2020年4月10日金曜日

岩田圭音さん/凹版画と装身具

埼玉からご出展くださった岩田圭音さんの、作品の技巧と併せて、
版画はオリジナルプリントのみの「1点もの」としたこと、
版画の原版は加工してお客様に託してしまうこと、
その潔さに、ご来訪の作家陣や版画を知るお客様方が唸ってくださっています




こちら↑を凹版画の原版として刷ったのがこちら↓




「monsieur et madame」

↑こちらはペア(ブローチ2点と版画のセット)

他は各1点ずつ(ブローチ1点と版画のセット)↓です




金の猫侯爵夫人・金の猫侯爵



素材は、金色のものが真鍮
銀色のものは洋白(銅と亜鉛とニッケルの合金)

切り取った金属に、銅版画の技法を用いて極細のニードルで描いたのち
まずは凹版画として刷ります

凹版画は描く(彫る)だけでなく薬品で腐食させる工程を要するため時間がかかります
やり直しのきかない工程のため、多数を同時進行することはできないとのこと

版画を作成したのち、その原版を装身具とするために加工します
そののちはもう、版画を刷ることはできません

白はカシュー、黒は漆を施して、模様が浮き立つように磨きあげます




この花園シリーズの素敵な草むら部分が
実は大変な くらくらポイント とのこと

咲き乱れる花々から、茎の一本、葉脈のひとすじまで・・・
ぺとり と塗った漆やカシューから、丁寧に磨き出して仕上げるという・・・

聞くだけでも くらくら するような
お手間と時間が注がれた作品たち




「マドモアゼル」


こちらは昨秋の「工房からの風」にお邪魔した折に出逢った作品です
ブローチとしても素敵ですが、版画がまた実に素敵なのです

各作品には額装のための「マット」がセットされているので
ハガキサイズの額を選べばすぐ飾ることができます

(作品によってマットの色は異なります)




こげ茶のマットだったのでアイボリーの額をセレクト
白の壁にも、赤の壁にも、映える素敵な仕上がりになりました




「薔薇の髪飾り」
(洋白・漆)


こちら「3姉妹」シリーズは額装済み(額付き)です

ひとつひとつ 「描く」 ことを大切にしているとおっしゃる岩田圭音さんの
真骨頂は中世ヨーロッパ調の人物モチーフ

ルーペを添えてあります
きっと肉眼では見えなかった世界が広がっています




追加で新作も届きました




ながくねる


在廊時、圭音さんがブラウスの襟元につけておられたのがキラリと素敵で
よく見たら猫!寝てました

よく見たら感、がこころにくいデザイン
青いインクで刷られた版画が空間に明るさをもたらしてくれます




まるくねる




ぐるりとお花をまとって
どんな夢をみているのでしょう



どうか全てがまぁるくおさまりにゃん