2025年5月23日金曜日

作品紹介/猪爪彦一

 《 第10回 Pegasusの会展 》

5/13(火)~25(日)
OPEN 11:00~17:00   ※最終日は16時まで
休廊日   5/16(金)、21(水)

▶猪爪彦一(油彩) 在廊  5/13(終日)、18(午後)、19(午後)
▶金内沙樹(油彩) 在廊  5/17、18、24、25(各日とも終日)
▶近藤 充(岩絵具・アクリル・テンペラ混合技法) 在廊5/18、24、25(各日午後)













全体としてはすっかり馴染みのある猪爪彦一さんの作品ですが、
そこには常に、新たな展開と挑戦が含まれています。

なぜならそれは作家の世界であり、作家が常に現実世界の中で挑戦と模索をしているから、
と改めて感じた今回の出展作品。


長年ご覧になっているファンの皆様も、
あれこれ、新鮮に思われたことがあるのではないかと思います。







《象のいる丘》F6




まずは「象」のモチーフ。
珍しいと思ったら、作品として描いたのは初めてのこと。


頭の中の世界の何処かを描いているという猪爪彦一さん。
その世界に、象も居たのですね。


~夜の丘を道に迷った小象がそれでも休まず歩き続けている場面です。

この先に何が待っているのか、わからないまま進むしかない今の状況です~


そのようにしたためられた展覧会メッセージを読むにつけ、
この象は作家自身なのかもしれない、と思いを巡らせます。










わからないけれど、
わからないままに進む、

そうできることの、強さと覚悟。







《風景》 SM






《風景》 F6







《飛行船》 F6








《二つの塔》 SM





大作《夜》を挟んで展示されたこれらの4枚は、
実作品より赤みときらびやかさが強く写ってしまっており、
実際は、(特に遠目には)少し暗い色調です。


作家曰く、近頃は無意識のうちに暗い色になりがち、とのこと。

テレビなどのニュースに気が滅入ることが多くて、と。



そういえば、いつもなら幾人か描かれる人物が見当たりません。

皆、いずこ、、、



猪爪彦一さんには開廊以来、
Pegasusの会展以外にも個展や二人展などにご出展いただきてきました。


特定の時代や場所ではなく、自身の「頭の中の世界」でありながら、
必ずしもファンタジーを描いているのではないことを
感じさせていただくことがこれまでもありました。



こんなふうに、作家が感じた世相が、図らずも作品に映し出されてしまうようなことが、
私は好きです。











バランスを取るかのように、明るい色彩の作品も。








《 白昼夢 》  SM




いつかこの景色を観たような、、、
と、まさに白昼夢のような思いになったところ、猪爪さんは覚えておられました。


開廊初年度の2018年に、最初の個展を開催していただいた折の、
DM掲載作品が、タイトルも同じく《白昼夢》でした 。






2018年6月のDM

当時の出展作はF10号で、モチーフの配置や細部は異なります





愛好家が多い図柄で、制作のリクエストをいただくこともある作品とのことですが、
このようなシンプルな白い額を用いるのは珍しいこと。


白い壁にフレームが融け合い、ただただ、どこまでも碧空。

その向こうへと吸い寄せられます。

















《春へ》10×13㎝




喫茶室に展示されたこちらは、いわゆる空色ですが、
このような色の空を描くのは初めてとのこと。


明るい兆しやひかりを求める想いの反映でしょうか。。



何を秘めたるや、春のたまご。









《異族》 

F0/油彩・パネル




そしてなんといっても特筆すべきは、《異族》シリーズが油彩に展開したこと。


これまで銅版画で描かれてきた、《異族》のシリーズは、
日々のドローイングの中からそのフォルムが抜き出され、息吹を与えられます。


ついに色彩を得た《異族》 。



キャンバスを貼らずパネルのまま描き、額装せぬ状態で展示するのも珍しく、
新たな印象を与えます。


来年開催予定のたびのそら屋での個展で、続々と登場していただけるのではないかと、、
今からたのしみにしています。








《 夜 》 P50



なんと輝ける


はじまり  みたいな夜