三者三様の作品の魅力を、愉しんでいただいている《三人展 中庭》。
ギャラリーに入ってすぐに対面する加納いずみさんの作品は、
ほぉ、、、と立ち止まって眺めるやいなや、禅問答が始まるような作品です。
いずみさんの出展作品は、「インスタレーション」(ざっくりと空間展示)と表記されていますが、
コンセプチュアル・アート※(概念芸術)寄りの志向で制作しておられます。
※素材を用いて芸術作品を作るという技術面より、作品製作の背景にある発想や思想に重きを置く芸術
右)《芥子却》(けしこう) 1/20000バージョン
左)《盤石却》(ばんじゃくこう) 短縮バージョン
難しい話になりがちなところも軽やかに縮尺して示し、
私たちはコンセプトについての共通認識の土台を得た上で、
それでも残る謎に思いを巡らせ、作品と、居合わせたひととの語らいに
向かうことができます。
《 芥子却 》 1/20000バージョン
芥子の実、木箱、ピンセット
《盤石却》 短縮バージョン
モーター、布、石 ほか
真面目さと、ユーモアと、シュールな可笑しさと、うつくしさ、
河原の石や芥子粒など、きわめて再現性の低い自然の素材をメインに用い、
そこここに作家の生の手仕事の痕跡が残されているにもかかわらず、
実は「もの派」が好きで、レディメイド(既製品を用いたアートの文脈)に憧れているという、
相反するようにも感じられる要素が、絶妙な配分で散りばめられた作品世界。
額縁写真、石 ほか
また額装して撮影⇒したのを現像に出して、、、と
形にしていくために、注がれた時間のあることを、
作者以外の方々との語らいの中で(つまり作者が解説しないところで)
見えたように感じた瞬間に、ひとつの感慨がありました。
ストレートに時間を可視化することを目的とした作品であることに対し、
《観ることについて》は作家にとっては異なるスタンスの作品であるようなのですが、
という一例の報告のような所感になりました。
紙、ほか
《 三人展 中庭 》
2024.7.9 tue ~21 sun
Open 11:00~17:00 ※最終日は16:00まで
Closed 12 fri, 17 wed
🌻加納いずみ(インスタレーション) 在廊:7/13、18、21(各日午後)
🌻高畑杏子(写真) 7/11、14(13:30~)20、21(13:00~)
🌻手塚千晴(木彫) 7/10(11:00~14:00)、14(13:00~)、21(11:00~)