2022年1月20日木曜日

角屋 幸 個展 / 下

雑巾や縄紐、糸こんにゃくや、造花など、、、
暮らしの中にある様々なものを書くための ”道具” に用いる幸さん。 

そうと聞いて拝見しても、どうしたらそのようになるのか、謎ですが、
その ”道具” があって到達した表現世界は、驚きとともに味わい深いです。

 




《 一 》

はじめのいっぽ


絵にも見える作品ですが、細かな筆で書き足したのではなく、
糸こんにゃくを用いて ”ひと筆” で書かれています。


なんと力強き 《 一 》


それは 再起 の一歩。




《 上 》

上を向いて歩こう

sold out


こちらも同じく糸こんにゃくを用いて、ひと息で書かれた作品です。
「偶発的に」できた”点” も文字を構成しています。






《 下 》

このそらの下



長岡花火の歴史を学び、戦禍に見舞われた ”あの日” と今日と、
同じ空の下にあるこの地を思って書いたとのこと。

幸さんのブログに詳しく綴られています→ ★「様様展6日目」




上空から花火越しに信濃川や地上を眺めたらこんな感じかしら、と思いを巡らせました。

もう何年も飛行機に乗っていませんが、空から見下ろす地上の営みはとても小さくて、
人が暮らせる場所もとても限られているのが見て取れます。


だからこそ、そのなりわいのひとつひとつを尊く感じたのが、ネパールの山間部で見た夜景。

オレンジ色の白熱灯が、斜面のひとところに集まるようにして灯っていたのが、
どんな名高い夜景よりもうつくしく、愛おしく思えたこと。


「たびのそら屋」というのは、
いつかの旅の空の ”下” を思ってつけた名前です。


かつて暮らした街や訪ねた地を思うとき、そこで見上げた空も思い出します。


あの空の下で出会った、名前も忘れてしまったあたたかい手のひとたちのことを思いながら、

今度は私が、誰かの旅の空の下になれますように。


この名は忘れられてもいいのです。

この地の貴方の足跡を、いつかなつかしく、いとおしく思い返せますように。



私自身も未だ長岡と新潟を行き来する旅の者ですが、作品《下》~このそらの下~ に見入りながら、
長岡の空の下にもたくさんのあたたかきひとのお顔を思い浮べることができるようになったしあわせと、
この4年の月日への感謝を思います。




皆様にも、想いの重なる作品があるでしょうか。



角屋 幸 個展  「 様様 ~おかげ様  生き様~ 」
2022/1/15(土)〜25(火)


open    11〜17 ※最終日は16時まで
closed  1/20(木)

◆作家在廊 平日午後・土日終日