2024年11月25日月曜日

【次回】この道の先には

2024.12.3(tue)~15(sun)

Tabinosoraya Presents 

ーこの道の先にはー

猪爪彦一(油絵・銅版画
蓑輪朋和(金工)
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open     11:00-17:00
last day 11:00-16:00
closed   12/5(thu)、11(wed)




◆猪爪彦一 /  INOTSUME Hikoichi 

1951年新潟市生まれ
行動美術協会会員
新潟県美術家連盟理事
県展運営委員
日本美術協会会員


蓑輪朋和 / MINOWA Tomokazu

1979年上越市生まれ
鎚起銅器の職人として従事する傍ら
作家としての活動も行う


※それぞれ詳細のプロフィールは別途、作家紹介のトピックスに掲載いたします






12月はたびのそら屋の企画による二人展。
猪爪彦一さんの油絵・銅版画と、蓑輪朋和さんの銅の立体作品が空間を共にします。


猪爪彦一さんは、年間を通して個展およびグループ展で精力的に活動しておられます。
多くのファンの皆様同様にその世界に魅了されている当ギャラリーでは、継続開催中の《Pegasusの会展》のほか、企画展にもしばしばご出展いただいています。


蓑輪朋和さんは、鎚起銅器の職人として燕市にある「玉川堂」さんに勤務する傍ら、個人としての制作にも力を注ぎ、伝統工芸家たちの展覧会では次の時代を担う作家として鎚起銅器の大作を出品するとともに、自由な立体造形も追求。たびのそら屋で折々にお披露目くださる作品は、時にユーモラスで、金属でありながらあたたかく、その独自の表現から目が離せない存在です。


今回の企画は、そんなスペシャルなお二人が喫茶室で居合わせたことがきっかけでした。







70代、ベテランの猪爪彦一さんは、異年齢のメンバーで構成された「Pegasusの会」をたのしんでおられることにも表れているように、常々、若い作家の作品に関心を寄せ、年齢や経歴に関係なく、刺激を受け合う対等な存在であるとおっしゃいます。

2020年5月に開催した季村江里香さんとの素晴らしき二人展《そこに在る物語》⇒
は、そんなお気持ちをお聞きして立ち上げた企画でした。
会場の様子は2020年5月のブログにたくさんアップしています⇒


(それはちょうどコロナ禍の真っ只中で、長岡市では緊急事態宣言が出されており、開催自体をためらう中、猪爪先生が「こういう場所は(どんな時でも、お客が来ても来なくても)開いていた方がいいでしょう」と言ってくださったことは忘れがたい出来事です。そのことで覚悟が定まったような、その後もこころの支えになり続けている言葉でした。
またその折から「対策」の有効性を十分に調べるようになったことも、お客様に非科学的で過剰な対応をお願いすることを早々に改めつつ、自らも安心して営む上で重要なことでした。)



猪爪先生から、このような若い作家との展覧会がまたできることを願ってくださるお気持ちをいただいていた私は、猪爪ワールドとのこころ踊る組み合わせを、いつも探すような気持ちでおりました。


そんな猪爪さんが、蓑輪さんの作品をとてもお好きであると、
蓑輪さんも、猪爪さんの世界がとてもお好きであると、、、


傍で聞いていてこそばゆいような会話が目の前で繰り広げられたのは、
誰の計らいだったでしょうか、、、


とはいえ、好き同士であればいい、というものでもないのです。。。


おふたりの作品世界が、私の中で、ここちよく、交差するのを感じたことが重要でした。


二人展やグループ展には、個展にはない、思いがけないハーモニーを聴くようなたのしみがあります。


江里香さんと猪爪さんの二人展では、幾人もの方から「意外な組み合わせと思ったが、とてもよかった」とお褒めいただきましたが、私の中ではお二人の世界にどこか通ずるところを感じていました。


今回も、蓑輪さんの作品と猪爪彦一さんの世界には、重なるものがあるように感じるとともに、
私の精一杯の想像をはるかに超えた世界を、観たい、と思いました。


皆様にも、異色とも思えるこのお二人ならではの光景を、自由におたのしみいただけたらうれしいです。

___________


奇しくも、季村絵里香さんと猪爪彦一さんの二人展《そこに在る物語》の際、
喫茶室奥のガラス棚には蓑輪朋和さんの立体作品を展示していました。

これは展覧会とのコラボというより別立てでの展示でしたが、「閉塞感やるせない世の中に向けて作り出された作品」とブログにしたためた《OPEN》は、私の中で特別な印象を刻むものでした


今回はどんな作品に出会わせていただけるのか、対面の時をドキドキしながら待っています。








2024年の締めくくりの展覧会です。

今年も、いろんなことがあったと思います。
うれしいことだけでなく、かなしいことも、
継続中の困難の中にあるかたも、おられるかもしれません。


こころ静かに、ただ佇めるひとときにもなりますように。


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以下、二つの展覧会のご案内です。


▶季村江里香さんは持病と付き合いながらご自身のペースで制作を継続。
只今、池田記念美術館(南魚沼市)で開催中の企画展にご出展中です ⇒





※クリックすると大きく表示されます。


県内作家作品と、美術館所蔵作品、そしてコレクター所有の名だたる作品を、美術を学ぶ高校生たちが先入観なく、やわらかな感性で展示した展覧会。

個々の作品の素晴らしさもさることながら、並べ方、配置の仕方による新たな発見もあるのではないかと思います。ぜひお出かけください。




 





池田記念美術館内より

出かけた日は残念ながら雨天。
しばし雲間から見えた八海山は、薄っすらと雪化粧していました。


屋外にも作品が展示されています。
とても気持ちのよい美術館です。



▶今年6月にご覧いただいた猪爪彦一さん属する《Pegasusの会》の金内沙樹さんは、
楓画廊さん(新潟市)で11/30から開催されるグループ展に初出展されます。(~12/15)

沙樹さんにとっての新たな挑戦。どうぞお出かけください。









2024年11月20日水曜日

【御礼】ふたりのそら

2024.11/6~17に開催いたしました川田淳さんと森島明子さんご夫妻の二人展、
《ふたりのそら》は、最終日もにぎわいながら無事に閉幕いたしました。


ご来訪の皆様、発信にご協力くださいました皆様に、こころより御礼申し上げます。
どうもありがとうございました。

感謝とともに会期中に綴りきれなかったことを、続く余韻の中でしたためたいと思います。





会期中は比較的好天に恵まれたとはいえ、雨模様の日もあったと思うのですが、
日暮れが早くなったことも気にならないくらい、きらめいて、あたたかく、たのしかった✨🍁 

そんな余韻の残る展覧会でした。





空間を印象付けるのは、まずは作品の力であることは言うまでもありませんが、
そこに満たされるケハイは、作家在廊時には作家とともに、
多くはご来訪のお客様方によってつくられると、常々感じています。




県内外から、作家のお二人を慕う方々が多数ご来訪くださり、
穏やかに、朗らかに、探求心に満ちたまなざしで作品を堪能しながら、
ゆっくりと語らいながら過ごしてくださるご様子からは、
川田・森島ご夫妻が日頃大切にしているものが、ありありと伝わってくるようでした。





それは多方面から届いたお花からも感じられることでした。

作品にあらわれた飽くなき追求と併せて、
それを届けたい方々のリアルな存在と、伝えたい感謝の思いがそこここに。







祝花といえば、お名前を見て誰もが驚くような方からも頂戴しました。






竜雷太さん。

目に留めた皆さま一同に、「アノ?」「ホンモノの?」と半信半疑でお尋ねくださいましたが、受け取った私も、ご本人なのか、同姓同名の御方なのか、関西人の明子さんのお知り合いなら洒落もありうるだろうか、、、、

でも、もしかしたら京都太秦でご縁があったのかしらと、答えをお聞きするまでどきどきワクワク。。。


確かに、俳優の竜雷太さん、ご本人様からのお祝いでした💐✨





力強さと、華やかさと、あたたかさと
人生の年輪を感じるような、見事なお花





竜雷太さんの祝花をご手配くださり、自らもお送りくださったのは「出口高司(たかし)」さん。
川田さんの大学時代のご友人であり、竜雷太さんと同じ事務所の俳優でいらっしゃいます。


そんなご縁から、川田さん森島さんは撮影で来越された竜雷太さんにお会いする機会があり、
川田さんのお母様が茹でた枝豆を差し入れにお届けしたところ、
その美味しさに大変感激してくださったのだとか。


そのようなご縁のお花であることを思うにつけ、、、

それぞれの想いがいくつも行き交う会場の、あたたかさと言ったら、、、 

伝わりますでしょうか✨💐

お贈りくださいました皆様、どうもありがとうございました。




もうひとつ驚きだったのは、明子さんのお姉様から届いたお花に
「グロリオサ」が活けられていたこと。




喫茶室に飾られた2枚の白黒写真のうち片方が、
まさに「グロリオサ」を写した作品でした。




川田 淳《グロリオサ》Pigment print



川田淳さんは、初の試みとなったCyanotype(サイアノタイプ/青焼)をメインに、
カラー作品を2点と、白黒を2点、展示してくださり、それぞれのコントラストの違いや
写真で表現することの奥深さを垣間見せてくださいました。

従来から手掛けてきたカラーと白黒写真においては、既に定評のある川田さん。
今しばし Cyanotype を追求するとのことです。

今回の作品で最もご好評いただいたのは、こちら↓ のカラー作品だったのですが、
作家本人は、ここでは味わえないものを、 Cyanotype の制作に感じておられるのかもしれません。

次なる展開を、たのしみに待ちたいと思います。





川田 淳《きづき》Pigment print






明子さんは、二人展に寄せたメッセージに

絵を描くということと写真を撮るということは遠くのようですが近くでもあります

と、したためておられました。


被写体のその向こうを見る、という、おふたりに相通ずるところを思いながら、
明子さんが描く秋の景色、過ぎた夏の景色、、、
岩絵具の煌きと色彩の世界を堪能させていただきました。


再びの素晴らしき展覧会を開催してくださいましたお二人に、改めて感謝御礼申し上げます。
どうもありがとうございました。





森島明子《彼岸花》F20




川田 淳《リコリス》Pigment print




スピンオフ的にもうひとつ。





川田 淳《そこに在ること》2021



カウンター横に展示していた作品は、たびのそら屋所蔵の前回の出展作。
こちらもよくお褒めいただきました。

赤い壁だけでなく、白い壁にも大変素敵な作品です。






10月の展覧会アフター、11月の作品を待つギャラリーに、
返却前の木八個店さんの白と黒の花器とともに幾日か飾っていました。

我が maison は基本的に年代を感じる色彩で、単色でクールなゾーンはありません。
色彩がそぎ落とされたシルエットと陰影だけが見せるうつくしさは、非日常の光景です。

やわらかな画面や、手仕事の曲線のフォルムの対比はほどよくおだやかで、
白黒だけど、ここちよいぬくもりを感じながらしばし見入っていました。








さあ、素晴らしき秋のぬくもりとともに、師走に向かって走ります!

次回展覧会は12/3開幕。
どうぞおたのしみに。





Tabinosoraya Presents

ーこの道の先にはー

猪爪彦一 × 蓑輪朋和


12.3~15 / closed 5,11

open     11:00-17:00
last day 11:00-16:00








2024年11月15日金曜日

森島明子/いとおしき日々

前回、3年前に初開催した二人展は、6月から7月にかけての夏の季節の開催で、
森島明子さんの作品は、大きな向日葵の黄色や、梅雨時を描いた水色などが印象的でした。


再びの今回は秋を選んでの開催で、
銀杏(イチョウ)、薄(ススキ)、秋桜(コスモス)、、、
この季節の景色を中心に、四季の巡りを感じる作品が寄せられています。


以下は作品部分です。
ギャラリーの作品全容は作家メッセージのページをご参照ください⇒





《降る秋音》B2





《薄と月》SM

sold out




《秋桜》SM



彼岸花が様々な表現で、異なるタイトルで描かれているのも印象的で、
日本画と日本語の、味わいの奥行きを感じます。






《彼岸花》F20





銀色は雲母(きら)の煌き





《曼珠沙華》F4








《秋密》F10
あきひそか





明子さんは、生まれ育った京都と、現在暮らす新潟・加茂とで、
「彼岸花」への印象が大きく変化したとのこと。

京都に居た時には「あの世」に近いものとともに在るイメージであったのが、
こちらでは秋になると道端にも庭先にも、至るところで朗らかに咲いていて、
平穏な日常の中にあっていい花なのだ、と思ったのだとか。


「曼殊沙華」と呼ぶときは「祈り」に近いきもちとのことですが、
慎んだ思いを寄せるだけでなく、ただただ花としての不思議な造形やうつくしさを愛でたり、
その季節ならではの心象を重ねたり、、、

それは他の草木花に寄せるまなざしと同様の、いとおしいものになったのでした。






《あの日の空》F0




《朝顔》SM






《まぶしい夏の日》F0

sold out




《夏の終り》F0




今年も残すところ、ひと月あまり。
おふたりの作品とともに、過ぎた季節をまぶしく思い返します。

街路樹の銀杏がにわかに色づき、
裏の桜とハゼノキが、色づいた葉を急速に落としていきます。


間もなく到来する白い季節に、この秋の日のきらめきと
あたたかな談笑の余韻を連れてまいりましょう。





《薄の中の女の子》F50





《雪椿》F0






たくさん飾られたいとおしき小品は
お選びいただけるものが残り少なになりました







画像は色彩を再現できておりません。
会場では間近にご覧いただけるように、
額のガラスを外せたものについては、直にご覧いただけます。

作品は喫茶室にも展示しています。
奥のガラス棚まで、どうぞゆっくりとおたのしみください。

最終日11/17(日)は、作家在廊で16時にて閉幕です。







《ふたりのそら》  川田淳(写真)× 森島明子(日本画)

2024.11.6(水)~17(日)
OPEN 11:00~17:00  ※最終日は16時まで
休廊日 11/8(金)、13(水)





2024年11月14日木曜日

川田淳/サイアノタイプ

このたび初お披露目となった川田淳さんの Cyanotype print の作品。

「サイアノタイプ/青焼」は、印刷業や設計関係でお仕事をしておられた方には懐かしいもののようですが、私含め、初めて出会うお客様も多いようです。



《けふはけふ》(今日は今日)シリーズ





川田さんの作品は、通常の「青焼」に媒染の工程を加え、黒に近い、深い色の仕上がりになっています。

青焼用のネガフィルムを作ることが最も苦心するところで、幾度もやり直しをしながら程よい濃淡の階調を模索してきたとのこと。

用紙への焼き付け工程もまた、水彩紙に感光液を塗ることに始まり、露光のタイミングを見計らうなど、技法としては世に確立されたものであるものの、作家独自の感覚による追求が尽きないものであることは、他の美術表現と同じであるように思われます。

「青焼」について調べてみると、本来的な意味から、アート作品としての写真にまつわることまで、初めて知ることがたくさんありました。気になった方はぜひ検索してみてください。





「青焼」の工程の中で生まれた作品がこちら↓




《between negative and positive》 シリーズ






「写真と日本画の展示」と思っていらしたお客様は、
版画のようにも、絵のようにも見えるこの3枚に、まず考えさせられます。

黄緑色が印象的な淡いフォルムの画面は、
ネガフィルムが焼き付けられる途中をデジカメで写して、拡大して、プリントしたもの。




《between negative and positive #01》


↑ になる途中の瞬間が ↓






《between negative and positive #02》


↑ になる途中の瞬間が ↓






《between negative and positive #03》


↑ になる途中の瞬間が ↓




印象的な黄緑色は、用紙に手塗りされた感光液の色。

一見、版画のようにも見えるこの1枚は、
画面が刻々と感光して変化していく途中の光景をそのままに捉えた、
写真ならではの瞬間の記録なのでした。



 


《蒼生》シリーズより(作品部分)



紙の質感やインクの粒子、感光液の痕跡、、、

様々な物質感を感じる今回の作品は、川田さんいわく


「デジタルとアナログの融合」
「デジタルのアナログ的表現」


モノクロで、階調の幅にも制約があるという「 Cyanotype print / 青焼 」を通して、
何を、どう撮り、どう見せるかだけでなく、「写真」という表現の根源的なところにも、
新たに出会わせていただいたように思います。
 


会期末の土日は、作家在廊です。
ぜひ、実作品とともに、作家との語らいをおたのしみください。





《蒼生》シリーズより(作品部分)



《ふたりのそら》  川田淳(写真)× 森島明子(日本画)

2024.11.6(水)~17(日)
OPEN 11:00~17:00  ※最終日は16時まで
休廊日 11/8(金)、13(水)

作家在廊  11/9(土)、10(日)、16(土)、17(日)