2023年5月19日金曜日

BLUE of BLUE/猪爪彦一

4月の《BLUE》展は「青色」の作品だけを集めた展覧会ではなく、
心模様を表す《ブルー》にも寄り添いたいと思ってつけたタイトルでした。

今回の猪爪先生は、穏やかで明るい印象の作品を選んでくださった印象ですが、
作家メッセージに綴られていたのは、少し沈んだ、
不穏を含んでいるように感じられるものでした。




《 空 》F4


【再掲】

争いのニュースが絶えない今、
何をよりどころとして表現すればいいのかわからなくなってきている。

世情は、
いやおうなく私の制作にも影をおとしている。





《 くもり空 》F3

曇っています






《 舞台 》F4

黒の作品は1枚だけですが

月より闇、優勢か





それでも、月下に意志をあらわしたる ひとのあり





肩に 何か青き… 鳥? 

あるいは青き魂の揺れたるあり





月夜の確信






《 たまごのある風景 》F0


はじまりを内包するたまご






《 塔 》SM



多出展で多作の猪爪先生の手元には、常に描きかけの作品があり、
「たまたまそのタイミングで仕上がったもの」を出展しているとおっしゃるので、
私たちは ”自由に“ 味わえばよいのですが、


(メッセージにはあのように書かれていましたが)明るい色彩が多いでしょうか?とお尋ねすると、

「(気持ちは)そうでもないのですけれどね… 」とおっしゃいました。






《静寂》F10



BLUE。。。

私は、その言葉に猪爪先生の「BLUE」を見た思いです。







何を描いたか、どうしてこの色になったか、あまり解説されず、
お客様が尋ねても「このようになりました」とおっしゃいます。


月の裏側を想像するように、
猪爪先生が描く塔の後ろ側にも、しばしば思いを巡らせます。

円筒や、キューブや、角柱がよく登場しますが、
作品《静寂》の塔は、これまでにないフォルム。


私は密かに、ハリボテ的な、薄い形状なのでないかと思っています。
堅牢に見えて、実は脆いのではないか、、、


、、、と想像する自由を、猪爪先生は、いつも与えてくださいます。






《 遠くの虹 》15×10㎝



卯年生まれということで、描かれているのはうさぎですか?とお尋ねしたら、
「のようなものです」とのこと。


うさぎではない、かもしれない様子。


特定のなにか、ではないものを描かれます。


小さき者たち、
何かを、訴えているでしょうか。


謎は謎のままに

どの作品についても多くは語られませんが、そんな中で、
今の心はこうですと、メッセージに寄せてくださった言葉を受け止めます。








名残り惜しき会期末です。

第8回 Pegasusの会展

2023.5.9(火)~21(日)
OPEN 11:00~17:00 

◆猪爪彦一/油彩
◆金内沙樹/透明水彩・アクリル
◆近藤充/アクリル・テンペラ・岩絵具

※最終日は昼頃より作家3名在廊で、16時にて閉幕です。