2020年9月21日月曜日

クラシニトモル/紡ぎと織り

気持ちよく巻いて、試して、楽しんでいただけるよう、

一日も早く厳しい残暑が去ってくれることを切望しながらの展覧会

ようやく秋色がうれしい季節が到来しました




齋藤伸絵さんの紡ぎと織りのマフラーやストールは、

季節のはざまの会期とあって、サラリとしたコットンやリネンの洗いやすいものから、

シルク、ウール、カシミアまで、幅広い素材の作品をご用意くださいました




草木染めしたシルクの手紡ぎ糸とラミー麻の
レース織りのマフラー




個性的でとても人気だったのは
ナイロンとシルクの手紡ぎマフラー


ナイロンを用いるからこそ、このうねった生地にすることができるのだとか
シルクの光沢もあり、巻いた時の華やかさはとても素敵です

天然繊維のみにこだわることなく、さまざまな素材の個性を生かす伸絵さん

それぞれの素材や、織り方による手触りや表情の違いを、
実際に巻いて感じていたきたいと願っています




麻とシルクのマフラーは、矢車で染めたごげ茶トーンのお品のみになりましたが
その落ち着いた色味は、巻いてみると印象が全く変わります

シルクの光沢からか、織りを変えてある部分はゴールドがかって見え
サラリとした麻も心地よく、ボリューム感と相まってもとても華やかです

「巻いてみないとわからない」とというのこういうこと、
と実感していただけると思います




あたたかみのある色合いの、カシミアと手紡ぎコットンのストールも
うっとりする手触りだけでなく、まとった時の包まれる感じも
お試しいただきたい1枚です




マフラーやストール以外のお品も、特筆したいものばかり




虫食い穴の手提げ(右)と焦げ穴の手提げ(中)


ナイロンとウールを手紡ぎした糸で織った布に、更にひと手間かけて仕上げてあります

布に刺繍やパッチワークなどを「足す」のでなく、
紡いで織った布からウールを「引いて」ナイロン繊維のみにした部分が
虫食いみたいな、焼け焦げみたいな模様になっている手提げです


異なる性質の繊維を紡いで用いるからこそのワザ


素材のはじまりから、仕上がりまでの伸絵さんの道は、
私には果てしなく思えます





「県産の羊毛」を使ったポットマットは
黒い羊の毛と白い羊の毛の配合を変えることで、色の濃淡を出せるとのこと

新潟県内でも羊毛の生産がされていることを初めて知りました




秋風の襟元に、お茶のひとときに、目に触れるときに
伸絵さんの笑顔みたいなあたたかさが
灯ります


◆齋藤伸絵さんは22日13時から在廊予定です