2020年6月21日日曜日

月の間のこと・工房化のお知らせ

maison de たびのそら屋には、展示室がふたつあります(ありました) そのひとつ「月の間」が、この度6名の有志の方々による「工房このすく」として、 版画等の制作や様々なアートにまつわる試みの場として活用されることになりました




2018年春の開廊の折、大きな窓のある明るくて開放的な部屋を「太陽の間」、 直射日光の入らない、静寂 を感じられる部屋を「月の間」と名付けました 「太陽の間」を褒めていただけばいただくほど、「月の間」もいいのですよ~ と、 いとおしさを込めて伝えてきた、とても好きな空間です
「月の間」は、かつてこの建物のオーナー主人が「立見整骨院」を営まれていた場所で、 事務室であったであろう可愛らしい「小部屋」には、玄間を向いた可愛らしい小窓があります

整骨院をやめられてからは「ギャラリーmu-an」の一室として使われていたその部屋を、私たちも展示室にするべく、当初のクールな感じが改まるようにイメージしながら照明を配置し直し、窓面だけ少し造作をしたのですが、
オープンに至る前に、実は大変なドラマがありました
建物の主となって、改めて大掃除をすることから始まった2018年の年明け、県内は例年にない寒波に見舞われ、まだ暖房器具なども揃っていなかった maison はあまりに寒く、私は車で20分ほどのところにある実家から通って作業を進めていたのですが、ある朝、行ってみると・・・ 

1階トイレで雨漏り・・・
2階のシンクの水道が出ない・・・ 凍結?!

大雪の経験は少なからずあるのですが、”凍結”というのは大人になってから経験したことがなく、 事前に備える、ということに思い至れませんでした さあ、どうしたものか・・・ と思った翌日、

ふと月の間を覗いたら・・・ なぜ水たまり??
そして小部屋内、水浸し!!! Σ(゚д゚lll)ガーン
2階につながる給水管のどこかが破損したのでした 今、小部屋の天井が無いのはこの事件の名残りです また漏れるかもしれないからと、様子見で天井の張り直しはしなかったのでした

それからひと月は、本当にたいへんでした
市内・県内各地で凍結による断水がおき、業者さんもてんてこ舞いな中、かろうじて義父の知人が力を貸してくださり、コンクリ壁内の断水箇所を探し新たに配管し直すという大変な工事を手配してくださいました

その間、全館断水を続けねばならず、内部の清掃作業などは中断、 いろんなスケジュールが遅れていきました

開廊記念企画展は4月6日に開幕予定、第二期に渡り総勢38組の作家に依頼済みでしたが、 果たして無事にオープンを迎えられるのか、不安しかありませんでした
その頃の私にできること(というか急務)は、こんもりと積もった屋根と雁木の雪を少しでも降ろすこと、ガレージ前に除雪車が残していった雪は消雪パイプの水が凍みてガチガチに氷っており、私のスコップではどうすることもできず、ガレージを使うのは諦めましたが、斜め向かいの駐車場については地下水を汲み出せることが救いでした その冬は、ご近所の方々にも本当にお世話になり、新たな地での心強さをいただいたことも、とてもありがたく励まされたことでした

業者さんのご尽力で徐々に見通しが立つにつれ、今が展覧会でなかったこと、今ここに作品をお預かりしていなかったことに、何度も何度も、この身のさいわいを思いました

そうしてなんとか4月を迎え、展覧会の作品搬入と並行して、月の間をよりギャラリーらしくするために白く塗った板で窓をふさぐという、夫によるDIYが残ったのですが、大した道具もなく苦戦していたところ、手持ちの丸鋸持参で協力してくださったのが、この時の出展者であり、我々を見るに見かねた近隣在住の作家・コイズミアヤ&岡谷敦魚夫妻でした



手伝えることが無いので写真など撮っていました(。-_-。)
ご披露する日が来るなんて

この度の「工房このすく」は、このお二人も主導メンバーとなっており、工房化構想については、実は開廊前にも打診されていました
が、使いもしないうちに手放すことは到底考えられず、結果的にこれまで「月の間」で開催していただいた催しすべてがこの空間あってこそ実現した素晴らしいもので、展示室としての「月の間」は今もって私にとってとても大切な空間です
それでも再度この場所を使わせてほしいとのお話をいただいた時、改めて彼らにとって「この場所」であることの意味をお聞きし、私たちにとって「この建物」でできることを思案し、新たな試みを(それぞれの立場で)共に始めてみようと思いました
「様々な表現の場でありたい」と願って始めたギャラリーです

この建物が展示作品やアーティストと出会う場であるだけでなく、作品が生まれる場所にもしていただけるのは、とてもうれしいこと
この場所に新たな風を迎え、空間が活かされていく成り行きにゆだねてみようと思いました




「工房このすく」は、建物は同じですが出入り口と内部は独立しており、maison de たびのそら屋とは連動せずに独自に活動をしていきます
その展開を私もお客様方と同じように、外側から楽しみにさせていただく立場ですが、お伝えできることがありましたときにはこのHPでもご案内させていただきます
どうぞおたのしみに