色」のある時代の作品で、2003年に制作された人物画でした。


今回の出展作は、近年たどり着いたとおっしゃる統一された色調で、被写体は遠い記憶のような、にじんだアウトラインで描かれていましたが、

20年ほど前の作品は、、、、 基調となる色彩こそ今に通ずるものでしたが、華やかで、ゾクリとするようなうつくしさと繊細さ。



先述した猪爪先生の肖像画も、一見穏やかに見えますが、意思のあるまなざしはどこかクールで、何を思うひとか、ちょっとぞくっとする面も感じます。


20年前にはもう出会われていた両氏の ”どこか通ずる” とおっしゃるところを、この旧作からも感じたり、近藤先生の描く ”空気感” の表現の変化を、わずかな断片から垣間見せていただいたような気がしたり、とてもありがたく、うれしいことでした。





そのことを受けての最終日、それならばと、近藤先生が
「第1回 Pegasusの会展」に出品された金内沙樹さんの作品を持ってきてくださいました☆


その8年前の作品がまた素晴らしく、、、

あやしく、うつくしい、今回とはまた随分異なる作品世界が、
最終日のお客様の関心を集めていたのですが、



何が大事かといえば、

そのことが、沙樹さんに何かをもたらした様子。。。



どのように今後に反映されていくのかは彼女のみの知るところですが、

何かが始まろうとするケハイが、窓の外の茂りゆく緑たちに重なって感じられました。




絵を描くことは、個人の表現の探究ではあるけれど、


こうして世に出し、観ていただくことで、
ひとがひとと関わることで、
描いたひと、出会ったひと、
それぞれの中に生まれるもののあること、


そのことより大事なことは

私にはあまりないかもしれなくて。。。


このときのことを書き記しておきたいと思うのでした。





金内沙樹「陽光」
(2014年)





右は10年ほど前に沙樹さんがおかあさまのために描いたという
愛犬「アトム」

そのまなざしの、なんとやさしく、いとおしいこと




「Pegasusの会展」は、来年も5月に開催することが決定しました。

この続きをみせていただけることのうれしさ。

皆様にもたのしみにしていただけたらと思います。




友人がつぼみを織り交ぜて届けてくれた薔薇のブーケ。
気温が高い日にぐんぐん開いていく様子にもハラハラした会期でした。

たくさんのひとに見ていただきたくて、願いを込めて切り戻し、活け直し、
大雨でお客様が少ない日にも、私だけはたっぷり愛でて、
いい香りねと褒める!(*ノωノ)♡


願い届いて会期後半、気温が下がったのも幸いし、
芍薬のごとく花びらが幾重にも重なった見事な大輪が、
最終日までお客様をお迎えしてくれました。


四方八方に感謝。