2022年6月17日金曜日

竹本悠大郎 乾漆彫刻展/作家メッセージ

2022/6/18(土)~28(火) ※6/22(水)休廊日
OPEN 11~17 ※最終日は16時半まで

《 竹本悠大郎 乾漆彫刻展 》


6/17夕刻、作家と仲間たちによって展示が整いました。
作品の実質量だけでなく、そこから放たれるエネルギーで館内が満ちみちています。


彫刻だけでなく論文や制作過程の資料、版画作品も展示しています。
喫茶室の展示もお見逃しなく。どうぞゆっくりとご高覧ください。


以下に作家メッセージと略歴、在廊予定を掲載いたします。


photo by Jun Iizuka





【 作家メッセージ 】

私たちの選択は,自分自身の意志であるようにみえて,実のところ歴史や文化によって形成されている側面が強いものです。そもそも日本に生まれなければ,私が漆を扱うことはなかったでしょう。そういった意味で私は,たまたま(・・・・)乾漆でヒトガタを作っています。

ただし,何事も始まりは偶然でしょうが,それを続けているということには本人の意志が働いています。とすれば,なぜ乾漆でヒトガタを作るのか?と問われることは多くありますが,それよりも,なぜ乾漆でヒトガタを作り続けられる(・・・・・)()()?という問いを立てて考えていく方が意味あることのように思えます。

 

現在,彫刻という領域は,人形やフィギュアや立体造形と呼ばれるものとの区別がなくなり,一括りに扱われつつあります。確かに,明治期から大正期にかけて,江戸以前の造形物と強引に切り分けられることで成立した「近代日本彫刻」は,本来,人形や置き物と明確に区分できるものではありません。その点では,彫刻がフィギュアなどと等価に扱われようとしていることの方が,自然な姿であるように思えます。

しかし,人形やフィギュアと彫刻との区分がなくなり一つになるということは,明治期に彫刻という概念が西欧より輸入されてから今日に至るまで,彫刻とは何かと問い続けることで積み上げてきた知が失われるということでもあります。

 

人形と彫刻とは,容易に区分できない複雑な関係にありますが,やはり,そこには異なる思想があるように思えます。素材と対峙し,素材に触れることで形を立ち上げる。そうして作られたヒトガタから私たちは,それが漆と麻布の張り子であると知りながらも,単なる物質を越えた精神性とでもいえるようなものを読み取ることがあります。この現実/虚構,実在/仮象が,一つの形において同時に存在するということの不思議さと意味について考えながら(あるいは考えられるからこそ),私は乾漆でヒトガタを作り続けています。

竹本悠大郎 




【 略歴 】

竹本悠大郎 / TAKEMOTO  Yutaro

1995  兵庫県生まれ

2018  信州大学 教育学部 卒業
         第47回 新潟県芸術美術展  新潟日報社大賞

2019  第82回 河北美術展  河北賞
         第93回 国展  千野賞

2020  上越教育大学大学院  修士課程 修了

2021  第95回 国展  新海賞

2022  第83回 河北美術展  河北賞

         第96回 国展  新海賞

現在 長岡造形大学大学院  造形研究科  博士(後期)課程在籍中


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【 在廊予定 】
 
・会期中の土日:終日
・会期中の平日:6/23以外、
13~17時頃まで在廊予定。

◆会期中6/25(土)にワークショップが開催されます(定員6名・要予約)
 詳細は別途トピックスをご覧ください⇒