2021年4月8日木曜日

hope展 / しんぞうさん / 在廊予定変更

早々と開花したメゾン裏の桜はすっかり葉桜になりましたが、おかげで桜については明日の雪予報にやきもきすることなく、落ち着いて作品を堪能できそうな会期終盤。




出展作品一部


アクリル画と版画をご出展くださっているしんぞうさん。

会期後半は連日在廊してくださる予定でしたが、先日、連れ合い様がお怪我をされて、8日の在廊はなくなりました。それ以降も状況によって変更になる場合がございます。

会えるのをたのしみにしてくださっているお客様も多いのですが、ご家族最優先でご無理なきように。
早い快復をこころよりお祈りいたします。





「まじない」

(キャンバス・アクリル・65.2×53㎝・2016年)




幾多のピンチを越えてきたしんぞうさんだからでしょうか。
まさにこんな時に味わいを増す作品がたくさん。


果たして、この「まじない」↑は太陽のエネルギーを与えているのか、はたまた太陽を輝かせるために吸い取られているのか。。。と、お客様と話題になりましたが、しんぞうさんは「与えている」のでした。






「血と塩」

(キャンバス・アクリル・91×116.5㎝・2017年)


ちょっとドキっとするこちらの大作も、血が流れ出ているようにも見えますが、
実は海から栄養をいただいている、の図。


自然から、たくさんのちからをもらっているという、リアルな実感なのかもしれません。






「争い」

(キャンバス・アクリル・65.2×53㎝・2016年)



異国と思ってケンカしているけれども、海が干上がってみれば地続きの同郷のひと。

しかも美しい山脈です。



横浜のコンクリート色の景色を見て育ち、今は日本海まで数分のところに暮らすしんぞうさん。


先ごろ新潟絵屋さんで開催された個展では、とてもポップで明るい色彩の作品が並んでいました。新潟に来てようやく、明るい色を使ってもいいんだ!と思ったと、ラジオのインタビューに答えておられました。


今展ではグレーがかった作品が並びましたが、描き続けてこられたグレーの中に、さまざまなひかりを見つけます。







小国和紙に刷られた版画も素敵です。

「工房このすく」で、はじめて塩ビ版を使った版画を制作したというしんぞうさん。



文末に再掲しているメッセージにあるように「ドローイングを繰り返し、シンプルな形に落とし込む」ことをしてこられたからこそ、この線が生まれるのだと思いました。


そして版画でありながら絵画的

いえ、版画も”絵画”であることを、改めて感じました。


しんぞうさんの版画は、原版にコラージュも施して仕上げたものが「コラグラフ」。
インクの乗せ加減・拭き取り加減の異なる一回性の濃淡をつけて刷られたものが「モノタイプ」。





「さらわれて」

(モノタイプ・33×23㎝・小国和紙・2020年)



コロナ禍の一年で生まれた、ユーフォーキャッチャー・シリーズ。

新潟絵屋さんでは「選ばれて」というタイトルのアクリル画が展示されていました。


1年前に新型コロナが広がり始めた頃は、得体のしれないものにさらわれていくような不安をユーフォーキャッチャーに重ねていたけれど、それはもしかしたら新しい世界へ抜け出すチャンスかもしれないと、しんぞうさんの視点は転換します。


「お先に~(ニヤ)」と、不安そうもない表情で運ばれています。


世の中の事象をみるしんぞうさんの視点に、幾度もハッとさせられます。


ネガティブからポジティブを見出し、その両方のあることをそのままに(わりと笑いに変えて)みせてくださる作品が好きです。





「おかしな二人」

(モノタイプ・小国和紙・23×31㎝・2021年)




分かちがたい絆で結ばれた(縛られた?)夫婦の図。

行きたい方向はとっても違うふたりみたいですが、そのことでしっかりバランスが取れているような。







喫茶室ではリトルプレスの作品集と、オリジナルデザインTシャツ、ショルダーバッグを販売しています。

Tシャツとバッグは工房このすくで、しんぞうさん自らシルクスクリーン印刷されました。

作品ファイルと合わせて、ゆっくりとおたのしみください。


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しんぞう / SINZOW


自分の身の回りのモチーフを使用し、制作をしている。

普遍的な感情を表現したいと考えていて、ドローイングを繰り返し、シンプルな形に落とし込む。

そして画面に向かうが、困ったことにこれが予想通りにはいかない

頭の中にあるイメージとは違うものが絵具から滲み出る。

時に、思いがけず美しい色や線が現れることもある。

そんな時はもともと持っていたイメージを捨て去り、今この瞬間を優先する。その方が面白いからだ。

私にとって絵の中で起きていることは、この社会で起きていることと同じです。

全て自分の理想通りにはならない。他者とかかわることによって予想外の方向に人生が進んでいく。

こちらが一歩引くことで、自分が思い描いていたもの以上の輝きが得られることもある。

絵具、支持体、水。それらを他者に置き換えて、絵の中で社会と関わる。

それが今、現実を描くことにつながる。






【略歴】

1974年 横浜市生まれ。新潟市在住。
1997年 武蔵野美術大学油絵科卒業。

               

◆賞・入選歴

2010年
「第29回損保ジャパン美術財団・選抜奨励展」入選 損保ジャパン東郷青児美術館


2009年
アミューズアートジャム2009」入選 京都文化博物館 


2008年

「アミューズアートジャム2008」入選 京都文化博物館
「タグボートアワード」入選 クレアーレ青山アートフォーラム
「第44回神奈川美術展」入選 神奈川県民ホールギャラリー


2001年
「芸術道場GP(GEISAI)」銀賞 東京都現代美術館


1997年

「第2回アート公募」入選 SOKOギャラリー/東京



◆個展

新宿眼科画廊(東京)、DAMギャラリー(韓国)、福住画廊(大阪)、ギャラリーsfera (京都)、砂丘館(新潟市)、新潟絵屋(新潟市)、ギャラリーみつけ(見附市)など


◆グループ展・アートフェアなど多数出展


◆詳細な履歴はしんぞうさんのHPをご参照ください