2023年1月31日火曜日

【御礼】On Your Mark

2023年のはじまりの展覧会《On Your Mark》 1/16~29

最終日は雪の中、千葉県から櫻井あすみさんが元気にご来訪くださり、
午後には財田翔悟さんも在廊、
駆けつけてくださったお客様方から賑わいをいただきながら、
無事に閉幕いたしました。


会期中の作品紹介や日々の様子はInstagramに先行アップしていました ⇒ @tabino_soraya

のちにブログに再掲したかったのですが、余力がなかったのが無念でした。
以下、少し長いですが、皆様への感謝とともに振り返ります。





2週間にわたる会期は、
初日に茨城県から小松啓美さんが1泊滞在のスケジュールでお越しくださっての開幕でした。


 


二日目の 1/17 は快晴
この頃は降雪も無く、昼食のお雑煮をつくる余裕もまだありました





NIIKEIさんの記事には二人とも顔写真が出ましたので
こちらにもアップ



会期後半は凍結と降雪にハラハラし、雪かきに追われた日々でした。
それを見越して会期前半にお越しくださった皆様、
道路事情が悪くなった中もお越しくださった皆様、どうもありがとうございました。


大雪の日にも営めるのは、地域の除雪に尽力してくださる近隣の方々のお陰でもあります。
この冬も、大変助けていただいています。


 
 


左)1/24   右) 1/29

右は積み上げていません。ハゼノキの周りに吹きだまってこんもり



 

左)1/17     右) 1/29



先のトピックスに書きましたが、
会期前半には、下記2つのオンラインメディアの方から取材していただき、
展覧会とギャラリーをご紹介いただいたのは、とてもうれしいことでした。

⇒ 「Niigata ART Scene」掲載についてのトピックス
⇒ 「にいがた経済新聞(NIIKEI)」掲載についてのトピックス


紙媒体では、いつも新潟日報紙の「こしじウィークリー」のコーナーに、
開催スケジュールをご掲載いただいています。

展覧会のDMは、県内の美術館や美術関係の事業所はじめ、長岡市中央図書館や、
懇意のお店さんに設置していただいています。

Facebookをシェアしてくださったり、SNS等で発信してくださる皆様の
あたたかい励ましにも、いつも感謝しています。


それぞれを見て初めて訪ねてくださるお客様も、

皆様、本当にありがとうございます。





◆物質感と"do"

2022年に印象的な会話を交わし「実感・実体験を重視するスタンス」が共通すると感じた
4名の作家にご出展いただいた絵画展。

オンラインの情報や画像、紙の印刷物、版画、写真、立体、、、
世には様々な形で表現されるものがある中、
デジタルで制作されるアートや、記録としての写真のことも思い浮かべながら、
各作家独自の技法によるアナログな絵画を味わいました。







日頃はデジタルアートを制作しているルーカス・レドンドさんが、今展では油画を出展してくださり、
波打った画用紙そのままの状態の展示であったことは、実に「物質感」の際立つものであったと思います。


※ちなみにルーカスさんのデジタルアートはパソコン画面の中だけで完結するものではなく、まずは被写体の記憶を ”立体物” として具現化することから始まることに特徴があります。
表現活動の起点には「記憶のカケラ」を物理的に組み立てる行為があり、デジタルであれ、アナログであれ、実存する世界における空間や感覚を非常に大切にして制作しておられます。






一連の作品を、壁に飾る絵画としてでなく、手に取りたい(何らかのアクションを伴うものとしての)「カード」という「物」としてイメージしてくださった方が複数おられたのも、印象的なことでした。


実際的な ”物質感” に加えて、観る人の ”do”(行動のきっかけ)を触発する要素が、
それぞれの作品にあったことに気づかされます。





《凛となる》

綿布、ピグメント、岩絵具、硫酸カルシウム、アクリル絵具、洋箔
530×455mm/2021



財田翔悟さんが、自身の作品は「慌ただしい日々にふと、幸福な瞬間を顧みる機会として存在してほしい」とおっしゃるのは、まさに鑑賞者自身の「ⅾo」と共に在りたいという願いであるように感じます。


画像ではとてもクールで「写真」のようにも見える作品ですが、オンラインや印刷物ではわからなかった表面の盛り上がりや、触れたくなるような、触れずとも柔らかさやぬくもりを感じるような有機的な質感を目の当たりにして、

そこには実際の手仕事と、手技と、時間(描いているときだけでなく、暮らすことの時間)の蓄積が在ることを感じました。





ヤマカリ #1

綿布、ピグメント、岩絵具、アクリル絵具、硫酸カルシウム
530×455㎜/2020




櫻井あすみさんの独自の写真製版が融合された絵画は、画面上でまさに絵具という物質のやり取りを経て形成される世界。

観る人の気持ちを、いろんな意味で(写真なのか、絵なのか、いつなのか、どこなのか、なになのかと)彷徨わせることや、立ち位置によって反射の違いから見えるものが変化するのを感じることも、自然光の差し込むこのギャラリーで、その絵と直接、間近で向き合えばこそできた経験だったと思います。






《behind snow》部分

木製パネル、和紙、顔料、箔/M50/2022



 




見えるものの変化といえば、赤い壁面の喫茶室を、更なる異世界にしてくださった小松啓美さんの作品は、圧倒的な存在感もさることながら、絵本や執筆物も含め、空想的でありながら、今、立っている場所と確かに地続きであることが感じられ、この世界をどう見るかという、目にうつる景色に影響を与えるものでした。






《噴華 3》

アクリル・油彩/F10/2021





《噴華 2》

アクリル・油彩/F10/2021




実感・実体験から始まる4名の作品の物質的な存在感が、
観る側の ”実感” に作用することを体感したり、垣間見たりしながら、
作家が模索しながら自らの道を拓いてきた軌跡・痕跡を、お話も伺いながら堪能させていただきました。



◆開廊5年目の終わりに

開廊5年の集大成の気持ちで臨んだ展覧会は、現段階の精一杯の挑戦を
作家の皆様に大きく受け止めていただき、お力添えをいただいて実現しました。


それぞれにタイトなスケジュールの中、県外、国外からもご出展いただき、
遠路、駆けつけてくださいましたことも含め、こころより感謝申し上げます。
ありがとうございました。


全然、まだまだではありますが、ギャラリー運営の経験値ゼロからのスタートで、
当初できなかったアレやコレが、少しはできるようになったかなぁ、、、という、
そのことをまずは大切に受け止めたいと思います。

比べるべきは、昨日までの自分。





◆タイトルについて

「On Your Mark」は「位置について、用意!」の意味です。

ARTの末端に携わるひとつの事業体として、それを営む一個人として、
この時代に放つメッセージでもあります。


同世代の方は、宮崎駿 監督(原作・脚本)のアニメーション作品(1995)と、それがプロモーションフィルムに用いられたチャゲ&飛鳥の同タイトルの歌を思い浮かべる方もおられると思います。

正解です。

展覧会タイトルを考えていた時、出展者の顔ぶれにワクワクする気持ちが、
疾走感あるその曲と映像を思い出させました。


それは今もって物議を醸し続けている作品です。
東京・調布市では28年ぶりに劇場上映されるとのこと。

物議を醸してこそのART、と思う気持ちとも重なりました。


◇参考までに宮崎駿監督のインタビューが掲載された「スタジオジブリの非公式ファンサイト」⇒






◆たびのそら屋は、これにて2か月間の冬季休廊に入ります。
この1年、そして5年間の実務的なまとめと春以降の準備、その他諸々をして過ごします。


終わりは始まり。

新しい年を、新しい今日を、はじめていきましょう。

(皆様、とっくに始まっていますね☆ 私もはじまっています☆






次回展覧会は、4月3日(月)開幕です。
詳細は改めてご案内いたします。


たびのそら屋の発信が、皆様の「行ってみよう」「そうだ、旅しよう」の 「do」
につながることを願っています。


この雪を越えた桜の景色も、どうぞおたのしみに。






写っているひともいないひとも、つながっている全ての方に

Special Thanks


2023/1/29


maison de たびのそら屋