猪爪彦一展 -忘れられた物語 Ⅱ-
雨天となった展覧会4日目
晴れた日もいいけれど、こんな日はまた一段とよい、
と思いながら過ごしていました
「夜の散歩」
蔵書票を中心とした銅版画(シート)26点、ボックスアート5点・・・
多才な猪爪先生のアトリエを垣間見せていただくような展示となった今回、
なんといっても見入ってしまうのは「NOTEBOOK」です
それは頭の中に浮かんだものをとにかく描き記していくための
お手製のノート
真新しい紙でなく、むしろ皺が入ったりガムテープ痕や色褪せのある紙を
愛おしんで用いていると思われる、糸綴じの「NOTEBOOK」
(紙好きさんにも必見です)
今年の春、柏崎市にある「グルグルハウス高柳」で開催された
「猪爪彦一 NOTEBOOK展 -プレリュードの響き- 」で披露された、
約20年間分・約200冊もの「NOTEBOOK」は圧巻でした
全ては見きれませんでしたが、限られた時間で可能な限り、
集中してページをめくり、綴られた言葉や筆致、色彩、手触り等々に
たっぷりと浸らせていただきました
その感動は言葉に表しがたい、強烈な余韻を残すもので、
今展覧会でもぜひその一端を展示してくださるようお願いし、
最新2019年の「NOTEBOOK」を厳選10冊、お持ちいただきました
「続き」を拝見できることとなった先生の「NOTEBOOK」
10冊でもかなりのボリュームです
破れのある紙を用いたページもございます
どうぞ、そっと めくって、ゆっくりとご覧ください
周囲にあるのは「NOTEBOOK」を開いてピン止めして
額装状態にしたもの
(販売・応相談)
雨音の響く展示室の
しずかなものたちの傍らで
カサリ、 カサリ と、乾いた音をたてる指先が
触れた境目を失くしていきます
いつしか雨音の聞こえなくなるところまで
遠く
深く