天候に恵まれて開幕した晩秋の展覧会「猪爪彦一展/異郷Ⅱ」
「頭の中の世界のどこか」を描いているという猪爪彦一さん。
時空を超えたその ”異郷” に、季節というものがあるのかどうかわかりませんが、
秋めいた色彩の作品が多いように感じる今回、
印象的なのは黄金色の大作です。
(画像は実作品を再現できていません。)
開幕当日の朝まで描き続けられた作品の画面から発せられるものを、
ぜひ会場で、直接浴びていただけたらと願います。
このうつくしい黄金色は「イエローオーカー」という絵具が用いられていて、
そのまま使うと、いわゆるくすんだ「黄土色」なのだとか。
それをこのような煌めきある黄色に現す猪爪先生マジック。
言い表すのにふさわしい言葉を探しあぐねるに、
「boar yellow」(猪爪先生の黄色)と呼ばせていただきたい気持ちです。
今まさに進行中の紅葉を思います。
散り際の枯れ色の樹々の葉が、陽光があたると途端に輝きを取り戻すような、
ずっととどめておきたい瞬間の煌めき。
少し前に通り過ぎた秋の日が、戻って来てくれたようにも感じられ、
この季節の淋しさがやわらぐような、こころほぐれる作品です。
と同時に、そこに厳然と在るものとして、”不穏” も描かれているのが、
猪爪彦一さんの世界。
陰と陽、昼と夜、終わりは始まり、、、
相対するもの、両極にあるもの、表と裏、生と死、
それはいつも一体のものであると、静かに受け止めます。
《 夜 》F20
喫茶室には銅版画も2点、展示しています。
喫茶室奥の棚まで、ゆっくりとご覧ください。
2022/11/18(金)~27(日)
《 猪爪彦一展 異郷Ⅱ 》
open 11:00~17:00 ※最終日は16:00まで
closed 11/24(木)
◆作家在廊予定 11/18・20・23・27
◆11/23(水祝)は16:30より演奏会開催につき、
ご観覧は16時までとさせていただきます。ご容赦ください。