10/8~19に開催いたしました《 野坂衣織×川村翠 2人展「Cantabile」》は
最終日もにぎわいながら、無事に閉幕いたしました。
在廊のために遠路、幾日も通ってくださった作家のおふたり。
野坂衣織さんは長野県信濃町から電車で川村翠さんが住む上越市の最寄り駅まで行き、
翠さんが運転する車で一緒に長岡のたびのそら屋まで。
毎回ちょっとした旅レベルの移動だったと思うのですが、
それはひとえに、お客様との語らいを、手掛けた作品を、それらが形作る空間を、、
大切に、いとおしんでおられることのあらわれであったと思います。
ギャラリー窓辺に二つのスツールが並ぶ様子は
搬入日の作業が終わったあとのお二人に重なる風景でしたが、
最終日、お客様との語らいが区切れた僅かなひとときにも、
名残惜しむかのように並んで座っておられた瞬間があり、、
往復する道中でもたくさん語らっていらっしゃるでしょうに、話は尽きないのか、、
展示空間で共に過ごすというのは、また格別なことなのかもしれないと思う光景でした。
作家の皆様には、この会場でやりたいことをやり尽くしてほしい、といつも願っています。
当初、ご友人によるハンドパン(金属製の体鳴楽器)の演奏と舞踏のコラボ企画も
希望されたことのひとつだったのですが、
その時点の展示構成ではスペースを確保することが難しいと判断し、
制作と展示に専念、イベントの開催は見送られました。
その一部がサプライズ的に実現したのが、上の画像の秋晴れの善き日 。
ハンドパン奏者の「ゆずりは」さんが奏でるやさしき音色に、
居合わせた皆さまと、こころを浸した、忘れがたいひととき。
ゆっくりと過ごしてくださるお客様の多かった展覧会。
昼に、夕に、たくさんの印象的な語らいがありました。
衣織さんのみ在廊だった日の夕暮れ
川村翠さんは、上越はもとより三条でも個展を開催しておられ、
独自の「青」に彩られた空間と、既に出会っている方もいらっしゃると思いますが、
長野県在住の野坂衣織さんは、長岡にも巡回する「多摩美展」などのグループ展で
数点を断片的に拝見する機会はあるものの、
これだけのボリュームをもって展示されたことは、作品世界への印象をも変える、
大変貴重なことであったと感じます。
衣織さんの作品は色彩豊かで、画面から訴えかけてくるものも力強く、
ご本人の、初対面のお客様へのアプローチも極めて積極的なのですが、、、
語らいを通して感じられたのは、むしろそこに在るのは「受容」と「寛容」※
ではないか、ということでした。
日を重ねるごとに、作品が発するもののこと、
この二人展の成り立ち、「2人展」をこのように開催できることの根幹と、
ありそうで、そうそうあるものでは無いことに、思いを巡らせました。
※それは折しも会期中の10/10の夜に開催された富川岳さんのトークイベント⇒★
を通した語らいの中でも感じたキーワード。また改めて綴りたいと思います。
会期末に、翠さんがInstagramに綴ってくださったメッセージも、
ことのほかうれしかったこと。
作業などはとってもスマートで速いけれど、話すのは考えながらゆっくり、
おっとりとした印象の翠さん。
話す以上に見つめる、そのまっすぐで、やさしくも冷静な眼差しを通して、
センセイを、、、 たびのそら屋での2人展を、、
こんなふうに、 ”3人展” のようなキモチで、思っていてくださったなんて、、、
オトナ二人(衣織さん&そら屋)胸いっぱい、感涙。
インスタアカウントが無いと読めないので、こちらに転載させていただきます。
◇
素敵なたびのそら屋に伺ったのは2年前。
高校美術、美術部顧問だった恩師の野坂衣織先生(@iorinosaka )が「たびのそら屋さんで展示を一緒にしよう」と私に相談してくれた。
先生はいつも突拍子がなく(先生の中では考えていたのかもしれない)そしてその願いを叶えられる。
先生とたびのそら屋の久保田さ和さんのところに突然伺った時も今より絵描きとして経験の浅い私は当日とてもドキドキしていた。
先生はいつも全力疾走、猪突猛進、とにかく全力。いつも本当に変わらない。
そして変わらないといえば私の先生に対する遠慮の無さも変わらない思う…(笑)
思い返せば高校生の頃からズケズケと部活や学校で俯瞰的に見えることを伝えていたと思う。先生はそれを「大人ぶって」なんて言わず、真っ直ぐに受け止めてくれた。
私たちは15年で学校や勤め先、住む場所や生活環境が変わっても変わらない関係でずっと縁が切れないでいる。
2人展のテーマはいつもどんな雰囲気にしたいか考えてから、先生に相談する。
たびのそら屋での展示をどんなのにしたいか。今まで「深海」「海潮音」と展示を重ねて、どうしたいか考えた。
私のたびのそら屋の印象は、白を基調とした無機質な外観から、室内に入ると赤を基調とした華やかな喫茶室、それからホワイトキューブな展示室にある陽の光を取り込める大きな窓。そしてそこから見える木々がとても素敵だも思っていた。喫茶室はいつ伺っても賑わっていている。
どんな先生の展示を見たいか。先生の作品は、毎年ポートフォリオを作成しているので大体分かる。今回は「クレマチス」を筆頭にそれに関連した作品が見たいと思った。クレマチスは「翠さんが抽象画を描いているから描きたくなった」と言っていただいた作品。それから展示の構成は、なるべくシンプルにしたかった。
テーマは、漢字の角角とした印象よりは、もっと華やかな静かな秋の訪れや調和を意識した言葉にしたいなと思った。
そこから思いついたのは「Cantabile」だった。歌うような、流れるような、そんな展示にしたいと思った。
2人展とうたっているものの、私的には野坂衣織・川村翠feat.たびのそら屋である。とっても僭越ながら、3人展のような、今回展示前さ和さんに相談させてもらいながら、そして喫茶室で談笑しながらそう感じた。
たびのそら屋だから見たい作品を先生にお願いしたし、私もそう思って描いた新作が10点。ありがたいことに行き先が決まり、ここでしか見れない作品たちもある。
この2週間素敵な出会いもたくさんあった。
何度も足を運んでいただいている方もいらっしゃって本当に嬉しい。
◇
旧知のファンの皆様も、初めての皆様も、
遠方からもたくさんのご来訪を、どうもありがとうございました。
SNSでの発信やDM設置にご協力くださいました皆様にも、
こころより感謝御礼申し上げます。
作家ふたりの勢いは、ますますにとどまらない様子です。
個々の活動と併せて、来年も県内外での2人展を予定しておられるとのこと。
それぞれの年代ならではの変化が、これからもあると思うのですが(もちろん私も)
全てを受け入れながら、なるように、 精一杯。
これからの展開と、再会の日を楽しみに思いながら、
有り余る余韻を、見事なダリアと分かち合う展覧会アフター、、
次回展覧会は11/11(火)より
▶山田貴広 個展
《 焼き絵と木版画で観る-我が島の世界展- 》
▶喫茶室特別展示
藪沙織アクリル画と、藪×山田 コラボ版画作品
色調ががらりと変わった会場になることまでは想像できますが、
細部は届いてからのおたのしみ。いつも想像を超えていくのです✨
詳細は後日アップいたします。
イベント目白押しの秋。急激に肌寒くなりましたが、
皆様ご自愛のほど、よき日々でありますように🍁✨