2026年5月14日木曜日

《染め織り縫う編む》勝見俊介

開催中の展覧会《 染め 織り 縫う 編む 》では
「編む」担当イメージでご出展いただいた勝見俊介さんなのですが(!)

今回は機械編みをもとにした作品のほか、
デザインの手法は共通すれど、編んではいない作品も。


かぎ針編みの作家として出会った勝見俊介さんの進化・変化が著しくて、
1年ぶりの作品に、昨春とはまた違った衝撃と感嘆が尽きません。






お客様方も、なんとなく糸的な素材感は感じつつも、
これは一体、、、? と、戸惑いが隠せない様子がうれしい会場








以下、作品のコメント(色文字部分)は勝見さんのインスタグラムから引用させていただきました。
@
shunsuke_knit_something


色彩は再現できていません。
会場で実作品をおたのしみください。





《 綱引き 》

ナイロン糸、アクリル絵具、テグス、釘、木製パネル、アクリルパネル
41.8×46.4cm/2026 


透明な糸で編んだ編み地に着色した作品。
編み目に目詰まりさせるようにして色を付けた。






星名康弘さんの植物染めの作品を見てわかるように、
染め物といえば「糸」を染めますが、





勝見さんの作品《綱引き》は、ベースとなっているのがナイロン糸であるゆえに染まらず、
編み目の「目」の中にアクリル絵の具を置くように、「目」の部分を埋めるようにして、
ハーフトーン化した写真を再現しているとのこと。


プリントだったら一瞬で仕上がるようなことを、

作家は、ひと目、ひと目に、、、、 編むかのように、、、


この作品を魅せるための額装や、もとになった写真の由来など、
見どころ、語りたいことの尽きない作品です。






 




《 Uncle 》

プラスチックボール、アクリル絵具、テグス、木製パネル、アクリルパネル
49.3×36.4×9cm/2024-26


印刷やシルクスクリーンなどで昔から使われる網点を、
実際のボールにしたらどうなるかなと思い作った作品。

元にした絵柄あり

ボールは、サヨリ釣りの仕掛けのウキと同じ付け方でやった。







《Uncle》はいわゆる”編んだ”作品ではない装いですが、
網点化した写真をベースに用いていることで、《綱引き》と連作のような、派生する作品。



そこには毛糸用のかぎ針も、機械の編み機もなく

空間にドットをうつくしく編み上げる
作家の指先があるのみ








モチーフとなっている元絵について、会場では答えをお伝えしておりますが、
(聞けば、嗚呼!と合点) 聞かずともわかった方はおられるでしょうか…?






アクリル板への固定の仕方も、影もうつくし





《 Warming Up 》


ウール、木製パネル
34.2×50.1cm/2026


家庭用編み機を使用したインターシャという編み方の作品。
車は70年代のミニカスキッパー。





色の切り替え時に生じる糸の端々

本来は裏面になるところ





(うちわなどで)風を受けると疾走感満点





勝見さんは、編み上げたのちに、絵柄を見せるための張り具合を考慮しながら、
作品に合わせて自ら額装をされます。

見せる形状に仕上げてこその完成。
そのための工程もまた、1作、1作、異なる工夫が凝らされた、気の遠くなるような仕様です。



《 Warming Up 》も仕上げが大きなひと仕事。

画像では木製パネルに貼ってあるように見えるかもしれませんが、実はそうではなく、、、

貼っただけでは端からめくれてくるであろうということで、
どうしていると思いますでしょうか、、、


ニットだから手のかかることがあり、
ニットだから対応できることがある、、


作家の意匠は細部に至るまで甘んじることなく、
お伝えしたいことがいっぱいです。






《 カーペットビートル 》

ウール、コットン、のり、わた、木製パネル
71.5×53×11cm/2026


ウールを食べ、セーターに穴を開ける虫を実際の姿を参考にして、
ウールをメインに使い、家庭用編み機で編んだ作品。

本当の姿は、肉眼では小さ過ぎて分からないけど、
拡大した画像を見ると、本当に繊維が飛び出しているようになっていて、
ニットで作れそうだったので作った。

和名があまり好きになれないので、
欧米の通称名のカーペットビートルをタイトルにした。









ギャラリーに入ってまず目を引く作品。

スゴイの来ちゃった、、 


「てんとう虫みたい」と言っていただけたなら、
そういうことにしておいてもいいかな、、、と
思いながらもちゃんとご説明しております。


スピーディーに編めるのがメリットとおぼしき機械編みのはずなのに
修行のように手間のかかることを成す、、

しかもモチーフは今回の出展作家の皆さまの天敵ともいうべき「カツオブシムシ」。

(確かに「カーペットビートル」と言う方が、キミも頑張って生きているね、と許せる感じがします。。


現物にかなり忠実に作られているということで、
細部の再現においては《綱引き》や《Uncle》と通ずる作品であるといえそうですが、

そもそも勝見さんの作品世界、モチーフとの対峙の仕方がそういう目線なのだと、
これまでの作品に思いを巡らせ
ます。







喫茶室では2023年と2024年の個展をまとめた作品集を販売しています。

とくに2024年の作品集は、これ自体が一点物の作品ともいえるスペシャルな仕様。

ニットの技法や編み目、そこからの派生をどう見せていくかの展開。
ポートフォリオのファイルと併せてご覧ください。





ムイムイはあまり得意ではないのですが、、

徐々に愛おし

ニットだもの



▶勝見さんは、16(土)17(日)終日在廊です🐞