2021年9月30日木曜日

文化拠点の場としてのこのすく/小松佳代子さん

今回、書籍を多数展示しているコーナーがあります。
工房このすくは制作の場であるだけでなく、美術を軸にした文化的活動の場でもあり、その活動を主に繰り広げておられるのが小松佳代子さんです。書籍は従来からの研究に関するもので、リーフレットはこのすくでの活動報告です。

メンバーでは唯一、「作家」ではなく「(作家に伴走する)研究者」というスタンスにある方。
そういった顔ぶれの多様さが、この工房の魅力的なところだと思います。



【 小松佳代子 / KOMATSU Kayoko 】(このすくメンバー)

東京大学、流通経済大学、東京藝術大学を経て、2018年に長岡造形大学に着任。

現在造形研究科教授、博士(教育学)

専門は教育学、美術教育 

Arts-Based Research(芸術に基づく研究)の観点から理論研究と制作者との共同研究を行っている。


◆主な著書:小松佳代子編著『周辺教科の逆襲』(叢文社2012)小松佳代子編著『美術教育の可能性―作品制作と芸術的省察』(勁草書房2018)小松佳代子編『判断力養成としての美術教育の歴史的・哲学的・実践的研究』(科研費研究成果報告書2021


◆主な展示:

ABR on ABR
展(長岡造形大学2019ART=Research:探究はどこにあるのか(小山市車屋美術館2020

Mapping A/r/tography: Exhibition Catalogue
InSEA 2019 World Congress,University of British Columbia, 2019

このあたりのこのすく展(工房このすく2020

 

今回は、工房このすく文化事業と、私自身の研究成果、関連書籍を出展します。工房このすくは、美術制作者と理論研究者とが協同してつくることで、ものつくりの場であるだけでなく、つくりながら考え、議論する場としても開いていきたいと考えています。



美術教育の研究者である長岡造形大学教授の小松先生。
一部著書は喫茶室で販売しています。試読はギャラリーに展示してあるものをどうぞ。





「文化拠点の場」と聞いてもイメージがつきにくい方もおられるかもしれません。

小松先生の研究、「ABR」(芸術に基づく研究)がどのように進められて、どのような形になるのか、「工房このすく」とどうリンクするのか、ということについて、このたび作成されたこちらのリーフレットをぜひお読みいただけたらと思います。




小松先生が工房でやりたかったこと、この1年、おこなってきたこと、地域に構えた場に期待することなど、展示書籍との関係も含め、大変わかりやすい言葉で書かれています。




手前に並んだリーフレットは、これまでに開催された読書会の報告です。
こちらもどうぞお持ちください。


コロナ禍では人が集まることをしにくいため、読書会も講演会も、ZOOM機能を活用してオンラインをベースに開催されています。現地に行かなくても参加できるということは、遠方の方も同じ距離感で参加できる良さもあります。
でも、このすくがあるので、いつでも会うことも、集まることもできます。

文化的活動の開催は不定期のため、関心のある方は次回のご案内が届くよう、このすくにアクセスしてみてください。




展示書籍の中で異色で気になるのは小松先生の知人である詩人・まき こうじさんの詩集。

『遅蒔きながら』(あいり出版/2021) 


暮らしや、社会の中で、見過ごしてしまいそうな、
あるいは見過ごそうとしてしまいそうなことの一端を綴ることばは

じんわりとこころの琴線に触れるような
あるいはぐぐっと、立ち止まることをせまられるような

思い描いた景色の残像は、
器に溶け残った砂糖のように、ざらりとした余韻を残します。


どういうお方?と調べてみたら、詩集の帯を書かれた浜田真理子さん(ミュージシャン)の紹介文がありました。⇒

表紙の篠原猛史さんの作品も気になります。⇒ 美術手帖オンラインマガジンの記事 


詩集には小松先生が東京から長岡に転居する際に、まきこうじさんが書いてくださったという詩も収められていて、その詩は先の小松先生のリーフレット最終頁にも掲載されています。

※詩集は喫茶室で販売しています。試読はギャリーの展示品をご覧ください。





どの書籍もですが、こちらも見逃していただきたくない1冊。
先日完成したばかりという
『美術・工芸の制作-教育-実践研究』長岡造形大学 美術・工芸学科編

長岡造形大学の先生方の作品や制作考察、大学院生の論文などが掲載されています。

長岡造形大学でこういった冊子が作られるのは初めてとのこと。

販売はされておらず、のちにオンラインで読めるようになるかもしれないけれど未定とのこと。
いずれの書籍も、手に取って拝読する貴重な機会をいただいています。







工房では小松先生の研究の一環で、読書会や文化講演会がいくつか開催されてきました。
私には難し過ぎると思われるテーマが多く、参加したのはわずか数回ですが、工房ができたことで「言葉」による表現との接点をいただいていることが、とてもうれしいです。


読書会や文化講演会は、メンバーと面識のある方からじんわりと参加の輪が広がって行っているところかと思います。閉ざされた場ではありませんので、関心が芽生えた時にはそこに在ると、知っていていただけたらと思います。


9/30(木)・10/1 午前 は小松佳代子さん在廊です。

1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/


**********

作家紹介はラスト、もうお一方!

小松先生の研究の一環であるアーティストインレジデンスで滞在制作をしてくださった仲森仁さんに続きます。


作家紹介⑦ワタナベメイさん


【 ワタナベメイ / WATANABE Mei 】(美術作家)

個展2014年「ワタナベメイ展」(羊画廊・新潟)[’15, ’16, ’17, ’18,’19,’20]

グループ展2018年「VOCA新しい平面の作家たち」(上野の森美術館・東京)

アートフェア2014年「Korea International Art Fair」(COEX・ソウル・韓国)[’16, ’17,’18,’19]など。

Web   https://maymaybe.jimdofree.com

Instagram @tanabei  (https://www.instagram.com/tanabei/


塩ビ版ドライポイントで制作した作品を展示しています。






「いびつなひふ」 「かたいひふ」


美術作家として国内外で活躍しておられるワタナベメイさん。
工房このすくをきっかけに、初めて「塩ビ版」のドライポイントを手がけられました。

先にご紹介した「Kanicco Ceramics」さんや、しんぞうさんもですが、工房このすくは、版画以外の制作をしてきた作家が、初めて本格的な版画を体験し、新たな制作の手法を見出す場にもなっています。


メイさんの作品や活動の詳細は公式HPをご覧いただきたいのですが、日頃制作しておられる絵画は、どうやって描かれているのかと見入ってしまうような独特な質感をしています。


ドライポイントの制作は、掘るように、掻き削るようにして描画するところがご自身の絵画制作と似通っていて、違和感なく馴染めるものであったとのこと。




「川原」


「ドライポイント」は、版をニードルで直接刻んだ描画のみで表現される版画の技法です。刻まれた線のめくれたところにもインクが含まれるため、刷った線は滲んだ感じになるのが特徴とのことですが、初めての制作にしてこんなにきれいな塩ビ版ドライポイントは見たことがないと、工房メンバーであり銅版画を専門とする岡谷敦魚さんはしきりに褒めておられました。


絶妙な滲みと繊細さの相まったモノトーンの版画作品は、目が離せない憂い度、増し増し。

立体、絵画、最近では3Dアートまで、表現手法の探求がとどまらないメイさんですが、
”版画”もまた彼女の世界を進化(深化)させる一役を担っていくのでしょうか。


もっとメイさんの作品を観たい!と思ってくださった皆様、 私もなのです。

「このすく展」の後、10/11より、ワタナベメイさんの個展を開催します。

引き続き、どうぞお楽しみに。






2021/10/11~24 

ワタナベメイ展

「Object」

OPEN 11~17
10/14・20休廊日



1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/



2021年9月29日水曜日

作家紹介⑥しんぞう さん

 このすく展/作家紹介⑥しんぞう さん


【 しんぞう / SINZOW 】

1974年 横浜市生まれ。新潟市在住。 武蔵野美術大学油絵科卒。

アクリル絵の具、墨を使用した絵画制作を軸に、版画や陶芸など活動の幅を広げている。

「第29回損保ジャパン美術財団・選抜奨励展」
「第44回神奈川美術展」入選
「芸術道場
GPGEISAI)」銀賞

新潟、関西、韓国を中心に毎年個展を開催している。

 

 



日常生活からモチーフを探り、制作をしています。

塩ビ版を使用した版画は、即興性を表現するのに適した素材で、普段の作品スタイルに近いと感じています。

今回、インクの濃淡の調子で一枚一枚違う風合いを出すモノタイプという手法に挑戦しました。

紙は新潟の小国和紙を使用していますが、粗い和紙の風合いが作品に新たな表情を生み出して、その偶然性にも面白みを感じています。





「Warming」



たびのそら屋では今春の展覧会「hope」展で、しんぞうさんのアクリル画と版画をご覧いただきました。

その時のご紹介はこちら⇒ 








その土地ならではのものに興味があるという しんぞう さんは、新潟県内各地の産物に広く関心をもっておられて、版画には小国和紙を選ばれました。


原板が塩ビ版ゆえに滲む線と粗めの和紙の質感が相まって、ほわほわと立ち上る熱気やかげろうが見えるようにも感じられます。


でも、なかなかに厳粛な面持ちのふたり。

中央の存在は焚火のようなものなのか、それともその存在に熱を与えんと、手を差し伸べているのか、、、


いつも様々な見方を問いかけてくるしんぞうさんの作品です。






「ほこら」





「ミューズ」




喫茶室には版画1枚と、工房このすくでシルクスクリーン印刷をしたTシャツと布バッグも販売しています。

(ヨガモチーフのアイテム。在庫は画像の展示品のみで、TシャツはメンズMのみとなりました。)




来年は、 しんぞう さんの個展を予定しています。
長岡では初開催となります。たっぷりの作品を、どうぞおたのしみに。


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【お知らせ】⇒ アップしたのちに訂正し、その後の数行を削除しました。


「このすく展」は9/29(水)の休廊日を挟んで会期終盤に向かいます。
連日、メンバーの誰かが作品解説や工房案内のために在廊してくださっていましたが、
10/1(金)は、都合により11~12時半のみのオープンアトリエとなります。

⇒1
0/1もメンバーが在廊できるよう調整ができたとのこと。
会期中はフルに工房もご覧いただける予定です。



1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/



2021年9月28日火曜日

作家紹介⑤Kanicco Ceramics

 このすく展/作家紹介⑤Kanicco Ceramics

【 Kanicco Ceramics / カニッコセラミクス 】

Kanicco Ceramics2017年にできた、陶などで制作を楽しむスタジオです。
カニッコセラミクスと読みます。
Kaniはフィンランド語でうさぎという意味だそうです。
愛するうさぎから名付けました。



これまでの活動   

2019 三条クラフトフェア(新潟)

2019 兎角!この世はうさぎ展/antique studio MINORU(東京)

20192020 Kanicco Ceramics/gallery827・楓画廊(新潟)  など

 

さまざまなことを試しているところです。シルクスクリーンは苦手なのですが、このすくでサポートしていただいたのでなんとか刷ることができました。

◆ Instagram @kaniccoceramics https://www.instagram.com/kaniccoceramics/



今展の窓辺に飾られているものはなんだろう?、とお思いの方も多いことと思います。
外の光を通してうつくしい空色は、シルクスクリーンの原板です。


26(日)に工房で開催されたワークショップでは、このような版の文字をTシャツや布バッグにプリントするシルクスクリーン体験が行われました。

Kanicco Ceramicsさんは、この技法を作陶に用いることを模索しておられます。

展示されているのは、シルクスクリーンを用いて作成した陶器用の転写シール(黄色いもの)と、その際に用いる陶芸用のインクや溶剤(調合して作ります)、シールを用いてプリントした陶のオブジェ(左)、シルクスクリーンを直接刷った陶板(下↓)。



陶器にこういった技法を用いることはあまり聞いたことがないそうで、
その工程はいろんな点で慎重を要することが(非効率で簡単でないことが)実験してみてわかったとのこと。

難しいけれど、簡単には終わりません。
Kanicco Ceramics さん
のトライは続きます。






「陶のスケートボード」



オープン前後、照明をつけない時間帯のギャラリーでも光を放つ、大好きなブルー。


1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/




2021年9月27日月曜日

作家紹介④月曜版画部/長島裕子さん・廣川澄子さん

このすく展/作家紹介④長島裕子さん・廣川澄子さん

【 長島裕子 / NAGASHIMA Yuko 】

2009年から、けしごむはんこの作品でグループ展、作品展に出品

現在は工房このすくの月曜日版画部で銅板画を制作

時間を重ねて消えたり現れたりする難しさや面白さを色々と体感しています。
これからも楽しく学びながら活動したいと思います。

 
Instagram @andama10   (https://www.instagram.com/andama10/)







表立った制作・発表活動はしばらくお休みしておられた長島裕子さん。
久しぶりの作品展示に、旧知の方からは「眠れる獅子、ついに目覚める!」と感嘆されていましたが、私も同感で、裕子さんの作品が再びこの空間に展示される日を待ち望んでいました。





「水中花(321)」

sold out





「朝の声(426)」


どなたの出展作にも様々な伏線があり、パッと見ではわからない謎めいたものを感じるのですが、裕子さんの作品にもいろいろ含まれているようで、間近で見入ります。

タイトルに添えられた数字は版を描き始めた日付で、版画のどこかに数字が読み取れます。
基本的には「月日」の数字。「水中花(321)」だけは令和3年の「3」と2月1日の「21」で「321」。



それとは別に、版画作品によく見かける「 / 」はエディションナンバーと言って、分母は同じ版で何枚刷るか、分子はこの作品が何枚目に刷られたものかを示しています。

「1/1」と書かれていたら、同じ版からは1枚しか刷らない(販売しない)ということ。

版画なのにオンリーワンなのは、展示作と同じように刷れない(色や濃淡の再現等)という事情がある場合もあるようです。版をつくるのも大変なことですが、安定して刷るのも技術を要すること。


他にAP(アーティスト・プルーフ)と表記された、作家が保有している版も存在し、APが販売されることもあります。いずれも作家本人が世に送り出す作品に責任をもって判断して決めています。






「プラスチック(531)」

sold out


裕子さんは、ここが「ギャラリーmu-an」だった頃はオーナーの迪子さんを慕って通い、迪子さんに代わってカウンターの中におられたこともあると聞きます。
”獅子”というなれば、ちっちゃい”小獅子” のような、かわいらしい外見から秘めたるものが溢れ出ている、存在自体がアートのような方。


関わってきた場所や環境、ご自身の日常も変化する中、胸の内や手元では、ずっとクリエイティブなことを続けて来られた印象です。これからまたこの場所で作品を拝見させていただけることを願っています。






「レター(726)」

喫茶室の奥の棚に展示しています



裕子さんのInstagramはいつもとても楽しみです。
今展の作品と併せてどうぞご覧ください。

nstagram @andama10   (https://www.instagram.com/andama10/)



【 廣川澄子 / HIROKAWA Sumiko 】


女子美術大学西洋画科卒業

上越教育大学大学院教科領域コース終了

県内中学校で35年間美術教諭

現在非常勤講師

グループ展や個展で油絵で発表。

 

版画は深みにはまりたかった題材です。
絵画と版画は違いますが、描くように版画しています。

 



中学校の美術教諭を務めてこられた廣川澄子さん。
「ギャラリーmu-an」で、成長した教え子の方々と一緒に絵画展を開かれたことがありました。
なんて素敵な「先生」であり、素晴らしいつながりの展覧会だろうと思いました。


あのときの生徒の皆様、「澄子先生」は今も挑戦し続けておられますよ☆
しかも、元気!パワフル!





「突き出しA・B・C」


エッチング・リフトグランド・アクアチントの技法を用いた、はじめての銅版画の三点盛。
1枚つずつの作品ですが、3枚並べた額装がとても素敵です。






「冥界からの便り」


なんと書かれておりましょうか。。。

人生の年輪も感じる作品です



1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/


 

作家紹介③アヤさんと月曜版画部

 このすく展/作家紹介③

【 コイズミアヤ / KOIZUMI Aya 】

1971年東京生まれ

1994年武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒

2009年から新潟県長岡市在住

主に「箱」をモチーフとして、空間や世界のなりたちについての立体作品を制作発表。

20012002BOX ART展出品巡回:新潟市美術館 / 高知県立美術館 ほか

2003年体感する美術2003:佐倉市立美術館(千葉県)

2013年「空想の建築」出品:東京町田市立国際版画美術館

2019年「NEW YEAR EXHIBITION」出品:maison de たびのそら屋(長岡)

2020年個展「結び目のはなし」:医学町画廊/楓画廊企画(新潟)

     個展「組み立て/空間と量について」:ガレリアポンテ(金沢)

2021年個展「やわらかな座標」:ギャラリーみつけ(新潟) ほか多数



版画制作は大学のサークル活動以来です。

なかなか上手くいきませんが愉しんでいます。

 

http://www.nct9.ne.jp/coizumi/
Instagram 
@ayakoizumi  (https://www.instagram.com/ayakoizumi_/?hl=ja
Twitter @coappi






「箱とひも」

エッチング・アクアチント



美術家・コイズミアヤさんの造形作品やそれにまつわるドローイングなどは、先頃ギャラリーみつけで開催された個展「やわらかな座標」でご覧になった方も多いことと思います。




ギャラリーみつけでの個展「やわらかな座標」作品一部
(2021/7/17~8/9開催)


版画は大学のサークルで学ばれたとのこと。
今、銅版画で何をしたらよいか思案中とのことですが、エッチング・アクアチント・スピッドバイト・ドライポイント・色雁皮刷り、といった様々な技法を組み合わせた銅版画で、近年の制作に通ずるアヤさんの思考が、また新たなカタチで立ち現れたところに出逢わせていただいた感があります。





「note 110518」

スピッドバイト・ドライポイント






「(11n_42)」部分

エッチング・色雁皮刷り





作品集『組み立て/物質と量について』

喫茶室で販売しています



アヤさんは工房立ち上げのメンバーであり「月曜版画部」の牽引役でもあります。
見学やご参加については随時、「このすく」までお問い合わせください。

◆月曜版画部について

銅版画の制作について、ワークショップに参加された方や直接問い合わせを頂いた方と
継続的に制作に取り組める機会をつくりました。

昨年11月から「月曜版画部」として毎週月曜日の18:0021:00
今回出品する運営の永井愛と、長島裕子、広川澄子、コイズミアヤの他2名くらいで活動しています。



1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/



2021年9月26日日曜日

作家紹介②ともみさんとワークショップ

このすく展/作家紹介②

【 さかい ともみ / SAKAI Tomomi  】
(このすくメンバー)


新潟県三条市生まれ

2011     長岡造形大学 卒業  

2020     長岡造形大学大学院 修士課程 美術・工芸領域 入学

               現在同大学院在籍中(2021年現在)

instagram : @tomo0to1 (https://www.instagram.com/tomo0to1)





2012
年~ 「白雪ノ会展」(ギャラリーみつけ/見附市、他)

2020     VUCA Exhibition Vol.7「水そよぐ風せせらぐ」(Gallery & Cafe VUCA/新潟市)

     「このあたりのこのすく展」(工房このすく/長岡市)

             「Stories -5つのものがたり-」(医学町画廊・楓画廊企画/新潟市)

2021    maison de たびのそら屋 喫茶室特別展示「さかいともみ ちいさな記憶展」
         (maison de たびのそら屋/長岡市) 

              岩本彩花×さかいともみ 2人展 「doppele」(医学町画廊/新潟市)

              maison de たびのそら屋 2021 Spring Exhibition-hope-
       (maison de たびのそら屋/長岡市) 

           「3つのcolor -大橋絵里奈・さかいともみ・品田朋香-」(art Trurh/横浜市)

           「オーロ遊び展」(アートスペース泉/いわき市)





「tori piece2(宵のあいだ)」


「何」と、明確には区別されないものがあることを確かめるように制作をしています。

このすくができて1年。あっという間の出来事のように感じています。
今回は、透明水彩と版画を組み合わせた作品を展示することにしました。
最近は油彩の制作が多いのですが、密かに版画も楽しんでいます。





「tori piece1(明けのあいだ)」


今年1月の「近藤綾ガラス展」の折の喫茶室特別展示と、春の展覧会「hope」にご出展いただいた、さかいともみさん。アクリル、水彩、油絵に続き、今回は版画を組み合わせた作品をご覧いただけます。

※反射を避けてだいぶ斜めから撮っています。
繊細な彫りや、やわらかい色彩などは、ぜひ実物をご覧ください。





25(土)には「紙ドライポイント」のワークショップを開催してくださいました。

版画というと、木版、銅版、塩ビ版など、硬い素材の版をイメージしますが、「紙」を版にした版画ができるのです!  

以下3点も、紙版画です。





「tori piece(cross bird)」

sold out


25日のワークショップでは、いろんな形の鳥の版紙が用意されていて、参加者は本体部分の模様を好きなように描いて、刷るところまで体験してもらいました。





「bell」





「tori piece(sparrow)」

展示作のエディションナンバー6/6 は sold out
あと3刷、ご用意できます。


ワークショップ(体験型講座)は、ともみさんが工房でやりたかったことのひとつ。
昨春、社会人から大学院生になり、自らの制作と併せて実践的研究活動を工房で行いたいと思っていたところのコロナ禍。人を集めて何かをするということが、むつかしかった昨年でした。


それでもその時どきで、できることを積み重ねてきたことが、今回の「紙ドライポイント」のワークショップに、みごとに現れているのを感じます。


ともみさんや、永井愛さんら、メンバーの皆さんによる、このすくでのワークショップは、今後も折々に開催されます。今回は参加できなかった方も、またの機会をどうぞおたのしみに。

継続的に学び熟練を目指すための講座とは異なり、全く触れたことのない方にもわかりやすく、たのしんでもらうことに主眼が置かれており、子どもさんの参加が可能な講座が多いですが、大人もたっぷりたのしめます。

「作家」がつくったものを見るだけでなく、自分でもつくってみる、作り方を体験してみる、つくったものをおうちで飾ってみる、、、 そういったたのしみと出会っていただける場でもあります。





26(日)はメンバーの岡谷敦魚さん、コイズミアヤさんらによる「シルクスクリーン体験」のワークショップが開催されます。

工房で用意した版を用いて刷る体験です。
きれいに刷るには角度や力加減などが、あるのですって。

綿のTシャツやバッグなど、ご持参いただいたものに刷ることもできます。
(工房でも用意しています)






1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/


2021年9月25日土曜日

このすく展/作家紹介①大橋麻耶さん・岡谷敦魚さん・永井愛さん

出展者の略歴と、作品コンセプトなどの作家メッセージを順次ご紹介いたします。


① 大橋麻耶さん、岡谷敦魚さん、永井愛さん





シルクスクリーンプリントのこのすくサコッシュはカラー3種類。
喫茶室で販売しています。



【 大橋麻耶 / OHASHI Maya 】 (このすくメンバー)


2012年 長岡造形大学 美術工芸科卒業

作品コンセプトは『遠くて近いところ』
いつか旅した記憶や、心の奥にふれた日々のことなどをもとに、制作しています。




昨年11月の「平野照子 陶展 -Present-」の折に、喫茶室特別展示をしていただいた大橋麻耶さん。












「RUN」



エッチング・アクアチント・ドライポイントによる銅版画。
描く、だけでなく銅版画ならではの物質感の表現を模索しているとのこと。






「 KUMO Ⅰ」






「山に棲む」

1/10  sold out
あと9枚ご用意できます



麻耶さんの作品は価格表示をしていませんが、いずれも販売可能です。
お気軽にお尋ねください。



【 岡谷敦魚 / OKANOYA Atsuo 】 (このすくメンバー)

長岡造形大学美術・工芸学科版画担当准教授

 

個展

2013年 岡谷敦魚版画展(新潟絵屋、新潟市)’15

2014年 岡谷敦魚版画展(画廊FullMoon、新潟市)他


グループ展

2018年 あらたなはじまり展(maison de たびのそら屋、長岡市)

旅路旅路 岡谷敦魚×ヤマクラコウジ(Kaede Galleryfull moon、新潟市)

2019 2019  NEW  YEAR  EXHIBITIONmaison de たびのそら屋、長岡市)

2021年 画廊の視点 / 版表現(医学町画廊、新潟市)他


このすくでも制作可能な、銅版画とシルクスクリーンの作品です。切手の部分はコラージュです。





タイトル「切手」シリーズ




「切手_演奏会」


写真製版、アクアチント、シルクスクリーンによる銅版画。
複数の技法がもちいられた画面に、視覚は惑わされながら引き込まれます。





「切手_スキー」(作品部分)


「狙ったようにならないことを楽しむ」というより、狙ってできることではないので狙うこと自体せず、刷られた瞬間の仕上がりに驚きたくてつくっている、とおっしゃいます。





「切手_鳥」(部分)



工房の立役者のおひとり。長岡造形大学で銅版画を教える中で、教え子たちは卒業すると制作環境が無くなり(制作のための薬品処理設備やプレス機を必要とするため)せっかく学んだ銅版画を続けられない状況をなんとかしてやりたいと思われたことと、卒業後も制作を続けたいという熱い意志を示した教え子(このすくメンバーの大橋さん・永井さん)がいたことが、工房の立ち上げにつながっていきました。工房の
プレス機は岡谷さんの私物が提供されています。



【永井 愛 / NAGAI Ai 】 (このすくメンバー)

長岡造形大学を卒業後、県内で中学校教諭として勤務。
2020年から銅版画会展に参加。


大学在学の頃から、自然の中に在るものたちがもつ独特の空気感、
生命感をテーマとして制作してきました。優しく、側で寄り添ってくれるような世界にあこがれます。そして、妖しさも優しさも表せる銅版画が好きです。






エッチング、アクアチント、木版画による銅版画。
なるべく寡黙な「鳴き声を発しない」生き物のモチーフがすきなのだとか。

歌っているような鯨のモチーフはレアかもしれません。
色のある作品は、木版で色彩を刷った紙に、モノクロを刷った雁皮紙が重ねられて、透けて
いたりします☆






「方舟」




「魚石’21」





「ether'21」



ほぼ点描で描くという愛さんの繊細な銅版画。

銅版画の技法は多様で、初めて教えていただくことがたくさんあります。
会期中はほぼ、メンバーどなたかが在廊していますので、直接あれこれお尋ねください。

永井愛さんは、後でご紹介する「月曜版画部」でも活動しています。






「蛸」


もう、ぐるぐる!


模索しています。

そういうのが、工房らしくて「いい!」と思う今展です。


1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

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