2025年5月30日金曜日

《次回》KPM/版画展Ⅵ

《 Kanazawa Printmakers -版画展Ⅵ- 》

会期   2025.6.7~18
OPEN  
 11~17 ※最終日は16時まで
休廊日  6/12(木)


▶在廊予定 
6/8 (日)昼頃~17時 (岩瀬、崎元、寺尾、林)
6/9(月)11時~15時頃(同4名)
6/18(水)13時頃~16時(岩瀬、崎元)

今回は曜日が変則的で、18(水)が最終日、16時にて閉幕です。
新潟県内のお客様はもちろん、版画を制作する方々との交流もたのしみにしておられます。
都合がつきます方にはぜひ、在廊日にお出かけいただけたらありがたいです。








石川県金沢市で制作し、広く活動をしておられる6名の版画家による展覧会です。

たびのそら屋の一角に銅版画制作の設備を備えた「工房このすく」⇒
が開設されたのち、長岡造形大学大学院の博士課程に入学された南雲まきさんのご縁で、
金沢から数名の皆様がお越しくださったのが最初の出会い。

そののちに南雲さん含め「このすく」のメンバーでもある岡谷敦魚さん、さかいともみさんら6名が、彼らの活動拠点でもある「金沢湯涌創作の森」の版画工房ギャラリーでグループ展を開催。
(2022年湯涌クリエイティブ夏季特別展「長岡造形大学グループ展 ながゆく」 )

そして今度は金沢の皆さんが、長岡で展示を、、、 という運びとなりました。


「金沢湯涌創作の森」は、金沢市が整備した里山の文化拠点としても役割を担う「創作」と「交流」の場で、版画工房のほかに藍染や染め織の工房、宿泊施設も備えています⇒ 

初めて訪ねた際には想像以上に大規模で素晴らしい環境と施設にも感動。
自治体としての確たるポリシーも感じて、感服しながら帰途につきました。



あれから早3年。
たびのそら屋としては、県外のグループによる展覧会は初めてのこと。
搬入日が迫り、いろんな意味でドキドキです。
お客様や県内の版画を愛好する皆様と、貴重な出会いを楽しみたいと思います。








タイトルに付けられた「Kanazawa Printmakers」(KPM)の詳細は
HPのこちらをご参照ください。


記載されているように、この展覧会は毎回決まったメンバーではなく、
会場と会期を確定したのちに参加者を募る、という運営をしておられます。

このたびは6名の皆様がご出展くださいます。
プロフィールは後日、作品とともにアップいたします。
まずはリンク先をご参照ください。


▶岩瀬貴憲/IWASE Takanori ⇒ 

▶国友 博/KUNITOMO Hiroshi ⇒ 

▶崎元美日/SAKIMOTO Mika ⇒ 

▶寺尾ユリ子/TERAO Yuriko ⇒ 

▶西谷幸子/NISHITANI Yukiko ⇒ 

▶林 千賀子/HAYASHI Chikako ⇒ 




▶Kanazawa Printmakers  のHP

▶Facebook、YouTubeへのリンク掲載ページ
https://iwase72.wixsite.com/about-kanazawa-print






▶6/8に「工房このすく」を会場に開催予定のワークショップは、まだ若干の余裕があるとのことです。

6/8(日)13:00~16:00
「エングレービングonアクリル」定員8名 参加費1,500円
ビュランという最も細い線を描くことのできる道具を使ったアクリル板の凹版画が体験できます。

見学のご希望やご質問なども含め、どうぞお問い合わせください。

工房このすく
koubou.konosuku@gmail.com






2025年5月29日木曜日

【御礼】第10回Pegasusの会展

5/13~25に開催しました《第10回 Pegasusの会展》は、無事に閉幕いたしました。

2014年の第1回から5回までを新潟市内で開催したのち、
メンバーの金内沙樹さんが長岡在住ということで、
会場と猪爪彦一さんとのご縁もあったことから、
2021年の第6回から10回までをたびのそら屋で開催してくださいました。


作家の御三方と、各回に足をお運びくださいました皆様、
広報にご協力くださいました皆様に、心より感謝御礼申し上げます。

ありがとうございました。




定点観測させていただいた5年間には、毎回、様々なドラマがありました。


主には若手の金内沙樹さんにまつわるもので、作品の模索や変化のたのしみとは別に、
展示全般に関わる細部について、会場で交わされたあれこれが沙樹さんの中で昇華され
翌年に生かされて現れてくることは、小さからぬ感動のドラマでもありました。

ひとつひとつを慎重に、周囲のみならず自分自身にも確かめながら歩む沙樹さんの様子は、
他の作家の方々への印象とは随分、異なるものでしたが、
そこにこそ、最も大切なものが内包しているように感じられ、
ひとそれぞれの生き様や、大切にしているもののあること、その発露の仕方の様々に、
思いを巡らせました。

そうして5年。
たびのそら屋での最終年には、事前の打ち合わせ担当は近藤先生から沙樹さんに移り、
制作、展示作業、2回の週末をフルに在廊してくださったこと、その時の語らい、、、
駆けつけてくださったご友人たちと語らう様子にも、
すっかり頼もしさを増して感じられたのでした。






お友達から沙樹さんへのお花には
沙樹さんが好きな、青、黄色、黄緑✨


とはいえ、遥かに遠い遠い背中を見せるのは大先輩の猪爪彦一さんと近藤充さんで、

新たな模索を続ける猪爪さんの、作品のみならず制作意欲の迫力と、
同様に新たな挑戦をしながら、若い世代が創作し続けることを
(さりげないようにみせながら)後押しする近藤さんの気概を感じる会期でもありました。


最終回は少し寂しいものかと思いましたが、
今後の構想や、瑞々しい泉が流れ出す始まりのような瞬間も垣間見せていただけて、
今後の「Pegasusの会」の展開に、ワクワクする気持ちが上回る心持ちでした。






沙樹さんのご両親様からの10周年祝いのお花は、会期を通して見事に咲き続けてくれました。

5年前には今よりもはるかに未熟だった会場で、親心としては心もとない面もあったと思うのですが、
お母様とは個人としても語らうことのできる出会いになったのもうれしかったこと。


それは4月にご出展いただいた石原花音さんのお母様とも同様で、
作家や作品を通して、いろんな人生の宝物が、
展覧会の中で、芽生え、織りなされていく、、、


なんとありがたいことかと思います。






たくさんのユリが順番に咲いて、甘い香りにうっとりした毎日。

その勢いが終わるころに、お客様から見事な芍薬とカラー、
そしてまたとびきりの語らいをいただいたのもうれしかったこと。







そしてなんといってもうれしかった、
最終日の沙樹さんからいただいたお花✨







💐✨😆



ここからまた新たなはじまり🌱✨🌿

そんな気持ちになるお花でした。


それぞれの道を、悩みながら、たのしんで、
時に交わりながら、つながっていきましょう。


百戦錬磨のベテランのお二人に申し上げるのはおこがましいですが、
その先輩方と舞台を共にする若者の皆様の奮闘を、心からたのしみにしています。


また、たびのそら屋でも拝見できる日を願いながら🌈




もう少し書きたいこともあるのですが、
何しろ次回展覧会はすぐです!(6/7開幕)

その間にやること盛りだくさん。
まずは次回のご案内を。






2025.6.7~18
《 Kanazawa Printmakers -版画展Ⅵ- 》

OPEN   11~17 ※最終日は16時まで
休廊日  6/12(木)


主に石川県金沢市で制作しておられる6名の版画家たちの展覧会です。
隣接する「工房このすく」との交流がご縁で、新潟県内初の展示が実現します。
後日、出展者のプロフィールをアップいたします。


会の活動についてはHP等をご参照ください。

▶Kanazawa Printmakers  のHP

▶Facebook、YouTubeへのリンク掲載ページ
https://iwase72.wixsite.com/about-kanazawa-print








2025年5月23日金曜日

作品紹介/猪爪彦一

 《 第10回 Pegasusの会展 》

5/13(火)~25(日)
OPEN 11:00~17:00   ※最終日は16時まで
休廊日   5/16(金)、21(水)

▶猪爪彦一(油彩) 在廊  5/13(終日)、18(午後)、19(午後)
▶金内沙樹(油彩) 在廊  5/17、18、24、25(各日とも終日)
▶近藤 充(岩絵具・アクリル・テンペラ混合技法) 在廊5/18、24、25(各日午後)













全体としてはすっかり馴染みのある猪爪彦一さんの作品ですが、
そこには常に、新たな展開と挑戦が含まれています。

なぜならそれは作家の世界であり、作家が常に現実世界の中で挑戦と模索をしているから、
と改めて感じた今回の出展作品。


長年ご覧になっているファンの皆様も、
あれこれ、新鮮に思われたことがあるのではないかと思います。







《象のいる丘》F6




まずは「象」のモチーフ。
珍しいと思ったら、作品として描いたのは初めてのこと。


頭の中の世界の何処かを描いているという猪爪彦一さん。
その世界に、象も居たのですね。


~夜の丘を道に迷った小象がそれでも休まず歩き続けている場面です。

この先に何が待っているのか、わからないまま進むしかない今の状況です~


そのようにしたためられた展覧会メッセージを読むにつけ、
この象は作家自身なのかもしれない、と思いを巡らせます。










わからないけれど、
わからないままに進む、

そうできることの、強さと覚悟。







《風景》 SM






《風景》 F6







《飛行船》 F6








《二つの塔》 SM





大作《夜》を挟んで展示されたこれらの4枚は、
実作品より赤みときらびやかさが強く写ってしまっており、
実際は、(特に遠目には)少し暗い色調です。


作家曰く、近頃は無意識のうちに暗い色になりがち、とのこと。

テレビなどのニュースに気が滅入ることが多くて、と。



そういえば、いつもなら幾人か描かれる人物が見当たりません。

皆、いずこ、、、



猪爪彦一さんには開廊以来、
Pegasusの会展以外にも個展や二人展などにご出展いただきてきました。


特定の時代や場所ではなく、自身の「頭の中の世界」でありながら、
必ずしもファンタジーを描いているのではないことを
感じさせていただくことがこれまでもありました。



こんなふうに、作家が感じた世相が、図らずも作品に映し出されてしまうようなことが、
私は好きです。











バランスを取るかのように、明るい色彩の作品も。








《 白昼夢 》  SM




いつかこの景色を観たような、、、
と、まさに白昼夢のような思いになったところ、猪爪さんは覚えておられました。


開廊初年度の2018年に、最初の個展を開催していただいた折の、
DM掲載作品が、タイトルも同じく《白昼夢》でした 。






2018年6月のDM

当時の出展作はF10号で、モチーフの配置や細部は異なります





愛好家が多い図柄で、制作のリクエストをいただくこともある作品とのことですが、
このようなシンプルな白い額を用いるのは珍しいこと。


白い壁にフレームが融け合い、ただただ、どこまでも碧空。

その向こうへと吸い寄せられます。

















《春へ》10×13㎝




喫茶室に展示されたこちらは、いわゆる空色ですが、
このような色の空を描くのは初めてとのこと。


明るい兆しやひかりを求める想いの反映でしょうか。。



何を秘めたるや、春のたまご。









《異族》 

F0/油彩・パネル




そしてなんといっても特筆すべきは、《異族》シリーズが油彩に展開したこと。


これまで銅版画で描かれてきた、《異族》のシリーズは、
日々のドローイングの中からそのフォルムが抜き出され、息吹を与えられます。


ついに色彩を得た《異族》 。



キャンバスを貼らずパネルのまま描き、額装せぬ状態で展示するのも珍しく、
新たな印象を与えます。


来年開催予定のたびのそら屋での個展で、続々と登場していただけるのではないかと、、
今からたのしみにしています。








《 夜 》 P50



なんと輝ける


はじまり  みたいな夜





2025年5月21日水曜日

作品紹介/近藤 充

《 第10回 Pegasusの会展 》

5/13(火)~25(日)
OPEN 11:00~17:00   ※最終日は16時まで
休廊日   5/16(金)、21(水)
_____________________

作品はいずれも、岩絵具、アクリル、テンペラ混合技法によるものです。
画像は色彩を再現できていません。
質感、空気感とともに、ぜひ実作品をおたのしみください。






いにしえの壁画のような、おぼろげに描かれた異国の景色の断片は、
かつての旅を思うことと似て感じられます。


手元に残る、色褪せたメモや切符などの紙片から、
遠い記憶を手繰り寄せようとするときの、

もどかしさと、なつかしさと、時空を超えて思いを馳せる浮遊感。







《 街角 》







《 ミモザの頃 》






《 聖堂 》






《 広場で 》




私自身は近藤充さんが旅したヨーロッパや中南米は訪れたことが無く、
その国々の光景はリアルにはわからないのですが、
異国へのなつかしさというのは、どこか通ずるものなのでしょう、、、


そのおぼろげな画面に、
かつて一人旅をしたネパールの景色を重ねて思い浮かべます。


何処から来て、何処へ向かうのか

こちらが旅人であるにもかかわらず、
往来するひとの来し方、行く先に思いを巡らせた日。






《 臨む 》





《 帰路 》




喫茶室に展示された小品は、うさぎや猫、シロクマのほかに、「獏」も居て、
猪爪彦一さんの「異族」のシリーズに刺激を受けて(と笑いながら)
「実在しない動物」シリーズが生まれたご様子です。











《 蛍狩り 》







《 獏 》





《 雪ふる 》



日本マンガ・アニメ専門学校(新潟市)でデッサンの講師を務める近藤先生のお話は、
今の若者たちや先端の現場が垣間見えて、毎年の在廊時のたのしみのひとつでした。

先日、打ち合わせがなされた来年の「Pegasusの会展」は、
新潟市内に会場を戻し、近藤先生界隈の若者を交えながら、新たな展開を見せる模様です。


ベテランと若手が互いに刺激を受け合うPegasusの会。

近藤先生の若者たちへのまなざしや、
ゆらりと、自然体でありながら、挑戦の手を止めないご様子を窺うにつけ、

まだまだベテラン優勢か、、、

と感じるような語らいもありました。







若者たち

うかうかしてると

食べちゃうぞ


by. 獏





▶このあとの在廊予定

5/24(土)金内沙樹さん(終日)、近藤充さん(午後)
5/25(日)金内沙樹さん(終日)、近藤充さん(午後)

猪爪彦一さんの在廊予定は残念ながら無くなりました。
5/25は16時にて閉幕です。



2025年5月20日火曜日

作品紹介/金内沙樹

 《 第10回 Pegasusの会展 》

5/13(火)~25(日)
OPEN 11:00~17:00   ※最終日は16時まで
休廊日   5/16(金)、21(水)

_____________________


金内沙樹さんの作品は、いずれもキャンバスに油彩、2025年制作です。
画像は色彩を再現できていません。ぜひ会場で実作品をご覧ください。






今回も、大きく印象を変えた金内沙樹さんの作品。

こちらは昨年の一部 ↓





第9回Pegasusの会展(2024)金内沙樹



今年のDMに掲載された作品《光》は昨年の画風に通ずるところを感じ、
今回もその
路線を深めていかれるのかと思っておりましたところ、、、





《 光 》 

F4(333242㎜)


他の作品は、がらりと一変して、みどり!緑!🌿✨










《 ただよう 》 

    SM(227×158㎜)





《 ふゆうする 》 

   F3(273×220㎜)







《 うつろう 》 

    SM(227×158㎜)



制作当初は、青、だったようですが、

黄色が好きで、黄色に合う色を想いながら
描いていくうちにこれらの色彩になったとのこと。


画像は、このなんともいえない複雑な色彩を再現できていないのですが、

会場では、掴めそうでつかめない、雲のように変容していくものを描こうとした作家が
確かに描いた、そのおぼろげなものがみせる光景と、


目の前で今も混じり合い、うつろいを見せるかのような色彩を、
お客様がじっくりと愉しんでくださっています。






《 庭の詩 Ⅱ 》 

    S3(273×373㎜)





《 庭の詩 Ⅰ 》 

    S3(273×373㎜)







《 願い事 》 

   M8(455×273㎜)







右《 雲の詩Ⅰ》
左《 雲の詩Ⅱ》

P4(333×220㎜)






《 白昼夢 》

P30(910×652㎜)





これまで描いてきたモチーフは、
生き物であったり、人体(外見としての皮膚や筋肉、内なる世界たる内臓や骨など)や、
何かを内包したたまごのような、種子なるものが多かったようですが、
新たなものへと意識が広がった今回である様子。


それは昨秋のグループ展出展の折に、他の出展作家が描くやわらかな色彩のうつくしさに
惹かれたことが影響しているとのこと。


自身の中に「女性的な」色彩を、許す、かのように育て始めた一歩。

沙樹さんの、新たな冒険のはじまりを表しているようにも感じられます。






右《 心臓 》  S0(180×180㎜)

         左《 雲の子ども 》 SM(227×158㎜)








喫茶室に展示された《光》は、昨年と今年をつなぐ、展開の狭間の作品。


これからの変化を予見するような、

そこに向かう意思を感じるような、、、 


沙樹さんの幼少期からを知る方が、
「あの雲の中から、いまかいまかと、生まれたがっているみたいね」と、
うれしそうに愛でておられました。










▶このあとの在廊予定

5/24(土)金内沙樹さん(終日)、近藤充さん(午後)
5/25(日)金内沙樹さん(終日)、近藤充さん(午後)

猪爪彦一さんの在廊予定は残念ながら無くなりました。
5/25は16時にて閉幕です。