2021年9月30日木曜日

文化拠点の場としてのこのすく/小松佳代子さん

今回、書籍を多数展示しているコーナーがあります。
工房このすくは制作の場であるだけでなく、美術を軸にした文化的活動の場でもあり、その活動を主に繰り広げておられるのが小松佳代子さんです。書籍は従来からの研究に関するもので、リーフレットはこのすくでの活動報告です。

メンバーでは唯一、「作家」ではなく「(作家に伴走する)研究者」というスタンスにある方。
そういった顔ぶれの多様さが、この工房の魅力的なところだと思います。



【 小松佳代子 / KOMATSU Kayoko 】(このすくメンバー)

東京大学、流通経済大学、東京藝術大学を経て、2018年に長岡造形大学に着任。

現在造形研究科教授、博士(教育学)

専門は教育学、美術教育 

Arts-Based Research(芸術に基づく研究)の観点から理論研究と制作者との共同研究を行っている。


◆主な著書:小松佳代子編著『周辺教科の逆襲』(叢文社2012)小松佳代子編著『美術教育の可能性―作品制作と芸術的省察』(勁草書房2018)小松佳代子編『判断力養成としての美術教育の歴史的・哲学的・実践的研究』(科研費研究成果報告書2021


◆主な展示:

ABR on ABR
展(長岡造形大学2019ART=Research:探究はどこにあるのか(小山市車屋美術館2020

Mapping A/r/tography: Exhibition Catalogue
InSEA 2019 World Congress,University of British Columbia, 2019

このあたりのこのすく展(工房このすく2020

 

今回は、工房このすく文化事業と、私自身の研究成果、関連書籍を出展します。工房このすくは、美術制作者と理論研究者とが協同してつくることで、ものつくりの場であるだけでなく、つくりながら考え、議論する場としても開いていきたいと考えています。



美術教育の研究者である長岡造形大学教授の小松先生。
一部著書は喫茶室で販売しています。試読はギャラリーに展示してあるものをどうぞ。





「文化拠点の場」と聞いてもイメージがつきにくい方もおられるかもしれません。

小松先生の研究、「ABR」(芸術に基づく研究)がどのように進められて、どのような形になるのか、「工房このすく」とどうリンクするのか、ということについて、このたび作成されたこちらのリーフレットをぜひお読みいただけたらと思います。




小松先生が工房でやりたかったこと、この1年、おこなってきたこと、地域に構えた場に期待することなど、展示書籍との関係も含め、大変わかりやすい言葉で書かれています。




手前に並んだリーフレットは、これまでに開催された読書会の報告です。
こちらもどうぞお持ちください。


コロナ禍では人が集まることをしにくいため、読書会も講演会も、ZOOM機能を活用してオンラインをベースに開催されています。現地に行かなくても参加できるということは、遠方の方も同じ距離感で参加できる良さもあります。
でも、このすくがあるので、いつでも会うことも、集まることもできます。

文化的活動の開催は不定期のため、関心のある方は次回のご案内が届くよう、このすくにアクセスしてみてください。




展示書籍の中で異色で気になるのは小松先生の知人である詩人・まき こうじさんの詩集。

『遅蒔きながら』(あいり出版/2021) 


暮らしや、社会の中で、見過ごしてしまいそうな、
あるいは見過ごそうとしてしまいそうなことの一端を綴ることばは

じんわりとこころの琴線に触れるような
あるいはぐぐっと、立ち止まることをせまられるような

思い描いた景色の残像は、
器に溶け残った砂糖のように、ざらりとした余韻を残します。


どういうお方?と調べてみたら、詩集の帯を書かれた浜田真理子さん(ミュージシャン)の紹介文がありました。⇒

表紙の篠原猛史さんの作品も気になります。⇒ 美術手帖オンラインマガジンの記事 


詩集には小松先生が東京から長岡に転居する際に、まきこうじさんが書いてくださったという詩も収められていて、その詩は先の小松先生のリーフレット最終頁にも掲載されています。

※詩集は喫茶室で販売しています。試読はギャリーの展示品をご覧ください。





どの書籍もですが、こちらも見逃していただきたくない1冊。
先日完成したばかりという
『美術・工芸の制作-教育-実践研究』長岡造形大学 美術・工芸学科編

長岡造形大学の先生方の作品や制作考察、大学院生の論文などが掲載されています。

長岡造形大学でこういった冊子が作られるのは初めてとのこと。

販売はされておらず、のちにオンラインで読めるようになるかもしれないけれど未定とのこと。
いずれの書籍も、手に取って拝読する貴重な機会をいただいています。







工房では小松先生の研究の一環で、読書会や文化講演会がいくつか開催されてきました。
私には難し過ぎると思われるテーマが多く、参加したのはわずか数回ですが、工房ができたことで「言葉」による表現との接点をいただいていることが、とてもうれしいです。


読書会や文化講演会は、メンバーと面識のある方からじんわりと参加の輪が広がって行っているところかと思います。閉ざされた場ではありませんので、関心が芽生えた時にはそこに在ると、知っていていただけたらと思います。


9/30(木)・10/1 午前 は小松佳代子さん在廊です。

1周年記念「このすく展」

2021/9/24(金)~10/3(日)※9/29(水)休廊日

OPEN  11~17 ※最終日は16時まで

【工房このすく】

Twitter →  https://twitter.com/nagaokaprints
Instagram→ https://www.instagram.com/kobokonosk/


**********

作家紹介はラスト、もうお一方!

小松先生の研究の一環であるアーティストインレジデンスで滞在制作をしてくださった仲森仁さんに続きます。